【お知らせ】
この記事は2022年度版チョコレート(完売)に関する内容となります。
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ハッピーの連鎖を生む”応援金”をタドれるチョコレート
一口含むだけで、その甘さに疲れも癒され、幸福な気持ちに包まれるチョコレート。
その実、本当は甘くないチョコレート産地が抱える深刻な事情があります。
そんな地球の裏側にあるカカオ産地の問題を、一枚のタブレット(板チョコレート)につき100円のプレミアム(応援)金を加えることで、陰ながらサポートできるチョコレートのセットを私たちTADORiがプロデュースしました。
名前は「タドれるチョコレートシリーズ」。
このチョコレート誕生の裏には、児童労働をなくす数々の取組を行うNPO法人ACEと、日本髄一のカカオ商社である立花商店の尽力があります。
地球規模で社会に貢献できて、もちろん味にもこだわった、味わった人はもちろん、カカオ農家や作り手も幸福になる夢のチョコレートです。
まずはその誕生秘話について、製作を担当した立花商店の社員であり、グループ会社の株式会社クラウン製菓取締役の鶴田 絹さんにお伺いしました。
ガーナ、ベネズエラ、フィリピン 3つのカカオ生産地をサポートする仕組み
最初に、「タドれるチョコレートシリーズ」が、どんなチョコレートかをご紹介しましょう。
社会に貢献できるチョコレートというと、“フェアトレードのチョコレート”が真っ先に想像できると思います。
実際、目にしたり、購入したことがある方も多いのではないでしょうか?
購入した瞬間は、ちょっといいことをした気分になり、味も工夫されたものが多く満足なのですが、買ってどう役に立ったのかわからない、とモヤモヤした気分になったことってないですか?
今回は、支払ったお金がどこに行ったか、「ブロックチェーン技術」を利用して“見える化”したことがポイントです。
ブロックチェーンとは、分散型台帳のことで、応援金のやりとりを全て記録するものですが、誰でもアクセスができ、改ざんができない仕組みになっています。
都合の悪い部分を黒塗りすることもできず、万が一、ごまかしを行った場合には、その矛盾点が永久に残り、公開されてしまうほどの透明さです。
今回の販売は、ガーナ、ベネズエラ、フィリピンの3つの産地で生まれたカカオを使った3枚のタブレット(板チョコ)のセット。通常のチョコレートの製造費等に加えて、100円の応援金が価格に含まれており、その応援金がカカオ生産者に届いていることがブロックチェーンに刻まれています。
自分が払ったお金がどこの誰に届いているかタドれるので、今回の商品は「タドれるチョコレートシリーズ」というわけです。
クラウン製菓の鶴田さんは、このチョコレートに大きな期待を持っていると言います。
「従来のチョコレートメーカー1社では作り上げることが難しい、“ブロックチェーン”という新しい仕組みを通じて、幅広いお客様にカカオが抱える問題に興味を持っていただき、消費者一人一人が自分から選んで産地支援ができる世界に繋がると嬉しいです」
では、実際にどのような貢献ができるかというと、
・ガーナは、児童労働をなくす活動を応援できます。
・ベネズエラは、原住民女性が行っている長い歴史のあるカカオ作りの伝統と文化を守れます。
・フィリピンは、クリオロ種という希少で高品質なカカオの栽培に役立てることができます。
鶴田さんは、この3つのカカオを使用する意義をこう語ります。
「高級市場からコモディティ市場まで幅広く、カカオの現在・過去・未来の課題にアプローチすることができる生産地のラインナップだと思います。
世界のカカオ生産量2位のガーナを支援するということは、現在、日々日常で食べられているような広いチョコレートの世界を支えるということ。
世界最高級と言われるベネズエラのチュアオ村を支援するということは、今まで培われてきた希少カカオの伝統や歴史を守るということ。
カカオ新興国であるフィリピンを支援するということは、これからの新しいカカオの世界を一緒に創っていくということに繋がります」
100円という金額が、世界を変える大きな可能性に驚かされました。
Bean to Barのパイオニアによる挑戦
若くして、工場の責任者である鶴田さん。
彼女ほど、今回のプロジェクトの製作者にふさわしい人はいないと言っても過言ではありません。
原材料であるカカオ豆の栽培現場から、商品作りまでを熟知しているからです。
最初のキャリアは、2007年に新卒で入社した航空系商社からでした。
そこで一緒に働いた先輩との縁で、3年後の2010年にカカオ豆の商社である立花商店へ入社。
そこから、チョコレートと歩む人生が本格的に始まりました。
中でも、今注目の「Bean to Bar」のパイオニアとして、業界では知られています。
※Bean to Bar(ビーントゥバー)とは、カカオ豆からチョコレートバーになるまで一貫して製造を行うこと。カカオ豆の選別からはじまり、豆に応じた製造を行うので、安価で大量に生産されるチョコレートとは異なった独自の味チョコレートが生まれる
発端は、5年ほど前。まだ「Bean to Bar」がそれほど知られていない時代に、個人商店のリクエストに応えたことにはじまり、小さな袋に1.5キログラムのカカオ豆を詰めてネット販売をしたところ、徐々に人気を集めるようになりました。
「その後、豆を購入してくれたお店からの要望で、機械まで輸入をすることになりました。最初の頃はメンテナンスは、メーカー本国とテレビ電話をしながら手探りで行っていました。」と鶴田さん。
「私は、最初にスタートを切って、流れができたら後輩に渡すという宿命がある」というほど、立ち上げた事業の実績は目を見張るものがあります。
児童労働をなくすための活動を行っているNPO法人ACEが支援する地域のカカオ豆を初めて日本に輸入し、ボンボンショコラ製造のための原料として提供したり、フィリピンのクリオロ種保全プロジェクトの現地法人criollo blanco tradingの創設など、今回のチョコレートで使われているカカオ豆ともリンクします。
まだ世の中の認知が低かったフェアトレードチョコレートの大切さを多くの企業へ働きかけ、2016年には、現在でも人気を集めるカルディのフェアトレードチョコレート発売に成功しました。
コロナ禍の前までは、生産地へ出向くともしばしばで、実はご本人もベネズエラ生まれというバックボーンを持っているのもユニークです。
2018年に産休後、2019年に現職として復帰。
裏方であったカカオのエキスパートが、実際に商品を作る側への転身でした。
「私自身、就職をする際にもっと貧しい人を助けられる仕事に憧れを持っていたのですが、ただ日本での生活を捨てて現地に直接赴いて働くという選択できず、そこに劣等感のようなものを抱いてきました。どうして、もっと身を粉にして貧しい国に対しての支援をする活動に自分は飛び込めないんだろうか、と。それでも、輸入業と製造業の専門性と経験を身につけることで、今は、作り手という役割から少しでも支援ができていければと思っています」と鶴田さんは教えてくれました。
新天地での挑戦のひとつが、今回の「タドれるチョコレート」なのです。
3つの産地の多様性を体感できる味わい
「産地別カカオを使った小規模なチョコレート作りをすることは、クラウン製菓として初めての取り組みでした」と話す鶴田さん。
小規模の場合、温度調整が難しく、試行錯誤の繰り返しだったそうです。
それでも、作り手として挑戦する価値が高いプロジェクトであると語ります。
商品に込めた思いも教えていただきました。
「なかなか一般市場で出回ることのない希少な産地のカカオを使ったチョコレートを製造しお届けすることで、『カカオってこんな味がするの?』と言う驚きのある多様なカカオの世界をお伝えしたいです。また、味の違いとともにそれぞれの産地が持つストーリーや課題について知っていただき、チョコレートを楽しむお客様にカカオの世界をより身近に感じていただければと思います」。
味わいについては、「それぞれ、産地の特徴がしっかり出る味を目指しました」とのこと。それぞれの特徴を尋ねると、
「ガーナは、どっしりとしたカカオ感とローストナッツの風味とスパイス感がでるように。ベネズエラは、チュアオ産カカオらしいレモンやグレープフルーツのような柑橘系のフルーツが持つフルーティさと渋み、カカオ感のバランスがよく出るように。フィリピンは市場でもあまり知られていない新しいカカオ産地ですが、カカオ豆のクリオロ遺伝子の比率が高いため、色味も明るくマイルドな味が特徴です。味の特徴としては、ピーナッツペーストのような甘味とトロピカルフルーツのようなフルーティさが出るようにしました」。
ガーナ産とベネズエラ産の2種を試食させていただくと
ガーナ産は重厚感があり、ベネズエラは華やかでカカオ豆がフルーツであることがわかる味。
スイーツとしてはもちろん、ワインをはじめ、さまざまなお酒と一緒に楽しめると感じました。
生産地への愛から生まれたチョコレート。
自分が味わうのはもちろん、一番大切な人への贈り物にしてはいかがでしょうか。
チョコレートが持つ物語を一緒に語り合い、味わった人が周囲へ物語を広げていき、それぞれが自分でできることを考えるようになる……。
そんな風に、幸せの連鎖が起こせる第一歩になると思います。