adidas Originals × BIOCRACY
生産の背景を知りたいのが現代の消費者ということは、生産者・製造者が責任を持てば済む話なのだろうか。現状そうでないのなら、消費者の選択の力で、生産者・製造者が生産の背景に責任を持つよう自覚させることができるのだ。
2011年にアディダスで主催したグループアート展 「Better Never Than Late」にChim↑Pomに参加してもらい、彼らに出会うことができました。2013年には多様性をテーマに「Better Never Than Late」を再開催しました。
今、日本社会は2020を見ています。私はロンドンに縁があって2002年から09年まで滞在しました。その後も年に数回現地に行く機会が持てていますが、ロンドンの2016年前後は興味深いものでした。
先日開催された、歌舞伎町で取り壊されるビルが舞台の、「Scrap & Bulid」をテーマとした彼らの展示『また明日も、見てくれるかな?』の協賛も考えていました。しかし、残念ながら諸事情で今回は協賛する権利が得られないことが発覚し、実現できませんでした。その時に、Chim↑Pomリーダーの卯城氏、そして『ビオクラシー』著者であり、展示を主催する平井有太氏から今回のお話を頂きました。
日本では4月にあった電力自由化を受けて、アディダスとして例えば、「運動会」のようなイベントを、再生可能エネルギーでできないか?またはその運動で、発電ができないか?そんなアイディアの実現性を考えていました。
ただ、実際に電力会社をやられている大石さんに会うと、そもそもの企業のきっかけが「電車に乗っている時に、目の前の女性がたまたま付けていた携帯用ソーラーパネルからの電力が欲しい」という想いからだったという、なんとも人間味溢れるお話(笑)。それが原発事故以前のことで、その後の動きを聞かせていただいても、バイタリティーに溢れています。それに、お邪魔した事務所も世田谷ものづくり学校にあり、一般的な電力会社とサイズもイメージも全然違う(笑)。
「面白い会社だな」と思いました。
誤解を避けたいのでお伝えしておきますが、アディダスの今回の立場は、あくまでもアート展の協賛です。僕の担当はCSR活動ではありません、あくまでもアディダスのブランドマーケティング活動の一環です。
「自由ということ」、「選べること」を表現する作品作りに惹かれて、アートの持つ「問い直す」という力を信じての協賛です。僕らも常に自身に問い直しながら、“Only The Best For The Athletes”を心に、より良いプロダクトをとチームのみんなで仕事しております。
今回は、今までは決して選べず見えなかった電力を、選んで見せられるんだということを、平井氏の個展を通じて伝えたい。スポーツギアでは、もちろんアディダスを選んでいただきたいですけど(笑)。
その後は、また日本で数年過ごしましたが、2002年からはロンドンへ。さらに多様性に富んだ文化の中で過ごしました。そこでの経験も、大きかった。物事には、こんな考え方やアプローチがあるのかと、自分自身の価値観を問い直す日々でした。
今回の企画で、お客様には、自由化ということの楽しさを知ってほしいと思っています。アイディア次第でこういったこともできると、見方が少しでも変われば、嬉しい。自分自身は、アート作品に触れて、見方が変わる瞬間が好きなんです。
今回の個展への関わりを通して、みんなに「問い直したい」と言った方が正確かもしれない。
普通に選べるものを組み合わせてつくるアート作品、そのアイディアに惹かれて。そして、たまたま「電力」の部分が慣れていないので斬新に感じた。これも当たり前になっていくのでしょうね。選べる権利を得ることで、私たちにどんな価値が生まれるのか。そこは今回、千葉のソーラーパネルを提供いただいたエコロジアさんに聞かれて、「ハッ」とした視点です。
どんな価値が生まれるのか?
そのお話をしていた時に、エコロジアの林さんに「ロボットが靴を作ることで、何の価値が生まれるのでしょうか?」と聞かれました。これは、問い続けなくてはいけないことだと捉えています。