【初回】ワタミ|外食業界世界初!の「RE100」宣言
読みもの|6.4 Mon

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  ワタミ株式会社は、企業が使用電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際的イニシアティブ「RE100」加盟を宣言した。
 世界規模で大企業、先端企業を中心にエネルギー・シフトを実現させているRE100については、ENECTでもこれまで、RE100主宰のイギリスのNGO「CDP」CEOポール・シンプソン氏、日本のCDPを牽引する高瀬香絵さんのインタビューを伝えてきた。
 RE100には世界では約120社、日本ではここまでRICOH、ASKUL、AEON、積水ハウス、大和ハウスが参加しているが、外食業界からのRE100宣言は世界初。加盟に踏み切った経緯、背景、そして想いについて、ワタミファーム&エナジー株式会社の小出浩平代表取締役社長に話を聞いた。

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小出 私は、新電力はそれぞれがコスト以外の要素でエッジが利いて、特徴があって、それをもって「お客さまを魅きつけるようなこと」が大切だと思っています。
 今私たちは、スポーツに積極的な学校にエネルギーを供給させていただいています。そしてエネルギーと一緒に学生さんの農場研修とか、「有機野菜の学食をやりたい」という相談もあります。グループのワタミファームでは、全国12農場でではオーガニックの農業に取り組んでいます。
 そういった食と結びついた取り組みの中で、その循環を考えたときに「エネルギー」というものは不可避な要素となってきます。
 弊社は外食産業から事業展開をはじめて、お客さまに「安全安心な食材を提供したい」と考えてきました。創業当時、居酒屋チェーンのフランチャイズだったのですが、当時、農薬や防腐剤を使ってるので「レモンはよく洗って使って」というマニュアルでした。創業者は「そもそも農薬が付いてないものを使おう」、「探しても、そういうものがない」、「それなら自分たちでつくろう」という、それが20年ほど前に有機農業をはじめたきっかけでした。
 ワタミグループとしては、他の小売や外食チェーンも農業参入されるというニュースがあるなかでいかに「有機農業を増やしていくか」、同時に「できるだけローコストに提供できるか」ということを目指しています。

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 そうして有機農業を始めたら「土がすごい」、「炭素の循環がすごい」ということで、実が土がすごいところは「森が豊かであること」に気づきました。このため森を再生させるNPOを2006年にはじめています。森林再生のNPOは農業以上になかなか大変で、その頃たまたま私が、ワタミ創業者の渡邉を訪ねてきたんです。目的は、当時私がプライベートで取り組んでいたソーシャルビジネスを応援するNPOの顧問になっていただこうと思って、すると「そんなこと言うんだったら、ワタミで一緒に日本を良くしよう」と。そして、まずは「環境事業や森をやって欲しい」と。
 そこに私からは、「食の自給率はもちろん大切だけど、日本の大きな問題はエネルギーの自給です」ということを提案させていただきました。

ーいつ頃のお話ですか?
小出 2008年です。私はゼネコン商社で働きながら、環境問題や貧困問題など社会的課題に取り組むソーシャルビジネスを応援するNPO活動をしていました。

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 エネルギーの話に対して渡邉は「じゃあ、風車をどんどんつくれよ」ということで、それはまだFITのはじまる前のことです。それでソーシャルビジネスの風力発電開発を手掛ける会社さんに「活動をお手伝いできないか」という話をさせていただいて、それこそ311前には風車の建設が決まっていました。目的はとにかく「自然エネルギーの普及」でした。
 私自身は「まず風車を一本、やれれば」と思っていたんですが、震災が起き「事業としてどうなのか」という議論もある中、その頃渡邉がインタビューで「ウチは自然エネルギーに取り組んでる」という発言をしたんです。思い返せば、社としてもそこから成長をしていたころだったと思います。
 おのずと「何基風車をつくると原発分の電力になる?」という話が出てきて、いちばん最初にやるべきこととして、「グループの使用電力をすべて自然エネルギーにしよう」ということで落ち着きました。それが、2011年のことでした。

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 今回の「RE100」宣言は、たまたま外部の方から「やっていることがRE100そのものだから、加盟すれば?」という話があったんです。ですから、「RE100」のことを聞いて何かアクションを起こしたというよりは、それまでやってきたことが自然に「RE100」と合致したという流れでした。
 ワタミグループの経営理念には「環境に取り組む理由」として、環境宣言に3つの目標が組み込まれています。
 まず「美しい地球を、美しいまま子どもたちに残していこう」という大きな命題があります。その下に、一つは「地球上で事業を行う会社として、どうしても出てしまう環境負荷を限りなく小さくしよう」という、節電やゴミの削減について。
 残り2つのうちの一つは大切なポイントで、これはおこがましいかもしれませんが、「環境活動が経済活動であることを示して、他の企業を啓発しよう」ということがあります。そして最後には、「グループの成長と共に増えるグループ社員一人一人が、環境を意識するような活動をしよう」という、そういった理念がこの会社にはもともとあったんです。

ー実際に入ってみた時、それまでは現場で有機農業を見てこられたことと、素晴らしい理念をお持ちとはいえ、大きな企業の在り方にギャップは感じなかった?

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小出 ワタミとの出会いは、私が44の時でした。NPO活動は阪神淡路大震災の頃からですから、当時でもう15年ほど経っていました。その頃、ある意味で日本においてNPOとしてできることの限界みたいなことを感じていて、企業で働きながら、ソーシャルビジネスネットワークと言いますか、中間支援組織で活動をしていた時期でした。
 例えばNPOシリコンバレー・ネットワークとか、実はシリコンバレーがああやって元気な裏にはNPOがあるんです。ロンドンにも、ニュー・エコノミック・ファンデーションという自治体が関与している中間支援組織があって、そこはお金をNPOやソーシャルビジネスにファンドとして出しつつ同時に企業感覚で口も出すという、「そういう組織って必要だな」と思っていたんです。
 でもなかなか日本では、NPOの一員として目の当たりにしてきたのは、大企業さんでも10万円の支援がなかなか出来づらいという現実。何度ソーシャルビジネスの在り方を説明しても、「これは伝わらないな」と感じていました。

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 世界では、例えばパタゴニアさんのような会社は率先してその意義を理解、支援してくれているのに「日本って、何なんだろう」と思っていた時期でした。
 それが、ワタミに出会ったとき「何言ってるの、君は?」と。「ソーシャルビジネス」という言葉について「そもそも会社は『社会の公器』なんだから、そこにさらに『ソーシャル』って付けたら意味がダブつくだろう」というようなことを言われたんです。直感的に「あ、この会社ならば話が通じる」と思いました。
 そしてその、ワタミの理念集の1ページ目に書いてあるのは「人は何のために生まれてきたのか」ということなんです。「これが本当にこの会社の根幹であるならば、もしかしたらNPOの限界を突破できる可能性かもしれない」と、ここに賭けてみることにしたんです。
 私はもともとレイチェル・カーソンに啓発されて、しかし、悪化し続ける地球環境を次世代に渡していくには、それまでのNPO活動の延長では難しい。でも、絶対に諦めたくない。それで飛び込んだという感じでした。

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誰もが知る居酒屋、あの「ワタミ」のRE100宣言、いかがだったでしょうか?情熱的な小出社長のお話、次回もお楽しみに

 

(取材:平井有太)
2017.4.27 fri.
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