神奈川県の西部、足柄・大井地区と聞いて
ピンとくる方は少ないだろう。
東京から80キロと少し。
箱根の麓、小田原市に隣接し、
海と山に囲まれて太陽の恵みを存分に受ける自然豊かな地。
どこからでも富士山が見え、
意外なほど雄大な景色と出会うことができる観光地化されていない田舎町だ。
温暖な気候のため米も野菜づくりも盛んな地。自家消費率が高いため、自然農法にこだわる農家も多く、町ぐるみで取り組む再生エネルギーへの関心も高い。
この日はつがいの鴨が農作業をする人たちの横で我が家のごとくのんびりと過ごしていた。
加えてここは、富士山東山麓と丹沢山地を源流とした名水の地。
その名も「酒匂川」という川に沿うように、かつては酒蔵が建ち並び、酒造りが盛んに行われていたのだそうだ。
「灘の男酒、伏見の女酒」という言葉を聞いたことがある方も多いだろう。
これは水の硬度の違いが酒質に影響することを表したもの。一般には硬度が高いほうが酒造りに適しており、辛口に仕上がると言われている。
この地区でいまや2軒ほどになってしまった酒蔵のひとつ、寛政元年(1789年)創業という「井上酒造」の湧き水は、硬水。地下120mから一年中15度で湧き出る。
七代目・井上寛社長が目指す“自然エネルギー100%の酒”として誕生した「推譲」は、四合瓶700本ほどしか生産できない。
ソーラーエネルギーを活用して自然農法で作られた地元米キヌヒカリを酒米とし、自家の仕込み水で作られた貴重な…いや、いろんな思いや人の手や未来が詰まった酒なのだ。
すっきりとした白ワインのような味わいは、料理とのマリアージュを愉しむもよし、昼下がりにゆっくりと、ひとり本を読む贅沢な時間の友とするのも悪くない。
酒米農家 |
原材料名:米、米こうじ アルコール分:15度 精米歩合:70% 製造年:2021年 原料米:キヌヒカリ100% 農家名:小田原かなごてファーム 田んぼ所在:神奈川県小田原市桑原88-1 自然栽培 農薬不使用 収穫時期:2020年10月 耕作放棄地を2018年から再生した田 |
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酒造 |
井上酒造 杜氏名:湯浅俊作 醸造方法:速醸酛 所在地:神奈川県足柄上郡大井町上大井552 水:自社井戸(丹沢水系) 再生可能エネルギー100%利用 |
電気 |
おひるねみかんODAWARA発電所 所在地:神奈川県小田原市桑原88-1 発電方式:ソーラーシェアリング発電 |
さっそく、届きました!
ビンについてるQRコードを読み込んで、このページを読んだら早く飲みたくなりました!
ソーラーエネルギーを使い、しかもその下でお米も栽培され、その米を使った日本酒。
そんな推譲なので、より多くの人が心豊かになるように想いを込めて造りました。
この日本酒「推譲」を飲みながら、今までとは違う、持続可能な社会に向けた次世代に繋がっていく取り組みを感じていただけたら嬉しいです。
近いうちに多くの酒蔵が当然のように取り組んでいくであろう再生可能エネルギーをつかった酒造りを、早い段階で実現できたことは感謝しかありません。
この感謝の気持ちを忘れず、これからも持続可能かつ安心安全な米・電気を使った日本酒を、より多くの人に飲んでいただけるよう酒造りを続けてまいります。