2018.08.20
9月22日(土)、23日(日)の2日間、東京国際フォーラムにて『第3回 オーガニックライフスタイルEXPO』が開催される。過去2回はみんな電力も出展した。 「オーガニックレストラン村」、「アニマルウェルフェア」、「森里海ゾーン」、「エシカルファッション雑貨」など、多岐に渡るテーマに区分けされた会場の中で、ひときわ眩しく、美しいゾーンがある。それが「エシカルコスメゾーン」だ。 女性が日々直接肌につける化粧品がナチュラルで、身体に優しいものであるべきなのは、誰もが望んでいるものに思える。さらには、そういった製品はおのずと自然由来で、原料の出処、製造過程が地球環境に直結しているのは、よく考えれば当然のことなのかもしれない。 そんなエシカルコスメゾーンをプロデュースする、小松和子さん。名刺には「オーガニック・ナチュラルコスメビューティープロデューサー/ナチュラルコスメヘアメイクアップアーティスト」とある、オーガニックコスメのカリスマに話を聞いた。
ー約一ヶ月後、第3回のオーガニックライフスタイルEXPOが開催されます。 小松 私は初回から、エシカルコスメゾーンのプロデュースをさせていただいています。ここは、手前味噌で恐縮ですが、このEXPOのいわゆる花形ゾーンなんです。 ですから、食品やファッション、地域振興、フェアトレードなど様々なカテゴリーの中でも良い立ち位置をいただいています。そして私が主催している「NaturalLife & Beauty Academy」という、肌とオーガニックやナチュラルコスメの化粧品を学ぶアカデミーがこのコスメゾーンを監修しているかたちになります。
ーコスメについては、恥ずかしながら、基礎的なことから伺うことになるような気がします、、 小松 でも最近は男性でも、女子力のある男子が増えていますよね。シャンプーなんかは男性だって使うわけで、これもコスメですから。 一般的に多くの化粧品は世の中に環境配慮をされていないものが多いので、私たちは未来のないものを支持しないという信念でやっています。EXPOでも厳しい基準の下、こだわりを持って作られているメーカー様だけに出展していただいています。今回すばらしいブランドばかり、国内外合わせて23ブランドが揃っています。 ーそれは、以前より盛り上がってきている数なんでしょうか? 小松 数はオーガニックのコスメ業界全体として、すごく増えています。EXPOではこれくらいの数で収めているだけで、もう国内外で数えきれないほどのブランド、製品があります。 「オーガニック」と言葉でうたっていても、現状ではそうでないものも増えてますから、展示会としては審査をして、その中における高い敷居を維持しています。 ー化粧品もトレーサビリティで産地を明確にしようという、昨今の電力界の需要、動きとすごく似ている気がします。 小松 そうだと思います。「ビューティー」という言葉から連想させるものが、環境からかけ離れているイメージを持たれる方がいるかもしれませんが、実際には環境破壊に直結している業界でもあります。 食品と同じで、石鹸にもパーム油が使われていたりします。こういったナチュラル・オーガニックメーカーには「RSPO」というパーム油の生産と消費のバランスを考えた認証を持つものを使用したり、マイクロプラスチック問題など、様々な環境について意識の高いブランドさんが多くいらっしゃいます。 ーお値段は、やはり多少なり割高になるんでしょうか? 小松 多少はそうですね。原料にしても、限られた自然の資源の中からつくられるものが主ですから、価格が安価に抑えられ、便利に使える石油由来のものなどの多くが使えませんので、そういった意味での価格割高と言えます。とはいえ技術も高まり、コストを抑え、それでいて品質を維持するテクニックも進化しています。昔から比べると使用感もよくなってきているし、価格も安いものが増えてきている状況ができてきています。 ーあながち意識高い富裕層に向けた製品だけでもなくなってきている。
小松 最近は普通の薬局でも、オーガニック認証を持っている化粧品が売られたりするようになってきました。つい最近も、大手食品メーカーが価格の低いオーガニックコスメを発売したばかりです。 もちろん理想からすれば、市場はまだまだです。それに、多くの消費者は化粧品に対する認識が「オーガニックは肌に優しい」というイメージが強くて、「本質は環境コスメである」という認識がまったくない。オーガニックコスメを間違った解釈で選んでいます。「肌に優しい」というのはイメージであって、本当は食品のお蕎麦や牛乳などにアレルギーがあるように、化粧品の何かの成分にかぶれるということはありますので「確実に安心」とは言えないのです。 海外ではオーガニックコスメを買うことで「環境破壊を少しでも抑えられる」という意識の方が多いのですよね。日本ではそこに気づかれている方がまだまだ少ないです。 ー小松さんがそこに気づくことができたのは、なぜでしょう? 小松 一番のきっかけは自分が化学物質過敏症になったことです。もともとはヘアメーキャップ・アーティストとして、撮影業界で女優さんとお仕事をしてきました。こうした仕事は睡眠不足、食べ物はお弁当、さらに大きな仕事ではプレッシャーやストレスもすごくあります。 TVドラマや映画では主役を担当すると、当然作品の看板を背負うということになりますので、それはかなりのプレッシャーでした。撮影業界で20年間やっていく中で、まず自分の身体が30歳で自律神経失調症になってしまいました。さらにはそれをきっかけにアレルギー体質がひどくなり、最終的には化学物質過敏症という結果になりました。 撮影で女優さんたちのメイクをするためには、まず自分の手の甲でファンデーションや口紅を混ぜて色の調節をするのですが、ある時から、手に付けた化粧品でみるみるミミズ腫れになっていくようになりました。それを見て、そんなものを人様の肌につけてることが恐ろしいし、自分自身も「これではマズいぞ」と。 ー身をもって感じられた。
小松 今でこそ、化粧品の後ろに全成分表示があるんですが、当時は旧表示指定成分しか入っていなくて、すべての成分を知る術もなかったわけです。でも、化粧品の全成分表示が義務づけられるようになり、2001年以降に化粧品成分を調べてみたら「なるほど」と。そして、自分に合わなかった製品を並べ、成分を照らし合わせると、同じようなものがいっぱい入っていたわけです。 そうやって徐々に、「この中の何がどのように、私の身体によくないんだろう?」と調べるようになっていきました。私は頭が理系ではないので、最初は本当に苦手だったんですが、いろいろ調べてメーカーさんとコンタクトをとっていく中で、オーガニックの世界があることに気がついたんです。 もう16、7年くらい前、最初の出会いはドイツのロゴナというブランドでした。まだ日本にはほとんどオーガニック製品がない頃で、最初は海外に行った友達にお土産でもらったんです。それを使ってみると「あれ、痒くならない、赤くならない」、「これはどうしてだろう?」と思いました。 しばらくすると日本にも何社か、当時はドイツのものが多かったのですが、オーガニック製品が販売されるようになってきました。次第にオーガニックブランドさんとイベントやメークレッスンを開催するようになり、お客様から「実は私も」という、私と同じような体験をした方々が、肌に優しい化粧品を求めて来るようになったんです。 始めは「私のように肌で悩んでいる人が意外に多いのだな」と思った程度だったのが、続けるに従って「これはいよいよ、需要が本格的にある」というがわかってきて、現代の化粧品の在り方を深く考えさせられました。ここ数年の傾向は「日本人の肌には日本の馴染みのある製品を」と、国内発信ブランドもおのずと増えてきましたね。 こんな風にオーガニックに触れ、肌も身体の以前よりもいつの間にか安定して、気づいたらもうケミカルには戻れなくなってしまいました(笑)。
<お知らせ> 『ナチュラルライフ&ビューティーアカデミー』は2017年1月からスタートし、今迄、多くの受講生の方々がベーシックコースを修了し、それぞれのお仕事や、自分の為に活かされています。 なかなか知りたくても教えてもらえる場所がなかったオーガニック、ナチュラルに特化したスキンケア、メイクアップのベーシックな知識を1日で習得するコースになります。 今後のベーシックコースのスケジュールは以下の通り ↓↓↓↓↓ 東京校 9月30日(日) 12:30-17:30 10月20日(土)12:30-17:30 11月4日(日) 12:30-17:30 12月9日(日) 12:30-17:30 東京(アトリエ・スセリ)東京都港区南麻布1-5-14麻布東町マンション301 名古屋校 10月6日(土) 10:00-16:00 愛知県産業労働センター(ウィンクあいち1205室) 愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4番38号 話を伺うほど再エネとの共通項が見つかるオーガニックコスメの世界。小松さんインタビュー第2回は8/27(月)公開です。 →【第2回】小松和子|オーガニックコスメの第一人者に聞く https://tadori.jp/articles/273 →【最終回】小松和子|オーガニックコスメの第一人者に聞く https://tadori.jp/articles/271
エネルギーのポータルサイト「ENECT」編集長。1975年東京生、School of Visual Arts卒。96〜01年NY在住、2012〜15年福島市在住。家事と生活の現場から見えるSDGs実践家。あらゆる生命を軸に社会を促す「BIOCRACY(ビオクラシー)」提唱。著書に『虚人と巨人』(辰巳出版)など https://www.facebook.com/dojo.screening Twitter @soilscreening
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