2025.06.27
まな板って、思った以上に深い。 そのことに気づくだけで、毎日使っている道具の見え方が、少し変わってきます。 たとえば「板前」という言葉。まな板の前に立つ人を、私たちは料理のプロとして敬い、それは今も続いています。 毎日のように手にするまな板は、使い続けることで持ち主の手に少しずつ馴染んでいくもの。だからこそ、少しの傷なら削って直し、長く大切に使うという文化もありました。 さらに、日本には「道具には魂が宿る」という付喪神(つくもがみ)の信仰もあり、役目を終えたまな板を供養する風習まであったのです。 どれも、現代の生活ではあまり意識されない「まな板」の側面。けれど、そんな背景を知るだけで、ぐっと魅力的に感じるものです。 こだわりたくなる理由が、そこにはちゃんとある。 木の肌ざわりや香り、板目の表情、乾きやすさ——他の調理道具と違って、感覚的に「好き」を見つけやすいのも、まな板の面白さです。 そして今回ご紹介したいのは、そんなこだわりの入り口になるまな板。未来につながるものづくりを考え抜いて生まれた、とっておきの一枚です。
傷ついても捨てない。 育て続ける「まな板」
長く使い続けられる 「3つの理由」
暮らしの中で、 森とつながる
まな板からはじまる、 未来の選びかた
紹介するのは、「長生きする、まな板」です。 これは、捨てないことを前提に設計されたまな板。言い換えれば、暮らしの中で長く使い続けられ、使い手とともに育っていく道具です。 まな板は、料理道具の中で基本的で、触れる時間が長いものかもしれません。包丁の刃が最初に触れる場所であり、食材の手触りや音、香りが立ち上がる舞台でもあります。毎日の料理のリズムとともに、まな板には少しずつ使う人の時間が刻まれていきます。 このまな板に使われているのは、宮城県産のいちょうの天然一枚板。いちょうは、日本で江戸時代頃からまな板に使われてきた木で、柔らかく、粘りがあるのが特長です。刃当たりがやさしく包丁を傷めにくいため、道具を長く大切に使いたい人にぴったりです。 また、乾きやすく水切れが良いため、木のまな板にありがちな「カビやすいのでは?」という不安も、適切にお手入れすれば気にせず使えます。濡れたあとはサッと拭いて立てかける。それだけで、気持ちよく長く使い続けることができます。 厚みは2.5cm。傷やくぼみができても、表面を削ることで再生できます。 さらに、寿命を迎えてもその素材はアップサイクルされ、別のプロダクトへと生まれ変わっていきます。使い捨てではなく、使い続けることを前提に作られたまな板です。 日々の料理に寄り添うこの一枚が、暮らしに少しの豊かさと、確かな手応えをもたらしてくれます。
このまな板の魅力をより深く知っていただくために、他の素材や製法との違いをご紹介します。
■プラスチックや合成樹脂との違い
よく見かけるのが、プラスチックや合成樹脂のまな板。軽くて扱いやすく、価格も手頃。でも実は、刃が当たるたびに細かい傷が入りやすく、そこに雑菌がたまりやすいという側面があります。また、熱による変形やにおい移りも起きやすく、買い替えが早いことも少なくありません。 それに比べてこのまな板は、包丁にやさしく、カビにも強い。そして、何より削って蘇らせることで、長く付き合えることが大きな違いです。
■ヒノキや他の木材との違い
木のまな板にもいろいろありますが、「いちょう」はその中でも料理に適した素材として古くから使われてきました。 たとえばヒノキ。香りは良いですが、油分が多く乾きにくいため、黒ずみが出やすいという面があります。逆にいちょうは油分を適度に含み、水はけが良く、乾きが早い。だから、日々の手入れも簡単で、清潔に使い続けることができます。 また、いちょうの柔らかく粘りのある質感は、包丁の刃をやさしく受け止めてくれる特徴も。これは硬い木材にはない、いちょう特有の魅力です。
■乾燥方法の違い
木材は伐採されたあと「乾燥」という工程を経て、製品になります。多くのまな板は生産効率を重視し、高温で一気に水分を飛ばす高温乾燥が採用されています。けれどそれは、木の内部に応力を残し、割れやすさや反りの原因にもなります。 このまな板では、天然乾燥という、もっとも自然に近い方法を選択。時間はかかりますが、木の中までじっくりと乾かすことで、素材そのものの安定性と強さが引き出されているのです。
このまな板を選ぶことは、毎日の料理を少し豊かにするだけでなく、日本の森林とその未来に静かに手を添えることにもなります。 製造を担っているのは、宮城県・栗原市に本社を置く木材加工会社「KURIMOKU」。 「KURIMOKU」は、長年にわたって地域の木を見つめてきた、木材のプロフェッショナル。合板ではなく、無垢材の個性を活かす技術と哲学を大切にし、家具や建材、道具などを丁寧に作り続けてきました。人々の暮らしとともに、木の価値を伝えてきた歴史があります。 このまな板は、そんな「KURIMOKU」と対話を重ねながら、削って、直して、最後は別のかたちで使い切るという、捨てない設計を目指して共同開発しました。 使用するいちょう材は、「KURIMOKU」が管理・調達した宮城県産の天然木。その収益の一部は、地元の森林整備や植林活動へと還元されていきます。 つまり、このまな板を手に取ることは、森の命を無駄にせず、再び木を育てていく営みに参加することでもあるのです。
私たちの暮らしは、日々の選択の積み重ねでできています。そのひとつに、「どんな道具と暮らすか?」という問いがあります。 使うほどに手に馴染み、手をかければまた蘇るまな板。それは、ただの調理道具ではなく、育てていく道具とも言える存在です。 そして、「長生きする、まな板」を選ぶことは、森とつながる選択でもあります。自然の恵みを受け取りながら、次の世代へつないでいく——そんな循環の一部になれることは、ちょっとした誇りになるかもしれません。 料理が、もっと楽しくなる。 道具に、もっと愛着が湧く。 暮らしが、少しだけ豊かに見えてくる。 そんな未来を、この一枚からはじめてみませんか。
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