
2026.05.21
紙コップリサイクルの現場から
1.使用済み紙コップをリサイクル工場へ送る
2.送られてきた使用済み紙コップの状態をチェックする
3.紙コップを破砕・洗浄する
私たちが日常的に使っている紙コップ。 実はこれまで、使用後はほとんどが「燃えるごみ」として処分されてきました。飲み残しや臭いなどの衛生面の課題、さらに内側のラミネート加工が分離しにくいことから、リサイクルが難しい素材とされてきたからです。 しかし今、その常識が少しずつ変わり始めています。 本記事では、Vol.1に引き続き「中津川 WILD WOOD 2025」で回収した使用済み紙コップが、どのような工程を経て、「中津川 WILD WOOD×choito×UPDATER」のオリジナルグッズへと生まれ変わっていくのか、その最初のステップとなる工場での工程を紹介します。

choitoの紙コップリサイクル・ステップ図
まず、使用済み紙コップは、「中津川 WILD WOOD 2025」のエコステーションで来場者に分別していただいた後、段ボール箱にまとめられ、東京資源株式会社の越谷事業所へと送られました。 ここは、使用済み紙コップが「ごみ」から「布素材の原料」へと生まれ変わる場所です。

東京資源株式会社・越谷事業所の紙コップをリサイクルする機械
回収された使用済み紙コップは、まず受け入れ時に状態をチェックされます。飲み残しが極端に多いもの、異物が混入しているものは、リサイクル資源としては不適合で、東京資源でのリサイクルが出来ません。そのため、紙コップリサイクルが成立するかどうかは、実は「回収時の分別」に大きく左右されているのです。

越谷営業所に送られてきた使用済み紙コップを機械まで運ぶ様子
それだけでなく、この後の手作業が伴う破砕・洗浄工程においても、飲み残しなどは、作業スタッフの衛生面や、異臭などの労働環境にも影響するため、汚れが著しいものや異物混入が目立つものは、受入れをお断りされています。

越谷営業所に送られてきた使用済み紙コップ
そのため、エコステーションでの回収時にボランティアスタッフからお願いした「飲み残しがない回収へのご協力」は、リサイクル・スタッフどちらにとっても重要な配慮の一つです。

エコステーションで回収する紙コップ
その後、紙コップは「破砕・洗浄」といったリサイクルの前処理工程に入ります。 この「破砕」と「洗浄」は、紙コップを製品へリサイクルするにおいて、とても大切な工程です。専用の機械で、紙コップに付いている飲み残しや異物をしっかりと取り除き、紙として再利用可能な状態へと近づけていきます。
紙コップを破砕・洗浄する機械
破砕工程では、紙コップは「形」を失います。カップとしての役割を終え、細かく砕かれ、他のリサイクル原料と同じ土俵に立つ準備をするのです。この瞬間は、紙コップが紙コップであることをやめる瞬間でもあります。

使用済み紙コップを破砕する様子
破砕後の紙コップは、次に洗浄工程へと進みます。 紙コップは一見「紙」ですが、飲料が直接触れている分、汚れや臭いが残りやすい素材です。ここでは水を使い、汚れを丁寧に洗い流していきます。この工程を経ることで、紙コップはようやく「再利用できる紙原料」としての条件を満たします。 破砕・洗浄を終えた紙コップは、日本製紙株式会社の富士工場へと運ばれ、紙の原料である「再生パルプ」へと生まれ変わります。
破砕・洗浄した後に、異物として検知された端材が排出される様子
機械から出てきた、破砕・洗浄済の紙コップ
こうして生まれた古紙パルプが、紙糸製品の原料として利用されます。再生パルプにバージンパルプを混ぜ、抄紙・スリット・撚糸・縫製といった工程を経て、ハンカチ(裏面に紙糸を使用)やバッグなどのリサイクル製品へと姿を変えていきます。
UPDATERが運営する「みんな商店」のchoitoグッズ販売コーナー(37棚商店街)
リサイクルは、ただ「ごみ」を回収するだけでは成立しません。 目の前で行われている地道な工程の積み重ねが、循環の質を決めています。 次回のVol.3では、こうして生まれた素材がどのように最終調整され、グッズとして私たちの手元に届くのか、その最後の工程を紹介します。 捨てられていた紙コップが、再び人の手に戻るまで。その道のりは、確実に未来へとつながっています。

エネルギーのポータルサイト「ENECT」編集長。1975年東京生、School of Visual Arts卒。96〜01年NY在住、2012〜15年福島市在住。家事と生活の現場から見えるSDGs実践家。あらゆる生命を軸に社会を促す「BIOCRACY(ビオクラシー)」提唱。著書に『虚人と巨人』(辰巳出版)など https://www.facebook.com/dojo.screening Twitter @soilscreening
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