電力の不思議を再エネ三銃士が紐解く!はてな①「石炭や石油の発電所から電気を仕入れているのに、どうしてお金を払えば自然エネルギー100%になるの?」
読みもの|8.27 Thu

 たくさんの方に読んでいただいた

「【緊急寄稿】10分でわかる!自然エネルギー系新電力を選ぶ前に確認したい、7つのポイント」
 好評をいただいた一方で、不思議な制度やよくわからない仕組みに首をひねってしまう方も多かったようです。

 このシリーズでは、
<7つのポイント記事>でもサラッと説明されていたけれど、もうちょっと詳しくお伝えしたい!
というポイントを、電力・再エネの専門家が、背景にある制度の説明も交えながら、なるべくわかりやすく解説します。

 全7回の連載を通じて、皆さまから寄せられた7つのはてなを紐解いていきます。
はてな①「石炭や石油の発電所から電気を仕入れているのに、どうしてお金を払えば自然エネルギー100%になるの?」

はてな②「食品でいう成分表のようなものなのに、電源構成を開示しなくてもいいの?」

はてな③「結局、環境に優しい電気ってなに?」

はてな④「自然環境や地域資源を著しく破壊する発電所の電気は選ばない企業があるって本当?どうやって選ぶの?」

はてな⑤「自分の電気代ってどのように使われているの?」

はてな⑥「電源調達の世界ってどうなってるの?」

はてな⑦「どうして電気の切替が、省エネよりも、自動車に乗らないよりも、気候変動抑止に貢献できるの?」

まず、このシリーズの解説者、みんな電力社が誇る再エネ三銃士をご紹介させてください。

(左から真野、三宅、梶山)

三宅成也
関西電力原子力部門にて13年間勤務。その後、アーサー・D・リトル、KPMGコンサルティングにて幅広い業界のコンサルティングの経験を積む。小売電力事業の責任者として、ブロックチェーンP2P電力プラットフォームの開発などに取り組んでいる。
「共著『コスト削減と再エネ導入を成功させる 最強の電力調達 完全ガイド』(日経BP)」

真野秀太
株式会社三菱総合研究所、自然エネルギー財団を経て、SBエナジー株式会社にて再生可能エネルギー発電事業に携わる。自他共に認めるみんな電力イチの再エネオタク。

梶山善規
東京電力で15年間勤務。主に小売料金戦略や託送料金設定などに従事。出光興産、エネットを経て、2019年よりみんな電力にジョイン。料金設計、約款と言えばこの人。

 ではさっそく本題にまいりましょう!

 はてな①「石炭や石油の発電所から電気を仕入れているのに、どうしてお金を払えば自然エネルギー100%になるの?」

事業本部ソリューション営業部部長の真野が解説します。

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 日本全体の電源構成を見ると、自然エネルギー由来の電気は2割もないのに、自然エネルギー100%プランを用意する電力会社が増えているのはご存知でしょうか?実は、ある制度を使えば、どの電力会社でも実質的に自然エネルギー100%プランを作ることができるんです。 今回はこのはてなについて解説していきます。

電源構成とんかつ用

 どうして今、自然エネ100%プランが乱立しているのかというと、日本では、電気そのものの価値と「環境価値」が分離して流通しており、日本の制度では、どのように作られた電気かにかかわらず、「環境価値」を買い足せば、「実質自然エネルギー」と言っていいことになっています。

 

日本では全て再エネとして販売できる

 まず、「環境価値」について説明します。化石燃料を燃やすことによって作られる電気も、太陽光や風力といった方法で発電される電気も、電気の価値としては同じものです。しかし、自然エネルギーは発電時にCO2を排出しないので、この部分を評価するために、「環境価値」を持っているとみなされます。電気そのものの価値に、「環境価値」がプラスされて乗っているイメージです。

日本では全て再エネとして販売できる-2

 そして、この「環境価値」は売買することができます。「環境価値」を購入することで、CO2を削減したと見なされるため、例えば、石炭火力で電気を作ったとしても、CO2排出分の「環境価値」を購入すれば、「実質自然エネ100%」として販売することが可能です。 この「環境価値」は、「非化石証書」「グリーン電力証書」「Jクレジット」として取引されています。
電力会社はこれらを購入することで、自然エネ100%プランを作っています。

 それぞれの証書について簡単に説明すると、「非化石証書」は、これまで流通していたものはFIT由来と言われ、FIT制度を活用して作られた自然エネルギー(FIT電気)の「環境価値」のことであり、「グリーン電力証書」は、プロジェクトを実施することで生まれた自然エネの「環境価値」です。
証書の購入者は、自然エネルギーを買ったことになります。
「Jクレジット制度」とは、植林や省エネ、再エネ利用によって削減されたCO2の権利を渡せるというものです。
例えば、あなたが屋根に太陽光を乗せて、自ら作った電気を使用した場合、その建物がもともと排出していた分のCO2が減ります。
削減できたCO2分は、自分で使わず、誰かにクレジットとして売ることができ、
買い手は「Jクレジット」を購入することで、自ら排出したCO2を相殺することができます。

日本では全て再エネとして販売できる-3

 まとめると、「非化石証書」「グリーン電力証書」「Jクレジット」を購入することによって、CO2フリーメニューを作ることができて、それを実質自然エネルギー100%プランとして販売できるのが現在の日本の制度です。

ここで皆さんに投げかけたい質問は、

「自然エネルギーを使いたくて、自然エネ100%のプランを選んで電気を切り替えた人の電気が、実は火力発電に環境価値を購入して作られた自然エネルギーだったらどう思うのか?」

ということです。

 自然エネ100%プランを選んだとしても、火力発電の電気に証書を当てていた場合は、毎月の電気料金の一部が火力発電所に支払われることになるため、結果的に維持・促進していることになります。そのため、電源構成をよく確認して、電気を選んで買うことが重要だと私は考えています。

食品でいう成分表のようなものなのに、電源構成を開示しなくてもいいの?」
を専務取締役事業本部長の三宅が解説します。

CO2の削減だけではなく、電気がどのように作られているのかを意識して選びたい方はぜひお読みください!

(取材・文:長島遼大)
2020.7.6.Mon.

はてな①「石炭や石油の発電所から電気を仕入れているのに、どうしてお金を払えば自然エネルギー100%になるの?」

はてな②「食品でいう成分表のようなものなのに、電源構成を開示しなくてもいいの?」

はてな③「結局、環境に優しい電気ってなに?」

はてな④「自然環境や地域資源を著しく破壊する発電所の電気は選ばない企業があるって本当?どうやって選ぶの?」

はてな⑤「自分の電気代ってどのように使われているの?」

はてな⑥「電源調達の世界ってどうなってるの?」

はてな⑦「どうして電気の切替が、省エネよりも、自動車に乗らないよりも、気候変動抑止に貢献できるの?」

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