オリジナル省エネ製品で、環境とエネルギー問題の解決に挑戦! 株式会社長谷川電気工業所 長谷川雄一さん
読みもの|12.22 Thu

サステナブル・イノベーション・インタビュー
オリジナル省エネ製品で、環境とエネルギー問題の解決に挑戦!

株式会社長谷川電気工業所 長谷川雄一さん

 サステナブル・イノベーションを推進する方々からお話をうかがい、地球に優しく清新な暮らしのアイデアを探していきます。3回目は、「総合設備」の技術で、快適な社会空間づくりと環境とエネルギーに貢献する株式会社長谷川電気工業所 代表の長谷川雄一さんに「エネルギー×IT」についてインタビューしました。

株式会社長谷川電気工業所・長谷川雄一さん
株式会社長谷川電気工業所 代表取締役 長谷川雄一さん

人と地球の快適な環境づくりに取り組む「総合設備業」

~まず御社(株式会社長谷川電気工業所)の成り立ちについて、教えてください。

長谷川 1946年に祖父が新潟県村上市で創業し、今年で創立70年を迎えました。本社は現在も村上市にあり、営業所は新潟県を中心に運営し、その他、東京と関西に拠点があります。また1979年に株式会社長谷川エンジニアリングサービス、2004年には株式会社アビリティサポートセンター、2010年には株式会社環境経済リサーチを設立しました。

~大変歴史のある会社ですね。事業についてご紹介をお願いします。

長谷川 もともとは、電気工事や設備工事を主要業務とする会社で、公共事業は、発電所などの仕事を中心に行ってきました。民間では、ビルや工場の大型施設の電気工事や空調、給排水などの工事を受注しています。通常、電気工事会社は電気の工事だけをし、設備会社は、給排水や空調システムしか手がけませんが、当社は電気工事と設備工事の両面を履行できる、トータルな総合設備業であることが特徴です。

 2000年以降、世の中の流れもあり公共事業が減少し、バブル崩壊以降不況もつづき民間事業の需要も期待できない状況でした。
 そこで今までの事業から新しいプロダクトを構築しようと、模索するようになりました。そして電気工事と設備工事で感じたニーズを、ICT(情報通信技術)と連動し、顧客満足度を高めるプロットや社会貢献ができる独自の製品をつくる取り組みを始めたのです。

~自社製品の構築にあたり、どのような計画をたてたのですか?

長谷川 当時、照明の省エネニーズも高まっていたこともあり、経営ビジョンを再建し、
将来性のあるエネルギーをターゲットとしました。
 私自身が、前職で通信ソフトの開発に携わっていたので、コンピュータで、
電気機器や設備機器をコントロールする省エネ製品を開発できないかと思っていたのです。
また1997年の京都議定書から地球の温暖化を引き起こすCO2の削減が話題となっていたこともあり、
省エネルギーで環境貢献をしたいと考えました。

~自社の特徴を見極めながら、技術革新で製品の開発をしようとしたのですか?

長谷川 はい。まず新規事業の2つの柱を確立させることを目標としました。
1つ目は、自社から提案できる商品を開発すること、2つ目は、安定的に収益を得られる事業を築き上げることをテーマとしたのです。
 その上で、電気系部門の社員、空調系部門の社員に加え、新たにソフトウェアに強くプログラミングできる人材を採用。
チームでアイデアを出し、安定した収入を得られるモデルを構築しました。そして2006年、
当社独自開発である水冷式空調のポンプをインバータ制御する『Eco Vision(以下、「エコ・ビジョン」)』を販売開始したのです。

ITの力と万全なサポート力を併せもつ「エコ・ビジョン」!

株式会社長谷川電気工業所・長谷川雄一さん
セントラル空調対応省エネシステム「エコ・ビジョン」

~それでは、省エネシステム「エコ・ビジョン」についてご案内ください。

長谷川 「エコ・ビジョン」は、 セントラル空調対応の省エネシステムです。
「最適な流量制御システム」と「万全なヒューマンサポートシステム」という
2つの大きな特徴があります。
 まず、ITを活用した技術面から話します。従来定量(100%)運転していた冷温水ポンプ、
冷却水ポンプをインバータで流量制御し、負荷に応じて運転させることにより、ムダに消費されていた電力を大幅に削減しました。

~なかなか難しいお話ですね。そもそもセントラル空調設備の仕組みはどのようになっているのでしょうか?

長谷川 通常の空調設備は、冷温水ポンプ、冷却水ポンプを最大の出力で運転しています。
しかし、一番多くエネルギーを必要とするのは運転を開始した時で、一定温度になると空調の動作が落ち着くため、大きなエネルギーは必要無くなります。つまり、従来型の空調設備だと常にポンプをフル稼働しているため、ムダな電力を消費しているのです。

~なるほど。一旦設定温度に達したら、フル稼働しているポンプを制御することで、消費電力を抑えることができるのですね。

長谷川 そうです。「エコ・ビジョン」は、インバータでポンプの流量制御の改善を図ることで、今まで無駄に消費されていた電力を大幅に削減します。
 冷暖房の65~90%の電力を削減するので、節電効果を感じていただけるシステムです。CO2を削減し環境貢献を行いながら、省エネ効果によるコストダウンを果たします。つまり2つのニーズを満たすことができるシステムです。
 この負荷連動流量制御型削減方法は、当社がオリジナルで開発したもので、特許も取得しました。

株式会社長谷川電気工業所・長谷川雄一さん
モニターの通常監視画面で、数値管理をしている

~今までの技術にITを併せたオリジナル製品の特徴を伺いましたが、次に、「万全なヒューマンサポートシステム」について、詳しくお聞かせください。

長谷川 現在、さまざまな省エネシステムがありますが、その効果が良くわからないものが多く、システムの費用対効果が不明確で、ご利用を考える企業様がシステムの導入に二の足を踏むケースが良く見られます。
 「エコ・ビジョン」は、数値管理を「見える化」し、日常の設備の運転状況、電気の使用状況を常に監視して、それらのデータを蓄積しています。瞬時値、24時間、1ヶ月などの削減効果をリアルタイムで確認できます。

~データの数値を「見える化」することにより、お客様にシステム導入後のコストダウンも実感していただけるのですね。

長谷川 そうなのです。サポートシステムとして、インターネットを利用し、専門スタッフがシステムを遠隔管理し、監視制御やメンテナンスなどを24時間サポートしています。万が一システムに障害が出た場合、サポートセンター及びメンテナンス担当者の携帯電話に緊急メールが送信され、迅速に対応するので安心です。

株式会社長谷川電気工業所・長谷川雄一さん
遠隔監視で、サポートセンターと担当者と連携している

~CO2削減の環境貢献についての工夫を教えてください。

長谷川 「エコ・ビジョン」は、J-クレジット制度で定められた排出削減方法論に合致しています。排出期間で承認を受け、CO2削減量の認証を得ることができます。J-クレジットで排出削減量の認証を得るためには、プロジェクト計画書やモニタリング報告書の作成が必要となります。地球温暖化対策に貢献するシステムです。

株式会社長谷川電気工業所・長谷川雄一さん
小型「エコ・ビジョン」

~このシステムは、省エネ、サポート、エコ対応の総合力ですが、購入されるお客様からしますと、何と言っても節電効果が実感できるのが、一番嬉しいのではないでしょうか?

長谷川 はい、「エコ・ビジョン」を導入した次の日から電気料金を大幅にダウンさせ、施設(ホテル~ショッピング・モール)の大きさにもよりますが、
年間削減額は、200万円~1000万円です。特別養護老人ホームなどではこのシステムを採用するだけで、
電気代の4分の1を削減できますので、経済的効果を実感いただけます。特別養護老人ホームの方に伺いますと、
「浮いた経費を利用者に還元していくことはもちろん、CO2削減に少しでも貢献できて嬉しい」と答えていただきました。
販売実績は、100件を超えています。

~今ではヒット商品となった「エコ・ビジョン」ですが、販売当時は、ご苦労もあったのでは?

長谷川 そうですね。今年で「エコ・ビジョン」を販売してから10年が経ちました。1号機を提案したのは、電気工事を行わせていただいていた老人ホームです。「施設の経営が厳しく照明などの電気代の削減に取り組んでいる」とのお話を伺い、月間電力量の削減率や電気代を下げる仕組みをご案内し、「上手くいかなかったらすべて元に戻します。その費用も負担します」とお伝えしました。導入後、月間電力削減率98.3%を達成し、削減効果を実感していただき、購入を決めてくださいました。しかし最初の頃は、疑心暗鬼な企業様も多く、「ポンプにかかる消費電力の70~80%を削減することを保証」し、削減できない場合は差額分をお支払いするとまでお伝えし、導入検討していただいたこともあります。

~1つの製品を開発し、販売することは多くのご苦労が伴うものですね。それと同時に喜びも多くあったのではないでしょうか。

長谷川 福祉関連などの施設では、経費削減にご苦労なさっている所もありますので、その一助となったことは嬉しいことです。また省エネ技術を認めていただき、2年前に中国への販売も実施しました。今後は、地元の長岡技術大学と第四銀行と連携し、発電能力が不足するタイで販売を開始します。タイは海外から電気を買うなどしているため、電気代が高いそうです。経済が成熟しつつあるタイでは、各種事業分野で電気料金のコスト面から、また世界的な取り組みになるであろう温室効果ガスの削減という面で、消費電力の削減に意識が向かうとみられています。当社の空調省エネ製品「エコ・ビジョン」の技術が、タイの経済発展にも役立てられると思っています。

株式会社長谷川電気工業所・長谷川雄一さん
国内のみならず海外も視野に入れた「エコ・ビジョン」の展開

「MOTTAINAI(もったいない)」という世界共通語である日本精神を伝えていきたい。

~御社のターゲットは「IT×エネルギー」ですが、みんな電力の行っている事業にどのようなことを感じていますか。

長谷川 電力の地産地消や「顔の見える発電所」など再生可能エネルギーを中心とした新しい試みを、
ITを駆使し事業を進める姿勢に共感します。
 欧州やアメリカでは、すでに行われていますが、自分が何で作った電気を使いたいか、CO2の排出量はどのくらいかなど、
今後、バランスがとれたエネルギーミックスの時代を迎えますので、その先駆けとなる新電力ですよね。
2020年の電力大改革には、再生可能エネルギーの果たす役割も大きく、みんな電力の取り組みにも関心を寄せています。
 今後消費者がどのように電力を使っていくかというのが、鍵。
今後取り引きが活発になり、環境や自分達の暮らしの中で、電気について考える人が増えると、コンテンツのおもしろさが引き立つのではと感じています。エネルギーと人の関係も豊かになる仕組みが良いと思っています。

~ありがとうございます。最後に、今後のビジョンや次世代に向けて取り組みたいことを教えてください。

長谷川 省エネは、知恵であり、技術革新のイノベーションだと思っています。
日本の省エネ技術は、世界でもトップレベルです。1973年の石油危機から、省エネ法が制定され、
それ以降、特に産業部門は省エネが進んでおり、一般の国民の生活エネルギー消費が増加しているのに対し、産業部門は減少しています。
 それは、まさに日本のテクノロジーの飛躍。世界共通語として、「MOTAINAI(もったいない)」という言葉がありますが、本来、物の本来あるべき姿がなくなるのを惜しみ、嘆く気持ちを表しているそうです。一般的に「物の価値を十分に生かしきれておらず無駄になっている」状態やそのような状態にしてしまう行為を、戒める意味で使われていますが、この日本の「MOTAINAI」という精神を広めていけると良いなと思っています。そして省エネ製品を広報し、国際貢献するためにもビジネスを行っていきたいです。

長谷川雄一
東京理科大学卒業後、IT通信企業でソフト開発を手掛け、90年から長谷川電気工業所の経営に携わる。
現在、株式会社長谷川電気工業所、グループ会社、株式会社長谷川エンジニアリングサービス、株式会社アビリティサポートセンター、
株式会社環境経済リサーチの代表を務める。また持続可能な経済社会モデルの創造と実践のための企業コンソーシアム「環境ビジネス総合研究所」理事を務める。

株式会社長谷川電気工業所 代表取締役
https://www.hei.co.jp/

グループ会社
株式会社長谷川エンジニアリングサービス
https://www.hei.co.jp/hes/

株式会社アビリティサポートセンター
http://asc-job.com/

株式会社環境経済リサーチ
http://seri2010.jp/

<ライター紹介> 松浦はるの(まつうら・はるの) ジョシエネLABO事務局スタッフ。
インターネット放送「eco japan cup TV」の元企画構成・司会。現在は経験を活かし、ネット生放送「ジョシエネROOM」企画構成を担当。
2016年7月にママカフェ『お買い物気分で、電力選び!』を始め、主婦向け講座「学びのママ会」の企画実施並びに開催運営を行っている。

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