【後編】小泉今日子、想いと素材を循環させる、大きな挑戦
読みもの|4.1 Tue

誰もが豊かな文化を享受できる社会

 キョンキョンこと小泉今日子さんのツアー「KYOKO KOIZUMI TOUR 2024 BALLAD CLASSICS」で、近い未来の地球と社会を維持するためのスタンダードになるべき取り組みについて、全3回の最終回。

 今回はステージや公演の見える部分ではなく、ご本人曰く「前からやってみたかった。子ども食堂は浸透しやすいけど、一番文化的な感受性が豊かな時に体験してもらう」との想いで、見えないところにどんな仕掛けがあったかをお伝えします。

 アーティストに社会のどこかしらをアップデートさせたい想いがあれば、そこに向かって全力でお供するのがUPDATER。今回は特にカーボンオフセットのお手伝い含めできる限りサポートさせていただき、結果関係者の誰もが、取り組み前には想像できていなかったシナジーが生まれたのでした。

シェルターなんようホールの外観壁面に張られている太陽光パネル

 2024年12月21日、今回のツアーファイナルである山形県南陽市・シェルターなんようホールで開催された「KYOKO KOIZUMI TOUR 2024 BALLAD CLASSICS」に、同県内のひとり親家庭の親子4組8名が招待されました。その発案者は小泉さん。それは、小泉さんの「地域間格差や経済的な理由でライブや舞台など、文化的経験の機会が少ない子どもたちに、体験の場を提供したい」との想いを受けたUPDATERと、もともとみんな電力と再生可能エネルギーを通じて交流のある山形カシオ株式会社さまのご協力がありました。

山形カシオさまより県内の施設に告知いただいたチラシ

  現代社会では、日本でも7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われています。「多くの可能性を秘めた子どもたちの未来のために、自分にできることを」という小泉さんの希望を具現化すべく、山形カシオさまとさらに同県内で活動するNPO法人が連携、「“繋がる”文化的・体験的プログラム」と銘打った企画が実現したのでした。

 子どもたちにとっては初体験でもある”劇場”という空間で舞台装置、生演奏、アーティストの躍動を目の当たりにして、あらゆるすべてが特別な状況。さらに小泉さんからは特別にバックステージツアーとして、リハーサル見学、写真撮影etc.数々のサプライズが用意されていました。

 まず、まだ来場者のいない1,400 名収容のホール観客席に、ご招待の8名が座り、リハと称して2曲を披露。しかも小泉さんは演奏後、ステージから歩み寄って4組の親子に優しく話しかけてくれました。
「ステージに上がってみる?」
という声がけから、全員をステージ上まで導いてくださり、実際に本番で立つ杉の木製の円形ステージに乗り、舞台から眺める景色を体感。同時に照明の様子や、バンドメンバーから楽器を触らせてもらったり、ドラムセットの中に入り叩いてみたり、トランペット等ステージ上にある楽器を見て驚かせてもらいました。

 最後にはステージ上で記念撮影。この写真を、子どもたちがいつか成長して見返す頃には、近くに本物のキョンキョンがいたこと。プロのバンドメンバーと会話をしたこと。そういった日常では体験できない、もしかするとこの先一生経験しないかもしれない、ある意味でシュールな体験が心に刻まれたのではないでしょうか。

入口では来場者様に向けてのメッセージでお出迎え

目の前に本物のキョンキョンがいた

  舞台上からの景色を見て、楽器の演奏まで体験でき、至近距離で生のキョンキョンに会えた喜びで涙を流したお母さまの一人が感想をくれました。
「コンサート前から涙が止まらなかった。目の前にキョンキョンがいるなんて、信じられない素敵な時間。子どもに笑顔になって欲しくて応募した。最初は『ふーん』程度の子どもが、どんどん小泉さんの魅力に引き込まれて、目がキラキラしていった」

 本番がはじまり、特等席でコンサートを観た後は、再度裏口から楽屋へ。そこでも小泉さんとの記念写真撮影など、4組の親子の忘れられない思い出がたくさんできました。
 他にも、「このような素晴らしいコンサートに息子と行けて、喜びを共有できたことは一生の思い出です。息子は興奮して『人生初のコンサートがキョンキョンでよかった。ファンになった』と、余韻に浸っています」や、UPDATERとしては嬉しい「サステナブルという言葉はよく耳にするが、カーボンオフセットという言葉は今回のプログラムではじめて知った」という感想も寄せられました。

ツアーファイナルにふさわしく、会場はなんと、ギネス認定の木造コンサートホール

 お子さまたちが残してくれた感想もあります。
 12歳の男の子は「経験が増えた1日でした。人生初のライブ。ステージがキラキラしていてよかった」。
 18歳で、これから建築を学ぶという青年は「来年からは専門学生。建築について学び今回のコンサートホールのような木造建築を建てるのが夢、叶えられるように頑張りたい」と言っていました。
 ツアー関係者の一人は、そんな親子のリアクションや、取り組みの一部始終を見て「幼少期、いろいろな職業との出会いがあったからこそ今があることを思い出す。自分自身、若い頃にバックステージの景色を見た経験が今の仕事のきっかけ。今日の出来事も、照明という仕事や、舞台、木造ホールの建築など、それぞれの夢に繋がっていくでしょう」と語られました。

左:山形カシオ株式会社 代表取締役社長 木村 真一さま、右:株式会社UPDATER 代表取締役 大石英司

 そして、山形カシオスタッフの方は「これまでの人生ではじめての体験ばかりで、ゲスト同様楽しませていただきました。私自身も、地元自治体ならびにひとり親家庭支援のNPOとのやりとりを含め、大変やりがいをもって楽しませていただきました。コンサート終了後の子どもたちの輝くような笑顔、感動で目頭が熱くなるアンケート、いずれにしても心洗われるような体験で、たいへん感謝しております。それぞれの得意なところを持ち寄って、新しい価値を生み出していける体験プログラムになったのではないか」と目を細めていました。

大人の想像も超えた「誰でもできる」可能性

 つまり、各所で誰の想像をも超えた化学反応が生まれていたのです。
 ただライブを体験するだけではない。
 それも子どもだけではなく、それぞれの文脈でコンサートに関わった大人にとっても、新しい何かを発見したり古い何かを思い出したり。誰も想像できていなかった繋がりが生まれたことが、今回の試みのとても素敵な収穫でした。

 ただ音楽が素晴らしいだけではない。ただ環境に優しいわけでもない。でも、一人のアーティストが人生で培った知見と経験において、考えたいし応援したい人やモノ、コトについて、できるだけのことをやる。そんな集大成となったのが、小泉今日子さんによるツアー「BALLAD CLASSICS」でした。
 小泉さんだってこれをモデルケースに、「そのまま真似して欲しい」とは思っていないはず。それぞれに違う問題意識を、それぞれが立っている現場からできる限りやってみる。今回はそんな「誰でもできる」可能性を示してくれたように思えてなりません。

 誰でもできるほんの小さなことの積み重ねが、この社会や地球をどこに導くのか。みんなでつくって、みんなで見届け、そうして次の世代に手渡していきましょう。

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【前編】小泉今日子、想いと素材を循環させる、大きな挑戦はコチラ
【中編】小泉今日子、想いと素材を循環させる、大きな挑戦はコチラ

小泉今日子コラボレーション商品 “ツアー限定猫砂パッケージ” の追加販売はコチラ

協力:山形カシオ株式会社、ビクターエンタテインメント株式会社、株式会社ソーゴー東京、株式会社明後日
ステージ/LIVE撮影:田中聖太郎
※ LIVE写真は東京THEATER MILANO-Za 公演の模様です。

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記事を作った人たち

タドリスト
平井有太
エネルギーのポータルサイト「ENECT」編集長。1975年東京生、School of Visual Arts卒。96〜01年NY在住、2012〜15年福島市在住。家事と生活の現場から見えるSDGs実践家。あらゆる生命を軸に社会を促す「BIOCRACY(ビオクラシー)」提唱。著書に『虚人と巨人』(辰巳出版)など