【第1回】フジロック、NGOヴィレッジについて
すぐ脇には約1000人収容、ステージから至近距離でアーティストの息づかいまでもを感じられるGypsy Avalonがあります。開催前から話題だった元SEALDsの奥田愛基氏に、遠藤ミチロウ氏や加藤登紀子さん、細美武士氏(the HIATUS)などが登場されました。
参加して気付いたのは、ともすればお目当てのアーティストを追いかけて存在すら見落としがちなNGOヴィレッジが、実はフジロックの大事な姿勢を体現する拠り所としてそこにあること。
長年NGOヴィレッジの担当を務められ、今回みんな電力を招き入れてくださった、グリーンアップル代表・中島悠さんに話を聞きました。
渋谷は美竹公園脇にかまえる、グリーンアップル事務所にて
そこで、「ごみの分別・リサイクル・ボランティア」で検索したら出てくるのが「A SEED JAPAN」という団体でした。そこが1997年頃、レゲエ・ジャパンスプラッシュとか当時の野外音楽イベントでごみの分別をしていたんです。まずそこにオファーして、ごみ箱をお借りしました。そこからのご縁で、大学生になったら、A SEED JAPANにボランティアで参加するようになりました。
私がボランティアで参加した1999年当時は、フジロックも苗場に会場を移したり、翌年以降、サマーソニック、ライジングサン・ロックフェスティバルがはじまったり、ちょうど夏フェスが立ち上がる頃でした。と同時に、フェスのごみ問題やリサイクルについても「とても大事だよね」という意識が醸成される、その創世記に携わることができました。
「音楽に政治を持ち込むな」と開催前から話題だった、解散してしまったSEALDs・奥田愛基氏。津田大介氏の司会
まず大事なのは、参加者の皆さんにしっかりと準備してもらうこと。お客さんが自分でちゃんとした靴を持ってくるとか、上下別々のカッパを持ってくるとか、事前の準備が大切です。アウトドアメーカーと一緒に、「フジロック、ちゃんと準備をして行こう」というキャンペーンを行っています。
日本の伝説のパンクロッカー、STALIN・遠藤ミチロウ氏のソロライブ。氏は福島県二本松市の出身
それを考えると、ごみ箱の数よりも、「わかりやすい場所」に「大きいごみ箱がはっきりある」ことの方が重要なんです。A SEED JAPANが果たした役割も大きいと思います。
だとしたら「山盛りになっても溢れない大きいごみ箱」を、「誰から見てもはっきりわかる場所に置くことが大切」ということで、フジロックではあのスタイルでやっています。
A SEED JAPANで活動していたときは、環境省の委員をやらせていただいたり、アースデイ東京の事務局長も2010年までやらせていただきました。どの企業もCSR、社会貢献などに積極的な時期でしたので、色々なアクションをすることができました。とても勉強になったし、多くのネットワークも出来ました。
ごみのことや、エネルギーのことだったり。NGO、NPOに活動スペースを提供をその一環です。活動は繋がり、広がってきています。
ヴィレッジから降りてすぐのWHITE STAGEにて、宇多田ヒカルのニューアルバム参加でも話題のラッパーKOHH
レゲエのレジェンド・ギタリスト、アーネスト・ラングリンのステージはドラムにトニー・アレン、サックスにコートニー・パインと超豪華
もう一つはフジロックの出演者の多くが海外から飛行機に乗ってやってくるので、その移動にまつわるCO2をオフセットしていました。ただ、フジロックの会場は大自然の中で囲まれているので、「もっとフジロック会場周辺で何か出来ないのか?」ということも模索してきました。そうしたら、新潟県から「地元の森づくり活動を一緒にしませんか」とお声掛けいただき、新潟県と湯沢町、苗場の皆さんと共に「フジロックの森プロジェクト」立ち上げ、地元の森林保全活動をスタートしました。
まず「手入れされず放置されている林地残材で、搬出費用を負担して紙を作りました」と。その紙を「フジロック・ペーパー」としてフジロックのフライヤーやフリーペーパーに使ったり、協賛メーカーに使っていただいたりもしました。さらにその販売費用の一部を森づくりに還元し、循環させて「フェスをやればやるほど森林保全が促される」みたいな仕組みをつくりました。
他にも、フジロック会場でお馴染みの、森林の中をバリアフリーで歩くことが出来るボードウォークがあります。そこは毎年、冬の積雪で、ボードウォークが雪の重みで壊れてしまうので、定期的な修復が必要。フジロック来場者の皆さまにも参加いただいて、苗場の皆さんも一緒に、ボードウォーク修繕するキャンプイベントを行っています。
中島さんのお話は次回、もっとフジロックとエネルギーの関係にクローズアップしながら、続きます。