【第1回】SHINGO★西成|『ドレミファSOLAR』、そして5thアルバムについて
その内容はもとより、レゲエ・レジェンドLee” SCRATCH” Perryと、同名義で最後となる6枚目のアルバム『真説〜卍忍法帖〜福流緑』を出したばかりのデージェイ卍 LINEの組み合わせが話題を呼んだ。
そして、一度『ドレミファSOLAR』を聴いた人間の耳に残るのは、色も匂いもないエネルギーの世界に起きた大きな改革=自由化を、「キタキタキタキタ!」と強烈に印象づけてくれたラッパー、SHINGO★西成氏の骨太な声。そして、「誰かを悲しませる電気はいらない」と歌う、心に刺さるリリック(歌詞)かもしれない。
大阪は西成から声を全国に届け続け、5枚目のアルバム『ここから・・・いまから』発売直前の氏に聞いた。
オレは全然電気に詳しくないけど、ニュースやドキュメンタリーは目にしてたし、その時に(窪塚)洋(介)ちゃん(=卍 LINE)が話をふってくれて。そこに企画で、これも長いこと知ってる有太マン(本サイト編集長のニックネーム)も絡んでて。だから、正直言ってしまうと「Lee Perryさんと一緒」ということはそこまで重要ではなかったかもしれへん。
話を持ってきた洋ちゃん、そしてそのタイミングと、311の後福島に住みだした有太マンのことは、陰ながらサポートさせてもらってたから。だからもう、「ほんならいいんちゃう」と。
その上で「Lee Perryさんも参加してくれる」ということで、作品としても、ライブするにあたっても、「みんなウィンウィンがいいな」って。その勢いもあるし、熱い想いでつくったけど、ライブするにあたってもその気持ちで、最大限「Lee Perryさんやからこそのマキシマム・リスペクトを込めてやらなあかん」と思って。DUPPIES BANDやエンジニアも素晴らしい方々が関わってくれて、仕上がりはすげえ良くなったと思ってます。
「皆さんの想いは、ライブでよく表現せなあかんな」と思ってるけど、まだステージではできてない。そこも洋ちゃんと話して、一回「新たな気持ちでできたら」という感覚でいます。
電話会社をドコモかソフトバンク、auにするのか。チョイスできるということは、めっちゃ、人生において幸せですよね。だからそれをわかってくれたらいいし、ただ、その「チョイスできる」という部分を、シンプルにしてあげたい。
それはお互い、洋ちゃんが思ってること、オレが思ってることがそれぞれあって、カタいことばかりじゃなくて遊び心も入れて。さらにそこに、Lee Perryさんのキャラを受けつつ、3人がちゃんと並べるようなミックスにしてもらって。
Lee Perryさんは、とにかく「すごい」ということを聞いている人やから。でもオレは作品を通じてしか感じてない人やから、今回のプロジェクトに関しては、一番にただ「光栄です」というよりも、洋ちゃんもLee Perryさんも入った企画で「一緒にできた喜び」というのがリアルかな。
もちろんキャリアはリスペクトしてるし、レゲエ関係の人はみんな名前を聞いただけで「おっ」となる。オレよりもっとLee Perryさんと曲をやりたかった人もおると思うんで、そこは光栄な、恐縮する話やけど。
SHINGO★西成
“昭和の香り”色濃く残る大阪のドヤ街「西成」、釜ヶ崎は三角公園近くの長屋で生まれ育つ。「今に見とけよ!」精神と冷静な視点、体験を元に「間」を活かした独自のソウルフルな「べしゃり芸」で表現する世界観は、キャラの濃い関西シーンの中でも突出している。KREVA、香西かおり、赤井英和などの競演陣が示すとおり、ユニークで暖かい人間性ゆえに“ジャンルを超えた存在”として、今や名実共に“大阪名物”。2013年にはNHKが45分間の「地方発ドキュメンタリー “西成”を歌うアーティスト」を制作。同年12月4日に4thアルバム「おかげさまです。」を、翌年8月6日には初のMIX CD「ラガッ&ラパッ」を発表。その後、吉本新喜劇とコラボしたライブをなんばグランド花月で敢行、収録DVDを15年4月29日にリリース。長年続けている釜が崎三角公園での炊き出しボランティアをはじめ、堀江のゴミ拾いプロジェクト、西成ウォールアート回廊計画などにも参加し、社会にも積極的に働きかけている。5月24日には待望の5thアルバム「ここから・・・いまから」を発表。初回盤に付属するDVDは、ディレクター・KUROFINNによるMV5曲とショートインタビューで構成されるドキュメンタリータッチの短編といった趣で、音だけでなく映像でも彼のスタンスを感じ取れる。