【第2回】ソーラーシェアリング|農業とエネルギーの融合
長島彬氏のコンセプトに基づいて藤棚式に設置された太陽光パネルの間からは、美しい青空が見通せた
しかし、日本のエネルギーと食糧問題を同時に解決するかもしれない先駆的取り組みが、千葉の地からすでにはじまっている現実を目の当たりにすると、ただ取材の立場であるはずの自分も、否応なくワクワクしてくるのだ。
「まずは象徴的な前例をつくるところから」
そう語る、創電と農業、そして広報を同時にすすめる千葉エコ・エネルギー馬上代表。伺ったお話の第2弾(全3回)を、お届します。
ソーラーシェアリングが設置されてから2年目の大豆畑。飯塚開畑地区の耕作放棄地は、着実に減りつつある
特に飯塚地区では、メガ・ソーラーシェアリングの完成で、更に地元の方には前向きに捉えていただけるようになったと聞いています。
1300年続く農家、齊藤超さん。千葉県匝瑳市飯塚でソーラシェアリング農耕を担う合同会社「Three little birds」を、地元農家4名と移住者1名の有志で立ち上げた
ただ、地域性や同じ作物でも品種によって生育に違いが出るとも考えられますし、これからソーラーシェアリング設備の下での農業を安定して行っていくために、千葉エコとしても作物学を専門とする三重大学の教授との共同研究を進めています。
千葉県産在来品種の大豆を栽培から手がける、自宅庭の蔵で手づくりの、無添加味噌。ソーラシェアリングの下でも同在来大豆を栽培している。味噌は、美味い
ソーラーシェアリングは、発案者である長島彬さんが2003年に提唱したもので、そこを起点にするともう14年以上が経っています。長島さんが2010年に千葉県市原市へ実証試験場を設けられ、そこから本格的に広まっていきました。
課題としては、各地の農業委員会がまだソーラーシェアリングの許認可手続きを知らないことや、農業者の方々でもまだまだ認知度が低いため、こういった取り組みがあることをまずは知ってもらう必要があります。
匝瑳市での取り組みの前にも、千葉県内でソーラーシェアリングに取り組もうとしたことがありますが、県内の地銀・信金のほとんどに融資を断られました。現在、飯塚開畑地区には11ヵ所のソーラーシェアリングが建設されていますが、そのほとんどが城南信用金庫による融資のおかげです。これが出来たことで、一気にソーラーシェアリングを広めることが可能になりました。
これからの挑戦ですが、ソーラーシェアリング設備の電気を地元で消費したり、農作物を買っていただいた人に届けたりといった取り組みを進めていきたいと考えています。まずは、千葉県内にあるシンボリックな場所に電気を供給して、ソーラーシェアリング自体の認知度を上げていきたいですね。
本年4月3日、メガ・ソーラーシェアリング落成式。この式についての詳細は次回として、前列向かって一番左の椅子に座るのが、城南信用金庫・吉原理事長(当時)
最終回へ続く