2019.05.07
親子で考えよう!プラスチックストロー廃止にみる環境問題|まおさんちのエコ育と省エネ実践ノート 昨年マクドナルドやスターバックスでプラスチックストローを廃止するといったニュースが話題になりました。子どもたちにとって、ストローは身近なもの。これを機会に、ストローから環境問題について考えてみませんか?
なんでストローを紙にするの?
海に漂うプラスチックごみ問題
日本での海洋プラスチックごみ問題と現状
日本でのプラスチックゴミの行方
紙ストロー化、今後の流れ
さいごに
紙ストローの生産が追いつかないなんていうニュースも一時期見かけました
(出典:https://www.photo-ac.com/)
紙ストローはプラスチック製よりもコストが高く、耐久性も低いといわれています。ではどうしてストローが紙に替わることになったのでしょうか。それは、ストローをはじめとしたプラスチック製品のごみが世界で深刻な問題となっているからなんです。 世界中で生産されるプラスチックの量は、1950年から2016年までの間に200倍近くも跳ね上がっています。量が多すぎて想像できませんが、プラスチックといえば、レジ袋やペットボトル、食品用の発泡トレイに自動車のパーツ、冷蔵庫や洗濯機といった家電製品や家の建材など、あらゆるものに使われています。今や人間活動にとって欠かせない材料なのかもしれません。これらを少しでも削減しようという取り組みの一つとして、ストローを紙製にするという動きが話題となったのです。
海岸にはたくさんのごみが打ち上げられるとよく聞きます(出典:https://www.photo-ac.com/)
使用済みプラスチック製品のうち適切に処理されなかったものは、雨風や河川など自然の力で最終的に「海」へたどり着きます。こうした海に浮かぶ「海洋ごみ」のうち、約7割がプラスチックです。プラスチックは自然の力では分解されにくいため増える一方で、2050年までにプラスチックごみが魚の量を上回るという驚きの研究報告もあるんです。 プラスチックのうち、大きさが5mm以下の小さいサイズのものを「マイクロプラスチック」といいます。洗顔料・歯磨き粉などのスクラブ材として使われているマイクロビーズなどが排水溝を通って自然環境の中に流出している場合と、海に漂うプラスチックごみが自然環境下で細分化されてマイクロサイズになったものがあります。 マイクロプラスチックは小さすぎて回収するのが難しい上に有害物質を吸着しやすいという特徴があります。魚がエサと間違えて食べてしまうことも多く、食物連鎖で海の生き物たちの体内にこれらが蓄積されていきます。 対策をしなければ、確実にわたしたちも口にすることになるでしょう。海洋ごみといわれてもどこか縁遠く感じていましたが、その影響はすでにわたしたちの生活にかなり深刻なダメージを与えています。これは世界中で協力して改善していかなくてはどうにもならない問題ですね…。
環境省の調査によると、日本の海岸に漂着した海洋ゴミの8~9割がプラスチック類とのこと。それらのうち流れ着いたペットボトルの製造国を調べると、太平洋側は日本製がほとんどで、日本海側や沖縄は中国と韓国が多かったようです。日本のペットボトルもきちんと処理されずにたくさん海に流れているなんて…悲しい事実です。 2018年にカナダで開催されたG7のサミットでは、海洋プラスチックごみ問題を解決するため、自国でのプラスチック規制強化を進める「海洋プラスチック憲章」が議論されました。ですが、プラスチックごみの一人当たりの排出量1位の米国と2位の日本は署名をせず、国内外から非難の声が出ました。この後日本は国内での実態調査を数年かけて行い、国際サミットでの新たな法整備などの提案をしています。
子どもに分別のお手伝いをしてもらってリサイクルを当たり前にしていきたいですね(
出典:https://www.photo-ac.com/)
日本では昔からプラスチックを分別回収していますが、そのプラスチックは何にリサイクルされているか知っていますか?スーパーや自治体で回収している家庭から排出された食品トレイなどの容器は、そのほとんどが再生処理事業者によって新たな商品の原材料となるようリサイクルされています。それ以外の可燃ごみや不燃ごみとして出されたものは、原材料としてリサイクルされる他、焼却してエネルギーに変えるリサイクル方式が多く採用されています。 日本では年間900万トンのプラスチックごみを排出していますが、これまではその7割、家庭以外から出るごみのほとんどを中国に輸出していました。おかげで日本の廃プラスチックの有効利用率は8~9割と高い数値を保っていましたが、2017年末に中国が輸入を取りやめたため、国内での対応が急務となっています。
そもそもストローをやめたらいいのではないか、という意見もあるでしょう。わたしも紙ストローのニュースを見たときにそう思いました。もちろん、そういった動きも加速していて、ファミリーレストラン「ガスト」ではドリンクバーへのストロー常置をやめることにし、「スターバックス」もふたを工夫し、ストローなしでも飲めるように容器を改良する見込みだそうです。 また、子どもや年配の方などストローが必要な方のために、食べられるストローの研究もなされていて、ヨーロッパなどではパスタのストローが使われているお店もあるようです。
プラスチックごみが問題となっていますが、こうした取り組みがストローだけで終わらないことを願っています。 子どもには普段から水筒やマイ箸を持たせるようにしていますが、そういった行動がなぜいいことなのかや、資源の大切さについてももっと子どもへ伝えていけるようにしたいですね。また海でこうした問題が起きていることを身近な問題として話していけるよう、絵本などを活用したいと感じました。 【参考】 ・海洋ごみとマイクロプラスチックに 関する環境省の取組/環境省資料 http://www.env.go.jp/water/marine_litter/00_MOE.pdf ・暮らしの中の いろいろなプラスチック – 日本プラスチック工業連盟 http://www.jpif.gr.jp/00plastics/conts/iroirona_plastics.pdf ・ニュース知りたいんジャー:海を襲うプラスチックごみ – 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20180822/kei/00s/00s/004000c ・世界基準からズレた日本の「プラごみリサイクル率84%」の実態 _ Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) https://forbesjapan.com/articles/detail/24796/2/1/1 ・海洋プラスチック問題について |WWFジャパン https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html ・リサイクルのゆくえ プラスチック製容器包装|公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会 https://www.jcpra.or.jp/recycle/recycling/tabid/428/index.php ・一般社団法人プラスチック循環利用協会:HOME http://www.pwmi.or.jp/ ・中国ショック 廃プラ リサイクルの行方は _ 国際報道2019 [特集] _ NHK BS1 https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2018/07/0724.html
ママモデル、ライター、Webディレクター、宅建士など幅広く活動している一児の母。東京都在住。出産を機に、親子で学べる環境教育、暮らしに役立つ省エネやエコアクション、SDGsに関する情報発信をしている。省エネ・脱炭素エキスパート検定【家庭分野】取得。「わかりやすく、親子で楽しめる」をモットーに、SNSや企業サイトで執筆活動中。 https://www.instagram.com/mao.chiffonxchiffon/
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