2020.11.27
たくさんの方に読んでいただいた 「【緊急寄稿】10分でわかる!自然エネルギー系新電力を選ぶ前に確認したい、7つのポイント」 好評をいただいた一方で、不思議な制度やよくわからない仕組みに首をひねってしまう方も多かったようです。 このシリーズでは、 <7つのポイント記事>でもサラッと説明されていたけれど、もうちょっと詳しくお伝えしたい! というポイントを、電力・再エネの専門家が、背景にある制度の説明も交えながら、なるべくわかりやすく解説します。 全7回の連載を通じて、皆さまから寄せられた7つのはてなを紐解いていきます。 はてな①「石炭や石油の発電所から電気を仕入れているのに、どうしてお金を払えば自然エネルギー100%になるの?」 https://tadori.jp/articles/422 はてな②「食品でいう成分表のようなものなのに、電源構成を開示しなくてもいいの?」 https://tadori.jp/articles/421 はてな③「結局、環境に優しい電気ってなに?」 https://tadori.jp/articles/420 はてな④「自然環境や地域資源を著しく破壊する発電所の電気は選ばない企業があるって本当?どうやって選ぶの?」 はてな⑤「自分の電気代ってどのように使われているの?」 https://tadori.jp/articles/418 4回目の今回は、「自然環境や地域資源を著しく破壊する発電所の電気は選ばない企業があるって本当?どうやって選ぶの?」を事業本部ソリューション営業部部長の真野が解説します。
国際イニシアチブによる後押しもあり、今や各国の企業が気候変動に対する取り組みとして積極的に再エネを選ぶようになってきています。以下の表は、いくつかあるイニシアチブの概要をまとめたものです。
参考)https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/intr_trends.html#no07 日本でも気候変動への取り組みを積極的に行う企業が増えています。事業を100%再エネ電力で賄うことを目標とする取り組みである「RE100」には、日本の企業42社(2020年11月現在)が参加しています。まずはRE100が定める再エネ調達手段を見ていきましょう。
1つ目は「再エネ自家消費」です。屋根などを活用して、送電線網を介すことなく直接再エネの電力を使用する方法です。2つ目は「コーポレートPPA」。発電事業者と直接契約をすることで、再エネを調達する方法です(ただし、日本では現在選択できません)。3つ目は「再エネ電気の購入」。小売事業者が提供する再エネ100%メニューを選択する方法です。4つ目は「証書の購入」。使用する電力は問わず、再エネ証書を購入することでCO2排出量削減効果を調達する方法です。 加えて、RE 100は単に再エネを使用するだけでなく、電源、つまりどこの再エネ電力なのかを特定するように推奨しています。電気そのものは送電線網の中で混じってしまいますが、みんな電力では、独自の電力トレーサビリティサービスをもとに電源を特定できるようにしています。 さらに企業によっては、より厳しい調達基準を定めて電源を選んでいるところもあります。例えば、アップルをはじめ米国の多くの企業は、再生可能エネルギーの電力を認定するラベル「Green-e」の要件を採用しています。 Green-eでは発電方法ごとに認定基準があり、水力発電に関しては、ダムや堰のような貯水設備を新たに設けないことが条件となっており、既設の貯水設備を使う場合には、環境負荷が小さいことを証明できるものでなければ認められません。バイオエネルギーに関しては、どのような材料を使用しているのかといった、より厳密な基準があります。木質の廃棄物については、クリスマスツリーなど都市から排出するもの、道路を保守するために伐採したもの、強風などで自然に倒れたもの、森林の保全に必要な間伐で切り出したものに限るといった決まりがあります。 また、Green-eの基準を採用する企業は、電気を作る際にCO2を発生しない発電方法というだけでなく、建設時の環境負荷が高くない発電所かどうかという観点と、再エネの調達が再エネの拡大に繋がるか(「追加性」と呼ばれます)という観点を重要視しています。 つまり、再生可能エネルギーであれば何でも良いとは考えていないということです。日本でも、山林を切り崩して建設された大規模太陽光発電所が問題視される事例がありますが、欧米や日本の企業の動向を見ていくと、どのような視点で再エネを選択し、増やしていこうとしているのかが見えてきます。
次回ははてな⑤「自分の電気代ってどのように使われているの?」を専務取締役事業本部長の三宅が解説します。みんな電力では「超明細」というお支払いただく電気料金の内訳を一円単位でお伝えするサービスがあります。普段はなかなか意識をしない電気代がどのように使われているのかを見ていきます。 真野秀太 株式会社三菱総合研究所、自然エネルギー財団を経て、SBエナジー株式会社にて再生可能エネルギー発電事業に携わる。自他共に認めるみんな電力イチの再エネオタク。 【参照】自然エネルギー財団 自然エネルギーの電力を増やす 企業・自治体向け電力調達ガイドブック https://www.renewable-ei.org/activities/reports/img/pdf/20180119/REprocurementGuide_20180119_rev.pdf はてな①「石炭や石油の発電所から電気を仕入れているのに、どうしてお金を払えば自然エネルギー100%になるの?」 https://tadori.jp/articels/422 はてな②「食品でいう成分表のようなものなのに、電源構成を開示しなくてもいいの?」 https://tadori.jp/articels/421 はてな③「結局、環境に優しい電気ってなに?」 https://tadori.jp/articels/420 はてな④「自然環境や地域資源を著しく破壊する発電所の電気は選ばない企業があるって本当?どうやって選ぶの?」 はてな⑤「自分の電気代ってどのように使われているの?」 https://tadori.jp/articels/418
1995年横浜市生まれ。環境問題を学ぶため世界各地でボランティア活動を行う。旅の記録としてブログを始め、そこから文章を書くことが趣味に。平日は再エネを日本全国に広める活動。休日は地元横浜で農業に携わり、土に触れるという日々を過ごしています。最近の野望は日本酒造りに携わること!
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