デンマーク発オーガニックCBD「ENDOCA」が目指す”グリーン革命”とは?(前編)
読みもの|11.11 Thu

 TADORiロングインタビュー!今回はデンマーク発で現在はオランダに本社を置く、ENDOCA(エンドカ)ジャパンのディレクター・松本敏さんにお話を伺いました。

 エンドカが扱う商品は「CBD」。TADORiでもすでに、「巷で噂のCBDをタドル!」という記事を掲載しています。CBD製品は日本でも最近、オシャレなコスメショップや、有名百貨店でも見かけるようになってきました。健康的な生活へ導くものとして欧米ではすでに市民権を得ていますが、日本での知名度はまだまだ。それよりも「え、大麻に含まれている成分って、ちょっと怖い」という意見も聞きます。

 CBDの効能を体感した松本さんが、なぜ数あるCBDブランドからエンドカを選んだか、そこにも納得のストーリーがありました。もしあなたが自律神経のバランスを崩していたり、眠れなかったり食べられない日々を過ごしているのなら(原因不明の不調も)、CBDによって何かが変わるかもしれません。2部構成の前編、ぜひお読みください。

松本 CBDは今、どうしても薬のように扱われがちなんですが、私たちエンドカは植物そのものの状態をすごく大事にしています。ミッションとして、2030年までに塩、ニンニクと同じレベルで一般家庭に普及させることを掲げています。

ーそれは、本社が掲げていることでしょうか?

松本 はい、エンドカはヘンプを食の一部として考えています。「ヘンプ食」という、それはCBDだけに限らず、「CBDを含むカンナビノイド類の入ったヘンプを食べることが、人間にとって何よりもバランスがいい」という風に考えているんです。

 ですから、私たちもそのミートポイントを常に探しています。CBDを入れたチョコレートや、例えばコールドプレスジュースにも入れてイベントで配ったり、いろいろ試みています。

ーまず一度、まったくCBDを知らない方にわかるよう、できるだけ簡潔に説明していただけますか?

松本 わかりやすく言うと、CBDによる活性化には、子どもの頃のような”整った状態”を取り戻す力があります。

 細胞の伝達やコミュニケーションが活性化されて、人間にとって「ちょうどよい状態」である「よく眠って、よく食べられて、よく笑えて、よく忘れて」というサイクルを、引き戻せるんです。

ーよく忘れる、、(笑)。

松本 そうなんです。寝ることによってゼロになって、次の日も新しい一日がはじまるというサイクルが「ホメオタシス」と呼ばれる、人間にとってバランスのとれた状態です。CBDは僕たちをそこに引き戻してくれます。

 それは「内なる鍵」という、CBDと人間が有している受容体、つまりそれをキャッチする部分は「鍵と鍵穴の関係」と言われています。その鍵でガチャッと人間が開かれることによって、本来持っている「自然な状態」が活性化されることを意味します。

ーまさにドアに書いてある、「UNLOCKING THE SECRETS OF NATURE」というメッセージが、それですね。

松本 そこには「鍵を開けよう」という意味と、ヘンプに秘められている、日本では約70年間隠されてきた”秘密”を解き明かそうというミッションも、込められています。

ーここまではマクロなCBDについてのお話と思います。もう少しミクロな視点でのお話も、伺えるでしょうか。

松本 おそらくCBDについては、読めば読むほど医学的になっていって、わからない方が多いと思うんです。インターネットで検索しても、普通「よくわからない」となってしまいます。

 まず何より僕自身が、CBDの効能を最たるかたちで感じた人間でした。

 2014年頃、僕は当時ファッション業界で、ヨーロッパと日本を往復してパリコレにブランドを出したり、逆に日本に引っ張ってくるような、商社的な会社の仕事をしていました。 海外との往復の中で、ずっとフルスピードで、寝る間も惜しんで慢性的な時差ボケの状態で、当時はちょうどインスタで有名なイタリアのブランドを抱えていたんです。ですから、ずっとインスタをやりっぱなしのハイな状態で、自分的には「すごく冴えてる」くらいの気持ちでした。

 交換神経もバキバキで、睡眠時間もたいしていらないし、自分自身を「ずっとエネルギッシュだ」と思っていた状況を数年続けていると、ある日何かがオーバーヒートして心臓の鼓動がおかしくなり、呼吸もできなくなってきたんです。パニック発作のようなものにも襲われるようになりました。さすがにまずいので会社に休暇を申請し、すると次の日から立ち上がることすらできなくなってしまいました。身体に痛みが走るようになり、簡単に言うと、自律神経のバランスを壊した症状だったんです。

 自律神経というものは本当に精密で、目の光の調整から耳の左右のバランスですとか、手の震えや心臓の動きまで調整してくれています。それが壊れてしまい、目の焦点が合わなくなったり、耳も聞こえず、食べたものも、本来なら身体が自動的に吸収してくれるはずが吐き出したり、食べたものをそのまま消化できず出してしまったりということが起きました。

 もう人として機能していない状態で、その後かれこれ2年弱、そういった生活を過ごしました。

ーとても、大変そうです、、

松本 実際、大変な時期でした。

 ただその間、妻が大きな病院などで働く看護師だったこともあって優秀なドクターを紹介していただけました。でも話を聞けば聞くほど、内容は結局「西洋医療において自律神経はブラックボックスである」ということでした。

 西洋医療は細分化されて、局所的な治療は発達しているんですが、全体を補う分野が逆に抜け落ちてしまっていると。それだとたとえ病院に行っても対処療法は頭痛薬、睡眠薬、抗鬱剤、筋肉弛緩剤、痛み止めといった具合に、パーツパーツに対する薬でしかなく、なかなかよくなりませんでした。部分的な痛みが消えても全体としての不快感は拭えずに、アンバランスな状態が続きました。

 そこでドクターも漢方ですとか、東洋医療の道が全体性に対応できる、つまり「ホリスティックに治せる」方法だということで、自分自身もその道を追求するようになりました。

 日本中どこでも「治療師」と呼ばれる方のいる場所に足を運んでは、鍼灸やボディワーク、カウンセリング、骨の位置を調整する治療法、海水温熱療法だとか、とにかく本当にいろいろなものを試したんです。

ー西洋医療では対応できなかった治療を求めて、あらゆるものを試してみた。

松本 スリランカに渡って、アーユルベーダの施設に一ヶ月くらい入ることもしました。僕にはそれが一番効いたんです。

ーすごい行動力です。

松本 一ヶ月間そこにいる中で、食べ物を変えられ、携帯ももちろん取り上げられて日本との情報を遮断されました。僕は神経が高ぶっていたので、その逆の時間、場所、マテリアル、エネルギー、食べ物といったものを与えられたんです。

 神経が高ぶらないように、生活する時間、風にあたる時間すら限定されて、見る景色も全部変えられてオイル漬けにされました。オイルを飲んだり食べたりで内側から、あとはもちろん外側から塗ることを約一ヶ月間繰り返す中、神経が穏やかになっていったんです。

 それで、「これは素晴らしい」と。僕はそこに辿り着くまでも、ほとんど運ばれるように行ったような状態でした。それが帰る頃には、一週間旅行できるくらいの元気ある状態まで復調していたんです。「西洋医療であんなにダメだったものが、東洋医療でこんなに回復するんだ」と思ったのも束の間、日本に帰って同じ環境に戻ると、また悪化していきました。

 それが食べ物なのか、考え方、あるいは見る景色なのかはわかりません。でも、そこに戻ることで状態がまた悪くなってしまう。そして鎌倉に引っ越したり、再度治療の旅に出て、それでも日本ではああいった完璧な環境を得られませんでした。

 そのタイミングで海外の友人から「CBDというものがあるよ」、「君の症状に合うかもしれない」と言われたのが、最初の出会いでした。当時、まだ日本にCBDはありませんでした。

ーきっかけは海外の友人だった

松本 2015年頃、個人輸入をしてCBDを服用してみたところ、当時バラバラだった神経や不快感が、たった数滴のオイルで「パチッ」とバランスされたことがわかったんです。

 スリランカで一ヶ月間かけて味わってきたものが、たった数滴のオイルで「こんな瞬時にバランスされるものなんだ」ということを、本当に感じてしまいました。「これはすごい」と、感動したんです。

 それからは治療のためにアメリカ、ヨーロッパなどいろいろなところからCBDを個人輸入して、自分自身が助かりたい一心で使い続けていきました。その中で、単純に最も効いたのがエンドカだったんです。

 つまり、最も医療的な効能が高く、一番バランスされた心地よさがありました。

 CBDには本当にブランドがたくさんあって、ひどいものもたくさんありました。味も、服用すると気持ち悪さが残るというか、当時はアメリカでもCBDがやっと盛り上がってきたタイミングで、まだまだクオリティが担保されていませんでした。

 その中で「エンドカが素晴らしい」と感じ、ブランドを調べていくと、エンドカは社是にCBDの純粋な効能だけではなく「生活の立て直し」を掲げていました。「誰もが食べ物からできているから、食べ物から変えなきゃいけない」とか、「環境自体があなたの一部だから、環境から変えないといけない」ということを言っていました。

一1ヶ月間のアーユルベーダに数滴で匹敵する衝撃が、松本さんを引っ張られた。

松本 「子どものような状態」ということは先ほどお伝えしました。

 これは東洋医療がそうなんですが、「生まれた瞬間が一番健康的な瞬間である」という考え方があります。ストレスにも、環境にも晒されていない。その状態を「丸い状態」とすると、人間は育っていく過程でストレスや環境、食や毒といったいろいろなことで汚染されていって、丸が尖ったり、バランスが崩れていきます。

 CBDはその状態から、瞬間的にギュッと丸にするイメージです。

 東洋医療の「整った感覚」はこの丸い状態にすることで、それはつまり、すべてがバランスされた感覚。思考、身体、足の感覚もすべてバラバラでぐちゃぐちゃだったところから、ろくろをまわして整えられていくような、ちゃんと考えられて食べられて、地に足がついて、地球と繋がった一体感を得る感覚と言えるでしょうか。

ーその実体験は、圧倒的な説得力だと思います。

松本 「それを感じた」というのはとても大きくて、肉体的に、CBDおよびカンナビノイド類が親いということがわかったのだと思います。正直これは、単離されたCBDだけではそこまで感じることができないと思います。

ーなるべく自然に近いかたちで、複数のカンナビノイドやその他の植物分子が存在しているCBDオイルが効いて、逆に単離されたCBDのみだけだと効果が違う。

松本 薄まります。それは圧倒的に違います。

 これは漢方で考えるとわかりやすいと思うんです。漢方は混ぜることによって耐性をもたせ、辛くしたりしながら効能を高めると思うんですが、単離された薬には耐性ができて、すぐ効かなくなるんです。

 まずはその差が大きく、また、継続して使った時の体感が違います。僕はもう6年間毎日CBDを使っています。もちろん量は変わってきていますが、これが単離されたCBDのみだと、耐性がつきやすくなってしまいます。なるべく自然に在る状態に近い、他の成分も一緒に入っているものであってこそ、食としての感覚に近くなってくると思います。

ーサプリなどでビタンミンAやDだけとか、たんぱく質だけを摂るみたいなこととは違う。

松本 そこにエンドカは重きを置いています。CBDに限らないカンナビノイド類、およびヘンプのエキス、さらにオメガ3とか6みたいなものも含めて「素晴らしい食」という認識をしています。

 エンドカの研究において、その構成要素からTHCを削ることで「どうしても効果が落ちる」という事実はあります。ですから、彼らはシードバンクといって、種自体を1000種くらい持っていて、ずっと品種改良を続けています。そこから、THCを飛ばしても効能の落ちない、例えばテルペン類のすごく多い品種を日本用につくってくれているんです。

ー人体の深いところに作用する、自然のかたちに近いCBDの状態は、THC抜きでもつくることができるし、それを実践できているのがエンドカである。

松本 エンドカはメディカルヘンプであって、いわゆる産業用の麻ではありません。

 これが産業用となると、普通ブランドは法律とビジネスと利益率の間の着地点を考える中で、いろいろな農家からまとめて大量に買って、そこから掛け合わせた状態でCBDを抽出するようになりがちです。

 でもエンドカは、種から農園から、自分たちでやっています。

 そういった、全部を一貫してやっている姿勢がすごい強みだなと思っています。

ー日本においてCBDは、手応えとしてすぐに受け入れられた感触でしょうか?

松本 僕はもともとファッション業界にいて、アパレルの流通の方々を知っていたので、当初から細かくやるつもりもなかったんです。まず「CBDのイメージを変えること」、「ヘンプのイメージを変えること」にフォーカスしていました。ですので、その実現に向けてISETANさん、そしてBiople by Cosmekitchenさんで展開するのは、絶対の条件でした。

 そもそもCBDには商品力がすごくあります。そして展開をしていく中で、ご一緒する会社の中から「CBDに救われる人」が出てくるんです。

ーそれは、濃淡はあるにせよ、松本さんと似た体験ということですね。

松本 はい。ですので都度、そういった熱狂的な方と繋がって、「CBDに救われた人」は「CBDを広めたい」という気持ちを強く抱きます。これまで、そういう方々が突破口を開いてくれたということはありました。そういった方々と組んでイベントを実施し、実績をつくろうということで進んできました。

ーもともとカルチャーに対して、比較的感度の高いところから広めていった。

松本 そもそもCBDについての情報も、興味を持ったり、早くから知っている人たちがまわりに多かったとは思います。だからこそ、渋谷のTRUNKホテルさんでのイベント開催時、「過去最高に盛り上がったポップアップ」という風に言ってもらえました。その日、ポップアップスペースから長蛇の列ができていました。たぶんそれまで海外でCBDを見て気になっていた人たちが、一気に来てくれたんだと思います。ですので、一番初めの頃は勢いがありました。今は逆に、いっぱいCBDが出てきたので、当初の盛り上がりが薄れた感覚はあります。

 ー「カンナビス」と「ヘンプ」、それは日本語にすると大麻と麻という言葉の違いだと思うんですが、そのあたりの話を伺ってもよいでしょうか。

松本 そこには明確には区分けがあります。それはアメリカとヨーロッパでも親い、国際的な考え方です。

 この植物には「マリファナ」、「大麻」、「麻」といろいろな呼び方があり、名前こそ別れていますが、学術的にはすべて同じ「カンナビス・サティバ・L」という一つの植物です。

 そこで、THCの含有量が0.2%以下のものを「ヘンプ」と呼び、「産業用として活用していいですよ」ということになっています。アメリカの場合はその基準が0.3%以下のものを産業用、つまり「衣服や食に使っていいですよ」と、そこには明確なラインがあります。

 その0.2や0.3%のTHC含有量を超えると、いわゆる「医療用大麻」ということになり、そこ以降はアメリカでも厳重な管理が必要になってきます。でもそれ以下であれば、ヘンプは農家であれば、誰でもが育てられる植物です。

 それがだいたいヨーロッパや英語圏での、呼び方の違いになっています。だから全体を呼ぶ時はカンナビスと言いますし、限られた0.2や0.3%以下のものを指す時はヘンプと呼んでいます。逆に言えば0.2%、0.3%以上になってくると、ヨーロッパではそれは免許制で扱えません。アメリカでも同様です。

ーということは、正規ルートで入ってきているものは、おのずと安全なものであると。

松本 そういう背景があって、僕たちの場合でもエンドカと出会ってからビジネスがまともにできるようになるまで、丸々2年ほどかかっています。

 もちろんそれは、最初から「ビジネスをしよう」と思っていなかったこともあります。でも、いざ「やろう」となった時、僕も初めは輸入業者やショップに、CBDをただ紹介していたんです。「すごくいいものだから、直接やってくれ」という、純粋にいいものは広げたいという気持ちあってのことでした。

 しかし彼らが「できない」、「リスクが大きい」、「輸入が複雑過ぎる」と。最初はそれで「じゃあ、僕がやろうか」ということではじめました。もともと仕事で輸入をやっていたので「大丈夫だろう」と思っていたんですが、蓋を開けてみるとめちゃくちゃ複雑でした。

 それは、もちろん厚労省にも出向かないといけません。加えて日本には、ヘンプのさらに種と茎しか使えないという謎の法律があるんです。もちろんそんな法律は、アメリカにもヨーロッパにもありません。そのことをエンドカに伝えたら、彼らは日本の特殊な事情を知ってもいたんですが、最終的には日本専用の製造ラインをつくらないといけなくなりました。

 現地で交渉して、絶対にこれをしないといけないし、さらにはTHCレベルも日本の規制に合わせて完全除去をしないと、さらなる規制に引っかかる懸念もありました。当時はちょうどアメリカのマーケットがすごく伸びているタイミングだったので、はじめは「そんな小さな話できるか」みたいな雰囲気だったところを、しつこく何度も行って、「絶対日本はこれから伸びるから」という話をし続けたんです。

ご自身の大変な体験に加え、デンマークと特殊とも言える日本の法律の溝を埋めるため、想像以上の苦労を重ねてきた松本さん。その先にどんな未来が待っているか、後編もぜひお楽しみに。

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記事を作った人たち

タドリスト
平井有太
エネルギーのポータルサイト「ENECT」編集長。1975年東京生、School of Visual Arts卒。96〜01年NY在住、2012〜15年福島市在住。家事と生活の現場から見えるSDGs実践家。あらゆる生命を軸に社会を促す「BIOCRACY(ビオクラシー)」提唱。著書に『虚人と巨人』(辰巳出版)など
photographer
Shinsuke Matsukawa
出版社の写真部に在籍後、英国、香港、バンコクに居住しホテルや食、ファッションの撮影で海外取材を中心に活動。現在は日本をベースに雑誌や広告で活躍するフリーランス。