【第1回】エネルギーをつくる造園会社
読みもの|7.4 Tue

  「幸福を共有できる企業を目指して」。
 これは、横浜は栄区笠間の地で創業から50年以上を数える石井造園株式会社が発行するCSR報告書に毎回載っているコピーだ。
 社員約10名の造園会社は3年前から発電をはじめ、その取引先をみんな電力に決めた。2代目社長である石井直樹氏は、「顔の見える発電所」の理念に賛同し、「最後まで自然エネルギーを供給するのはここだ」との想いで、判断したと語る。
 氏に、造園会社として発電することの背景に何があるか聞いた。

 

ー造園会社として「発電をする」という考えに至った理由を教えてください
石井 CSRを意識して、「企業の社会的責任」ということを経営の柱としてやっています。その中でやっぱり、使用する電気に対して少しでも地球環境への負加が少ない方がいいと思いまして、「ソーラーパネルによる自家発電をしよう」と考えました。
 実は、2月24日に「経営者環境力大賞」を頂けることになりまして、これは日刊工業新聞とNPO法人環境文明21によって選出される賞で、自身の「環境力」を自己評価した資料を提出し、選考を受けて受賞に至ります。
 弊社がソーラーパネルを設置したのは3年前です。最終的に決断したのは、発電効率とか売電金額ではなく、自然エネルギーを活用した社会や環境に寄せる想いがあって、その想いを持つ企業としての「挑戦」という一念でしょうか。
 みんな電力を選んだ理由を申しますと、自然エネルギーの推進による未来の社会や環境を、「同じ想いをもって併走してくれるパートナーになってくれるんではないか」と見込んでのことです。

ishi

ー実際やってみてどのくらいの発電量ですか?
石井 そうですね、おおよそ年間の売電金額にして220万円ほどの発電量です。
ー環境を意識されるのは、造園業を営む者として自然なことでしょうか?
石井 一般的に、造園業は建設業の部類に属すると思われていて、これを、「環境ビジネス」の部類と思っている方はあまりいないと思います。
 そこを「環境ビジネス」と捉えてると、おのずと自然と環境を意識して、還境破壊をせずに維持、継続という方向性になっていくと思います。
 私は長く、一般社団法人・横浜青年会議所の活動をしてきました。そこでは「サステナブルな取り組み」を実践し、「活性化された地域を次世代に渡していく」という理念を仲間たちといつも語ってきました。つまり、「次世代に良い環境地域を渡す」ということで合致するんです。
 ですからCSRというものについて、すんなり「企業の社会的責任、地域貢献をまっとうしていこう」という気になったのは、ある意味で必然でした。
ーお話を伺い、仰られていることはよくわかると同時に、社長のような考えをお持ちの方は、一般的にいそうでいない気がします。
石井 造園は建設業のカテゴリー内にあり、建設業の許認可を頂いて業務しています。しかし建設業種の中で唯一、環境に対して負荷を軽減できる業種、業態なんです。
 よく指摘されることですが、例えば「太陽光パネルをつけましょう」という事例に対して、「パネルをつくること自体、CO2を排出していないか?」ということ。未来を本当にサステナブルにするため、ここで排出されたCO2であり、このような課題を打ち消すためのカーボンオフセットであるわけです。
 実は、みんな電力さんにもこのカーボンオフセットを行ってもらい、どうしても排出されてしまうCO2を間接的に吸収して欲しいと思っています。みんな電力自体が企業活動をしていく上で、排出されるCO2は微々たる量かもしれませんが、是非、カーボンオフセットの実装を願います。
ーご提案ありがとうございます。環境に対して実践されている取り組みは、直接的なステークスホルダーにアピールできていると感じますか?
石井 できていると思っています。それは、弊社では「CSR報告会」というイベントを、かれこれ6年、年に1回という頻度でやってきました。その場で太陽光パネルでの発電、カ―ボンオフセットブルーカーボンオフセット、全業務のCO2量などを報告、発信しています。
 公共工事は、横浜市によるものが大半ですが、我々は、請負業者として業務を行い、様々なやりとりの中で「石井造園の品質で作られた工作物は、カーボンオフセットによりCO2排出量が打ち消されたものとなっております」ということを、アピールしています。
ーカーボンオフセットを実施することで、石井造園が携わったものは、当たり前のように環境に配慮されたものになっていくわけですね。
石井 未来に向けてサステナブル、カーボンオフセットなどの削減活動がスタンダードな世の中をつくっていこうと思っています。

ishi

ーお客様には実際に喜ばれていますか?
石井 まだまだ浸透してないと感じています。ですので、まだ環境という面での喜びはあまり多くはないと思っています。
 この活動が未来の環境にとっていかに尊く、意味のあることなのかということを広く周知するのは、もう少し時間がかかるのではないでしょうか。

 

(取材:平井有太)
2017.2.22 wed.

 

▼石井造園太陽光発電所 「顔の見える電力」詳細ページはこちら
https://power.enect.jp/#/powerplantdetail?introduceid=a0b5F00000YcWipQAF

SHARE: LINE Facebook
URL
URLをコピーしました