【大学生の発電所レポート】「電気と食」の地産地消を実現へ ~おひるねみかんODAWARA発電所~
読みもの|3.1 Tue

学生2人

  武蔵野大学の現役学生、松下さん(左・工学部環境システム学科4年)・桑原さん(右・工学部環境システム学科4年)が調査・研究を続けてきた「サステナブルキャンパス構想」の実現に向け、そこにみんな電力・小澤のサポートが加わり、一つの記事が完成しました。
 お2人は、ゼミ活動を通じて「サステナブルキャンパス構想」に関わりながら「再生可能エネルギー」に関心を持ち、構想第1項目である「大学の再生可能エネルギー100%計画」を実現すべく、様々な調査・研究をしてきました。
 小田原で、その先駆的な活動をする小山田大和さんを訪ね、再生可能エネルギー利用の重要性を学び、ソーラーシェアリング発電所を見学してきました。
 今回は発電所見学した様子の一部をみんな電力のオウンドメディアENECTに掲載します。

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  私たちは大学に、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入を提案する活動を行っています。そこで大学が教育機関であることを利用して教育プログラムを計画することで再エネ導入時の付加価値を高めることができるだけでなく、導入の必要性を理解してもらうことにも繋がると考えました。

 さらに、「SDGsやサステナビリティに関心があるが、自分との繋がりを実感できず、何ができるのかわからない」若者層に、再エネを身近に感じてもらうことで利用拡大にも繋がると考えました。

 この2つの考えから、教育プログラムとして発電所を訪れ、そこで伺った話や感じたことを発信することにしました。

 この記事を読んだ同年代の人たちが、環境について何か動き出すきっかけになれば良いなと思っています。
  はじめに、みんな電力さん(以下、みんでん)と企画を行うことになった理由は、みんでんさんは地域協力型の企業であり、利益追求だけでなく地球環境を保護するための活動を行っている姿勢に魅力を感じたからです。そして今回、この情報発信プロジェクトを共同で行っていただくことになり、みんでんさんの特徴である「顔の見える電力」の中から、おひるねみかん発電所・小山田大和さんにインタビューさせて頂きました。

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  小山田さんの農場では、ソーラーシェアリングを行っています。

 このソーラーシェアリングは21例目であり、中でも米づくりを行っている珍しい場所です。
  多くの人が疑問に思うのは、「パネルの下で作物が育つのか?」という点だと思います。しかし、パネルで遮る太陽光の程度(遮光率)は約30%で、作物の生育に支障がないように設計されています。また、ソーラーシェアリングは高さ2m以上という規定があるため、大型農業機械などの作業の妨げになることもありません。

 つまりソーラーシェアリングは初期費用がかかるものの、一度導入すると持続可能なものであり、長いスパンで考えるとしっかりと利益が出るものになっています。実際に小山田さんの農場でも、年間収入で考えるとソーラーシェアリングを行う土地で育てられたお米は5万円ほどですが、電気は140万円ほどの収入があるそうです。

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  しかし、このソーラーシェアリングは一度台風の影響で倒壊してしまったことがあります。その時小山田さんは、最近の台風はどんどん勢力が強まっているのではないかと考えたそうです。そして、「台風の規模が大きくなってしまったのは、私たちの責任ではないか」と話していました。

 気候が、私たちの生命や財産を脅かすようになってきている現実をきちんと受け止め、改善すべく自分でできる行動を積極的に行っているのが、小山田さんの活動であると私は思いました。
  気候変動については今まで多くのことを言われてきましたが、その改善を意識して行動できていたでしょうか。日本は先進国であり、公害病が発生したこともあり、環境対策の先進国であるとされていました。しかしもうそれは、過去の話であると私は思います。なぜなら、私たちの世代が地球環境について学校で学ぶようになった時、日本は環境対策において先進国であると習ったことは一度もないからです。むしろ、他の国に比べて「環境対策が進んでいない」、「再生可能エネルギー導入率が低い」という指標をいくつも見てきました。

 つまり、日本国はこの数10年の間に完全に「衰退してしまった」と言えると思います。

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  自然災害も乗り越えてきたソーラーシェアリングですが、その他に「まわりからの理解を得る」という困難にも立ち向かってきたそうです。

 小山田さんは近隣住民の方々から理解を得られるよう、発電所の設計を見直すなど、努力を積み重ねてきました。さらに、災害で停電した場合、発電した電力を使えるように切り替えが簡単にできる仕組みになっています。これは、有事の際自分のためだけでなく、地域住民の方々も使えるようにするためだそうです。様々な批判がありながらも、地域が強くなるためにソーラーシェアリングを行う小山田さんの優しさに、私たちは感銘を受けました。

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  現地ではもう一つのソーラーシェアリングも、紹介していただきました。そこでは、春菊や大根を育てていました。さらには、農業をしたいという方に土地を貸すなどの活動も行われていました。この場所でつくられた電気や作物は、小山田さんが経営しているカフェで使われます。電気を送るための電柱も立てたそうです。

 私たちはそのカフェにもお邪魔させていただきました。カフェでは、エネルギーも食材も地産地消にこだわっており、店内では小田原で採れた野菜を販売しているほか、小山田さんがつくられた商品が並んでいました。

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  その中でも特に目に留まったのは、綺麗なオレンジ色をしたみかんジュースです。このジュースはみかんを皮ごと絞ってつくられたもので、絞り方も自分自身で研究したそうです。実際に飲んでみるとみかんのほどよい酸味と甘みを感じる、とても美味しいジュースでした。

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  また、近隣の酒造さんと協力してつくられた「推譲」という日本酒も見せていただきました。
  特に印象に残っているのは、これらの商品を私たちに紹介して下さっている時の小山田さんの自信満々の表情と、私たちが「美味しい~!」と笑顔で話している時の、小山田さんの嬉しそうな表情です。

 自分の畑で汗水たらしてつくったものだからこそ、自信を持って商品や料理として紹介できるのだと思います。カフェでいただいたブリの定食はとても美味しく「また来たい!」、そう思える場所でした。
  私たちは、エネルギー自給率と食料自給率のどちらにも貢献しようとする小山田さんの活動力に感動しました。

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(監修:小澤雅志)
2022.03.01 tue.
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