【第2回】信恵勝彦|地元のスーパーヒーロー
読みもの|6.17 Sat

  今も2011年3月11日の東日本大震災を忘れないイベントを続け、福島の子どもたちのために保養を企画し、「この人は」と信じたアーティストのライブを開催し、農業もする。そして、人と人を繋げる。
 八面六臂の活躍を、自身では「まだまだ、やりたいことがやりきれていない」と語る信恵さん。その、「やれていない」と仰ることの一つである「電力自由化以降のエネルギー」についてと、底無しに見える信恵さん自身のエネルギーの根幹に何があるか。
 広島県は尾道にある信恵さんのショップ「れいこう堂」で、聞いた。

 

nobue

ー信恵さんにとっては、もちろん311は大きなきっかけではあるんだけれども、かといってなさていることは311の前から変わってないような気がします。仰ってることが、もっと普遍的なことのような気がして。
信恵 311は一つの事件でしたが、結局30代の人と40代、あとは僕みたいに50代になってくると、生活や人生についての考え方がずいぶん変わってくるので。
 それを埋めようとは思わなくて、自分は30代の頃には体力も気力も気合もあって、我が道をどんどん行こうと思っていたんだけど、もちろんベースになるものはあったんだけど。さらにいろいろなことが頭の中に入ってきて「あれは、なんとかできないのかな」とか、だって社会が歪んでいるのは間違いないわけだから。

nobue

ー今、歳はおいくつですか?
信恵 58ですね。出身は尾道ではないんですが、ここに来て30何年になるから、生まれ故郷より長いです。そうして「生きる」ということが「生活」になってくると、実は年寄りも0歳の子もそこで共に住んでるわけです。うまく歯車を合わせないとみんなで生きていけないってことも感じて、この辺でも家探しを手伝ったり。すると地域の人とも仲良くなってくるし、空き家もどんどん見つかるし(笑)。
 学校の校舎みたいなアパートがあったり、公共のお金を使ってるわけじゃなくて、自分たちのできる範囲内で、できることをやるってことが、主流になる時がくると思います。みんなそう思いながらやってるし、「自分たちのやってることは間違いない」って確信してるから、今は主流じゃないけれど、その時がきた時に絶対幸せに、楽しく生きていけると思って、今の30代なんかはいるんじゃないのかな。
ーその時、音楽や文化は、皆を自然にうまく融合させる力があるように思います。
信恵 マルシェみたいなこともあるけど、自分の場合は、そうでもないかもしれない。やっぱり音楽は音楽。マルシェはマルシェ。ただ、そこに来る人たちがどう他の人と繋がっていって、どう想いを伝えていくかが大事かなと思います。

nobue

れいこう堂に近くにある、長屋を改装した56カフェの前では、採れたて野菜を直売していた

ー信じられていることを、ずっと、淡々と続けられている。
信恵 でもまだ、行動に移していることはまだまだ少ないから。
ーまだ少ないんですね。
信恵 例えば保養は、もっとみんなの理解とかカンパが必要で、でもだんだん関心も減ってきて、最初はもらえた助成金も縮小してきちゃってるんですよね。人間は忘れる動物だから仕方ないんだけど、動物の中では記憶力いいはずなんだけど(笑)。
 だから、ある程度諦めてはいるんですが、あんまりそのままにするとなくなっちゃうから。今から事故後10年くらいまでの間が、一番大変でしんどい時期だと思うんです。手を差し伸べてくれる人がいなくなってきて。でも家だけはどんどん見つけてて、ここに来てくれればしばらくいてもらえる場所は、きれいして用意してるんだけどね。

nobue

ー鞆の浦から尾道にかけては、何もなくても長期滞在したい、いいところと感じます。
信恵 環境はいいですよね。日照時間も長いし、だから本当は電力会社も、自由化の時に「お、つくりたいな」と思いましたよね。自給自足型で「自分の家でつくった電気は売らずに使え」みたいなこともしたかったし(笑)。それで余ったら隣にあげて、そういう家が一軒一軒増えていくとかね。でも、そもそも規制が厳しかったりもする。
 考えだけはいっぱいあって、野菜ももっとつくりたい。

nobue

 今は大豆系をつくっていて、それを味噌にも醤油にもする。無農薬大豆ってネットで買おうとすると高いんです。でもつくると、結構放ったらかしでできるから、手間はかからない。この辺は今、味噌づくりする家庭がすごく増えて盛んです。それで耕作放棄地も、「野菜をつくる」って言うと貸してくれないんだけど、「草取りして、大豆つくりたい」って言うと不思議と貸してくれるから(笑)。

nobue

今後の上映は以下のとおり

 

2017年6月17日 愛知 おおぶ文化交流の杜allobu
日時:2017年6月17日(土)14:00~(13:45開場)
場所:おおぶ文化交流の杜allobuこもれびホール
   〒474-0053愛知県大府市柊山町六丁目150-1
料金:前売500円 当日700円(全自由席)

チケット販売6月2日(金)~
■おおぶ文化交流の杜allobu総合案内カウンター
おおぶ文化交流の杜allobuオンラインチケットサービス

 

7/29(土)アン・サリー コンサートの関連企画として上映します。
ホールでゆったり上映をお楽しみください。
※未就学児入場不可。有料託児サービス実施(1名300円)

 

主催:おおぶ文化交流の杜allobu、大府市
問い合わせ:おおぶ文化交流の杜総合管理室0562-48-5155

 

(取材:平井有太)
2017.04.16 sun.
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