【最終回】小松和子|オーガニックコスメの第一人者に聞く
読みもの|9.3 Mon

NLBA大阪開催

  ENECTでは全3回にわたって、オーガニックコスメのカリスマ、小松和子さんの独占インタビューを届けてきた。今回はその最終回にあたる。
 ケミカルの化粧品に対するオーガニックコスメの在り方は、火力や原子力に対する風力や太陽光のエネルギーなのかもしれない。加えて、そこで必要とされる「原料を考えること=トレーサビリティ」といった概念や、地域や社会における「循環型」という意識は、まさにこれからさらに重要になっていく価値観だろう。
 図らずも、その共通項の多さに驚いたオーガニックコスメの世界。小松さんが言うように、本当に「根底ではすべてが繋がっている」とすれば、日々の私たちの生活のいたるところに、再生可能エネルギーを考えるきっかけはあるのだろう。

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ーエネルギーは見えない、匂わないということに対して、化粧品は直接肌につけるということで、そこは大きな違いかもしれません。
小松 エネルギーの場合は、実際に停電してみるとありがたさがわかるんじゃないでしょうか(笑)。「何時から何時まで電気が消えます」という、避難訓練のような電気の訓練が必要かもしれないですね。当たり前に使っているから気づかないんですね。
 エネルギーのありがたさで言えば、震災は、それを気づかせる大きなきっかけだったんじゃないかと思います。知るという「きっかけ」は、行動へ繋がるプロセスとなります。未来の自分を守るために、そこはオーガニックを通してからも発信できるんじゃないかと思っています。
 ただ、オーガニック業界を広げる立場としては、それをウンチクだけではなく、楽しみにながら知って使ってもらうということが大切だと思っています。
 それはたぶん電気も同じで、私なら、キャンプとかレジャーを通じて電気の大切さを伝えたりするのは楽しいと思います。結局自然も全部繋がっているので、例えば植物に触れながら、化粧品の場合も「ここからきてるんだよ」ということを話せるし、食事をつくるにしても、まずは火を起こすのだって大変な作業という事がわかりますね。こうして考えると、現代に生きる私たちには当たり前のことが昔は違っていたんです。
 化粧品の歴史を辿ると、ローマ時代なんかは今のオーガニックコスメとつくり方が同じなんです。「したたり落ちた羊の油からできた」という石鹸の由来がありますが、油と水は界面活性剤で混ざるということも昔の人は知っていました。ポマードも、石鹸を界面活性剤代わりに油と水を混ぜてつくり、それを髪に塗ったりとか、すでにできていたわけです。
 そこにいつの間にか、「保つ」とか「利便性」といった余計な価値観が加わり不自然なものへと変化していくんです。便利に使われる電子レンジのように、本来いらないエネルギーを使うことになっていくわけです。
 ですから、そもそもすべては「自分たちが悪くしているんだ」ということに気づくのが大事で、恐らくそれは電気も一緒だと思います。「便利さ」が、社会を病ませてしまっているんです。
ーこの異常な暑さ、頻繁に発生する自然災害に、日々の生活が繋がっているという意識も必要です。

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様々な環境配慮をしながら化粧品を作るオーガニックコスメの代表ブランド、ドイツのDr.ハウシュカ

小松 台風や水害、地球環境が悪くなる、オゾン層が壊れるということに、結局は化粧品の原料も加担しているのに、さらに私たちはクーラーのお世話になって、そのクーラーがさらに環境を悪化させ、全部が悪循環に入っていっています。
 私は、オーガニックの業界の人たちを「地球を守るスーパーヒーロー」だと思っています。一人一人のやっていることは小さいかもしれないけれど、そういう人たちの存在によって、地球はまだなんとか今の状況に保たれているんだということです。
ー小松さんの考える、本当の意味での「美=ビューティー」とはなんですか?

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              日本でたった一人。ドイツにて、Dr.ハウシュカ公認のメイクアップアーティストとトレーナーの資格を取得

小松 一言で言えば「外見の美しさだけでは成立しないもの」という感じでしょうか。
 その人の持つ節度や思いやり、精神性が美しい波動を持つ人。そして健康であること。ちなみにコスメは、基本的に外見の美しさをつくり出すものです。現在の美は「自己主張」というところが大きく膨らんだ、ちょっと歪んだ美のかたちかもしれません。最近は精神性にも同じことを感じます。
 「美しさ」の定義は歴史と共に変わってきて、「化粧」なら、はるか昔は儀式やお祭り、戦い、または魔除けだったりしたわけです。それがクレオパトラたちの時代には目を紫外線や害虫から守るためのアイラインだったりしました。そして徐々に現代の「美しさ」を司るものに変わってきて、ローマ時代には今の原型ともいえるファッションの一部に繋がっていきました。
 そこからどんどんと進化し、私たちが愛用する利便性の高い化粧品がつくられるようになってからの歴史は、実はまだ80年くらいなんですね。合成洗剤などの進化も、ちょうど同じくらいの浅い歴史でしょう。使いやすく進化した分、実はその80年余りという短期間の間に地球環境は急激に悪化しています。つまり現代の美意識は、ものすごく地球を汚す成分でつくられてしまったということです。そして私たちにとっても、アレルギー問題がどんどん増えているのです。
 スキンケア製品は、きれいな肌を保つために使います。それは肌を清潔に保ち、足りないものを補ったりする。余計なことをしない方が、肌は健康を保てます。でも、日本人の多くには「あか抜けたシミのない肌が一番美しい」という価値観があり、「美白」を求め、劇的な作用を期待して化粧品を過剰に使いがちです。
 それでもだめならさらにハイテクな美容整形にいくわけですが、それは人間の機能を無視し、余計なものを肌の奥に浸透させてしまうので、むしろそれが原因でアレルギーになったり、肌荒れなどのトラブルが発生しがちです。
 ですから、そうなると結局はいい食べ物をいいバランスで、人間らしい生活をしている人の方が肌がきれいに保てるわけです。ようやくそういうことが見直されてきているし、オーガニックはそういう製品を推奨しています。
 「美」に対する意識が歪んできてしまっているので、つくられるものもそうしたニーズに対応できるより浸透する、より「落ちにくい」、「崩れない」ものがどんどん生まれてしまう、現代はそういった本末転倒な状況にあります。
ーそれこそエネルギーとの共通項かもしれませんが、根っこの部分に何があるかということを日々意識して当たり前に実践していかないと、結局はその毒素が自分に戻ってきてしまう。

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小松 皆さん、「人間は生物だ」ということを忘れている気がします。すごい能力もあるけれど、愚かな部分もたくさんあり、無駄なものをたくさんつくり出したことによって、本来持っていたはずの動物的な要素、本当の力も失いつつあると思います。「本当にこんなにエネルギーって必要?」というところで、化粧品も「こんなの必要だったかな?」ということにあたります。
私も昔は化粧品をフルラインで揃えていました。それでも乾燥は治らない、肌は赤くなる、痒くなるという経験を経て、オーガニックの自然ケアに変えたのです。そこで驚くほどの回帰再生を体感しました。
今は朝も化粧水しか使いません(笑)。そこは「エネルギーと一緒かな」と思っていて、無駄なものはもういらないというか、元に戻って「エネルギーって少量でいいんだな」と本当に思います。
 主催する『ナチュラルライフ&ビューティーアカデミー』はベーシックコース1回(5時間)、プロコース全6回(計36時間)、オーガニックの本質や化粧品のあり方、肌の解剖学、スキンケアの極意、化粧品成分についてなど様々な事を学びますが、プロコースでは必ず最後にこんな言葉で伝えていることがあります。

「オーガニックを選ぶ」ことは決して難しく特別なことではありません。
でもそれはとても深い意味を持ちます。なぜならあなたの未来の選択だからです。

 ビューティーなんだけど、オーガニックを選択する事はそれだけではない深い意味がある。そこに気づいてほしいからです。
<お知らせ>

ナチュラルライフ&ビューティーアカデミー』は2017年1月からスタートし、今迄、多くの受講生の方々がベーシックコースを修了し、それぞれのお仕事や、自分の為に活かされています。
なかなか知りたくても教えてもらえる場所がなかったオーガニック、ナチュラルに特化したスキンケア、メイクアップのベーシックな知識を1日で習得するコースになります。

今後のベーシックコースのスケジュールは以下の通り
↓↓↓↓↓
東京校
9月30日(日) 12:30-17:30
10月20日(土)12:30-17:30
11月4日(日) 12:30-17:30
12月9日(日) 12:30-17:30
東京(アトリエ・スセリ)東京都港区南麻布1-5-14麻布東町マンション301

名古屋校
10月6日(土) 10:00-16:00
愛知県産業労働センター(ウィンクあいち1205室) 愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4番38号

 

オーガニックコスメと再生可能エネルギーの共通項、いかがでしたでしょうか?
たぶんそれは、私たちの日々の生活のあらゆる局面で見つけられることかもしれません

 

→【初回】小松和子|オーガニックコスメの第一人者に聞く
→【第2回】小松和子|オーガニックコスメの第一人者に聞く

(取材:平井有太)
2018.8.8 wed.
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