【第1回】SHINGO★西成|『ドレミファSOLAR』、そして5thアルバムについて
読みもの|5.23 Tue

  日本初、、もしかしたら世界初で、みんな電力が世に送り出したエネルギーのテーマソング『ドレミファSOLAR』。
 その内容はもとより、レゲエ・レジェンドLee” SCRATCH” Perryと、同名義で最後となる6枚目のアルバム『真説〜卍忍法帖〜福流緑』を出したばかりのデージェイ卍 LINEの組み合わせが話題を呼んだ。
 そして、一度『ドレミファSOLAR』を聴いた人間の耳に残るのは、色も匂いもないエネルギーの世界に起きた大きな改革=自由化を、「キタキタキタキタ!」と強烈に印象づけてくれたラッパー、SHINGO★西成氏の骨太な声。そして、「誰かを悲しませる電気はいらない」と歌う、心に刺さるリリック(歌詞)かもしれない。
 大阪は西成から声を全国に届け続け、5枚目のアルバム『ここから・・・いまから』発売直前の氏に聞いた。

 

shingo

ー今回、Lee Perryという御大、しかもヒップホップとは親戚のような関係とはいえ、畑の違うレゲエの曲を一緒につくるにあたって、特に考えたことはありますか?
SHINGO そもそもこういうチャンスもないし、そこに今の世の中の情勢じゃないけど、電気が自由化になって「じゃあ、どうすんねん?」って。
 オレは全然電気に詳しくないけど、ニュースやドキュメンタリーは目にしてたし、その時に(窪塚)洋(介)ちゃん(=卍 LINE)が話をふってくれて。そこに企画で、これも長いこと知ってる有太マン(本サイト編集長のニックネーム)も絡んでて。だから、正直言ってしまうと「Lee Perryさんと一緒」ということはそこまで重要ではなかったかもしれへん。
 話を持ってきた洋ちゃん、そしてそのタイミングと、311の後福島に住みだした有太マンのことは、陰ながらサポートさせてもらってたから。だからもう、「ほんならいいんちゃう」と。
 その上で「Lee Perryさんも参加してくれる」ということで、作品としても、ライブするにあたっても、「みんなウィンウィンがいいな」って。その勢いもあるし、熱い想いでつくったけど、ライブするにあたってもその気持ちで、最大限「Lee Perryさんやからこそのマキシマム・リスペクトを込めてやらなあかん」と思って。DUPPIES BANDやエンジニアも素晴らしい方々が関わってくれて、仕上がりはすげえ良くなったと思ってます。
 「皆さんの想いは、ライブでよく表現せなあかんな」と思ってるけど、まだステージではできてない。そこも洋ちゃんと話して、一回「新たな気持ちでできたら」という感覚でいます。
ー聴いていて、エネルギーに対する強い想いを感じました。
SHINGO そもそも、オレの町にはオレより知らない人がおるから。「そういう人に知ってもらうきっかけがこの曲であればいいな」って。それも「これがいい」という提示じゃなくて、「こういうのもあるよ」という提案というか。
ー「キタキタキタキタ!」という部分、理屈抜きに掻き立てられます。
SHINGO 電気という目に見えないものが「自由化」言われても、しかも、もともと自由に使えてるとさえ思っていたものを促す、、「チョイスができんのや」という部分を伝えたいというだけの話であって。
 電話会社をドコモかソフトバンク、auにするのか。チョイスできるということは、めっちゃ、人生において幸せですよね。だからそれをわかってくれたらいいし、ただ、その「チョイスできる」という部分を、シンプルにしてあげたい。
ー「The Choice is Yours」をコピーに掲げているみんな電力にとって、嬉しい言葉です。
SHINGO ばっちりだと思います。
 それはお互い、洋ちゃんが思ってること、オレが思ってることがそれぞれあって、カタいことばかりじゃなくて遊び心も入れて。さらにそこに、Lee Perryさんのキャラを受けつつ、3人がちゃんと並べるようなミックスにしてもらって。
 Lee Perryさんは、とにかく「すごい」ということを聞いている人やから。でもオレは作品を通じてしか感じてない人やから、今回のプロジェクトに関しては、一番にただ「光栄です」というよりも、洋ちゃんもLee Perryさんも入った企画で「一緒にできた喜び」というのがリアルかな。
ー「愛がないのはたいがいじゃない」というリリック(歌詞)がありました。ということは、愛の”ある”電気と”ない”電気がある?
SHINGO そこは、東電てあんなに叩かれてるイメージあったのに、自由化でその東電まで関西に電気を売りにくるということを知ったので。そんなん、「それはもういいわ」ってことですやん。でも自由化って、そんな会社まで関西にアクションしてくるくらいやから、もちろん会社だけでなく、オレらにもメリットあることを提示するんちゃうかみたいなことが気になって。ホントにそんな状況で、やっぱり「The Choice is Yours」ってことが丁寧に、ちゃんと伝わればいい。
ー「詳しくないし」と仰りつつ、絶妙に必要なことが込められたリリックに思えました。
SHINGO すごくシンプルに、話をくれたタイミングが良かったんだと思います。だから、もちろんいつでもちゃんとつくってはいるんだけど、最初話を聞いたのは去年の今頃かな?それで、レコーディングは7月頃までに終わってたと思います。
ー「これなら西成のおっちゃんにも伝わる」という手応えはありますか?
SHINGO まあ、おっちゃんたちにはLee Perryさんの部分は英語でわからんとして(笑)、そこは存在感としてね。でも、西成のおっちゃんたちがLee Perryさんに会っても、キャリアはもちろんすごいことやってきはったんやろうけど、見た目はある意味一緒やから(笑)。西成は、Lee Perryさん”みたいな”人がいっぱいおる町。
 もちろんキャリアはリスペクトしてるし、レゲエ関係の人はみんな名前を聞いただけで「おっ」となる。オレよりもっとLee Perryさんと曲をやりたかった人もおると思うんで、そこは光栄な、恐縮する話やけど。

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SHINGO★西成

“昭和の香り”色濃く残る大阪のドヤ街「西成」、釜ヶ崎は三角公園近くの長屋で生まれ育つ。「今に見とけよ!」精神と冷静な視点、体験を元に「間」を活かした独自のソウルフルな「べしゃり芸」で表現する世界観は、キャラの濃い関西シーンの中でも突出している。KREVA、香西かおり、赤井英和などの競演陣が示すとおり、ユニークで暖かい人間性ゆえに“ジャンルを超えた存在”として、今や名実共に“大阪名物”。2013年にはNHKが45分間の「地方発ドキュメンタリー “西成”を歌うアーティスト」を制作。同年12月4日に4thアルバム「おかげさまです。」を、翌年8月6日には初のMIX CD「ラガッ&ラパッ」を発表。その後、吉本新喜劇とコラボしたライブをなんばグランド花月で敢行、収録DVDを15年4月29日にリリース。長年続けている釜が崎三角公園での炊き出しボランティアをはじめ、堀江のゴミ拾いプロジェクト、西成ウォールアート回廊計画などにも参加し、社会にも積極的に働きかけている。5月24日には待望の5thアルバム「ここから・・・いまから」を発表。初回盤に付属するDVDは、ディレクター・KUROFINNによるMV5曲とショートインタビューで構成されるドキュメンタリータッチの短編といった趣で、音だけでなく映像でも彼のスタンスを感じ取れる。

 

(取材:平井有太)
2017.05.10 wed.
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