気象予報士がタドる空の魅力 vol.4 「カナトコ雲は何のサイン?」
読みもの|9.2 Thu

前回は、“積雲”の「並雲」について書きました。

“積雲”がモクモクと発達すると“積乱雲”になります。積乱雲は雲の中でも、一番背の高い雲です。積乱雲がどんどん発達すると、上に上に伸びようとするのですが、行き場がなくなり、横にひろがります。その広さは直径100km以上に及ぶことも。

このように“積乱雲”の最上部の水平方向にひろがった雲を「カナトコ雲」と呼びます。カナトコ(鉄床)とは、金属をたたいて鍛える作業台のこと。

https://twitter.com/arakencloudからの引用

さまざまな雲が、生まれたり成長したり消滅しているのは「対流圏」の中での出来事です。「対流圏」の上にはオゾン層がある「成層圏」があり、その境い目を「圏界面」と呼び、蓋のような働きがあります。「圏界面」の高さは、熱帯地方ほど高く、両極に向かうに従って低くなり、日本上空では、その高さは約10kmです。

@SkunkWorld

上の写真は、これからカナトコ雲として、水平方向にどんどん広がるぞ!という雲。

最上中央部に雲を突き破るようなでっぱりがあります。モクモクしたでっぱりは“Overshooting top”と呼ばれています。

@Naoko Ogata

上の写真のような入道雲は、圏界面までに届かない 積乱雲です。
この写真の中央部では、雲の下から雨の柱が垂れていて、雨が降ってることがわかります。滝のような大雨だと予想されますが、その迫力はカナトコ雲直下の現象ほどではないです。

カナトコ雲の下では、大雨はもちろん、竜巻などの突風や雷・雹など、破壊的なパワーが炸裂しています。特にOvershooting topが見られる積乱雲では、竜巻発生の可能性が大です。

危険な目にはあいたくないですよね?積乱雲が近づいてくるサインは、3つあります。

(1)黒い雲が近づいてくる。(2)雷の音が聞こえてくる。(3)冷たい風が吹いてくる。

一つでも気づいたら、頑丈な建物に逃げることをおすすめします。

私は、『可愛かった綿菓子のような赤ちゃん雲が、ぐんぐんと大きくなって目の前が暗くなって怖い鬼ママみたになってきた&冷たい風を感じたら、近くの建物で雨宿りしててね。一時間くらいしたら止むから』と、子ども達に言い聞かせてます。

前回書いた並雲が沢山できて、今回の写真のような雲が見えたら、“もしかしたら、怖い積乱雲・雲の王様の「カナトコ雲」がやってくるかも?”とアンテナを立てて下さい。

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記事を作った人たち

タドリスト
スイトケイコ
気象予報士・保育士・3児のママ。「空をみあげるお母さんを増やそう」を合言葉に活動。子育てに役立つお天気講座を開催。イベント出展や自然エネルギーの啓発、普及に携わる等、活動は多岐に渡る。