気象予報士がタドる空の魅力 vol.6 夜空に出現する光の環とは?
彩られる夜空
先日、中秋の名月を眺めていたら、
月の周りにカラフルな雲をみつけました。
こちらは、22時ごろに撮影した写真です。
月のまわりをふちどるように、丸く輪ができて鮮やかに光っています。
月の光によってできるので、「月光環(冠)」(げっこうかん) といいます。
昼間に見える太陽の光によるものを、「日光環」(にちこうかん)と呼んでいます。
日光環や月光環は、おもに薄く広がった、いわし雲(巻積雲)やひつじ雲(高積雲)によってもたらされます。日光環は、まぶしくて観察しづらいですが、月光環は比較的見つけやすいです。
雲の中の水滴や氷の粒により、光が“回折”することで生まれます。水滴などの大きさによって回折の度合いが異なるので、大きさや色の具合は、一瞬一瞬で変化します。
光の進路を変えるメカニズムには、「屈折」「回折」「反射」「散乱」などがあり、回折によって光がまげられるときは、その度合いが光の波長により微妙に異なります。結果、波長の長い方から順に色が振り分けられ、赤から紫のグラデーションが現れるのです。
温泉や脱衣場などの湯気のたちこめた場所で、電灯の光がぼけて見える現象も、光の「回折」によるものです。
早春、大量に飛散したスギ花粉によって、日光環ができることもあり、これを「花粉光環」といいます。
ぜひ、うっすらと雲が高くにあるタイミングで、太陽や満月を見上げてみてください。
満月の日だけではなく、大きい月の光を感じる夜、晴れていて雲が高めの位置に浮かんでるタイミングに、夜空を見上げてみてください。「夜の虹だ!」と子どもが発見したときに叫んでましたが、まさに「夜の虹」を見つけることができます♪