18万人が集結!「MUSIC DON’T LOCKDOWN」のグランドフェス vol.1
メイン写真は左上から時計回りに、それぞれの場所、やり方、立場、プラットフォームから参加したいとうせいこうis the poet、高木完氏、須永辰緒氏、Zeebra氏
遡れば3月25日、いとうせいこう氏が、小池都知事が記者会見で言及した東京の都市ロックダウンの可能性に機敏に反応。ツイッターで「音楽はロックダウンしないし、させない。そして音楽に関わる人たち、それを楽しむ人たちを封鎖させない」ということを呼びかけ、そのムーブメントは「Music Don’t Lockdown=MDL」と名付けられた。
結果、それから一ヶ月後には日本、台湾、タイ、インドネシア、シンガポールから国境を超えてアーティストたちが集結。2日間にわたって、全ステージで18万人超が視聴した前代未聞のフェス『巣ごもりSP グランドフェス vol.1 powered by 17 Live』が開催された。
そしてもう一つ、大切なことは「自律分散型」であること。
だから、演者それぞれは自宅やスタジオから、状況にマッチした各種プラットフォームを使い、時には一人で、または誰かしらの手助けのもと、慣れない無観客であろうが、画面越しに熱い想いを伝えてくれるのだ。
MDLはグランドフェスに向け、3月28日(土)を皮切りに毎週末音楽、演劇、アート、落語、お笑い、トークといった、ジャンルも越境したあらゆるエンターテイメントとクリエイティブを巻き込みつつ、試行錯誤を積み重ねて配信してきた。
NAZWA!のお2人は現在毎週月曜27〜29時、J-WAVE(81.3FM)「TOKYO M.A.A.D SPIN」も担当している
新型ウイルスの余波から生まれたMDLは、始める必要性がなければ、それが一番だったのかもしれない。
しかし世界中の人々が命の尊さを改めて痛感し、その中で私たちの生活の潤滑油か、時には必要不可欠なガソリンそのものとして機能する「文化の役割」を、当事者たちも含めて考え直すきっかけとなったことは間違いない。
MDLはその成り立ち、取り組みの流れから、近未来を技術的に先取る取り組みとしても機能してきた。それはアーティストへの直接的な支援となる投げ銭の仕組みや利率、そこでかかる楽曲の権利問題、ライブ・コラボレーションの際のタイムラグ、視聴者参加型で当事者としての感覚を共有できるプラットフォーム探しなどを通じ、ある意味で必然だった役割とも言える。
そして、あらゆる表現者が集結し、最新テクノロジーを使いこなす先で、いつも未来のスタンダードをいち早く提供してきたクラブの世界からも、その目的に呼応した重鎮たちがパフォーマンスを披露した。
世代を超えてリスペクトを集める2組。上はLAMP EYEから、ラッパーのRINO氏とDJはYAS氏。下はラッパ我リヤで、ラッパーはQ氏と山田マン氏の2人
もともと別のプロジェクトでいとう氏との交流を深めていたみんな電力も、このままでは大打撃を受けるカルチャー界を支援すべく、早くに協賛を決めた。
ラッパーのダースレイダーとDUB MASTER X両氏それぞれが自宅から、ネット回線上で実施したLIVEコラボをダースレイダー氏のYoutubeチャンネルから配信
今や、音楽レーベルにクラブなどの切り替えも進んでいる中、制作から演奏まで、すべてが再生可能エネルギー由来という音楽も可能になった。もしもこの騒動を期にそういったことが当たり前になれば、それは地球上のあらゆる生き物にとってプラスでしかない。そのセッションは、コロナ後の社会に向けた試金石と言えるのだ。
思い返せば3.11以降の福島では、農業の現場で「ここでは全国の地方都市、過疎地域が水面下で抱えている問題が、原発事故によって早送りされて顕在化した。だからこそ、それらの問題を乗り越えられれば、最前線で全国を牽引する立場になれる」ということが語られていた。つまり現在の苦境も、将来的に取り入れる必要のあったシステムにいち早く取り組む、絶好の機会と捉えることもできる。
会長の清水宏氏率いる”日本の新しいエンターテイメント”スタンダップコメディ協会も参加で、ラサール石井氏、ぜんじろう氏、インコさん氏もMDLに登場している
一つ、私たちが忘れてはならない事実は、1918年に猛威を奮ったスペイン風邪も、経済活動を再開させた第二波の方が犠牲者を多く出したこと。この”動乱”が続く間、MDLも続く。
曰く、「マスクをしていることを格好良く」(いとう氏)を実現させるべく、Black Donuts/縫布鯉口の特製マスク。ビンテージ生地で、パチモノななめ猫に想いが
緊急事態宣言を受け、毎週水曜の週1から月木の週2更新にアップデート中のENECT。木曜のインタビュー記事もお楽しみに