【第2回】文化の力を再生させる|NAZWA!(Watusi+Naz Chris)
読みもの|11.9 Mon

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  Watusi氏の意味深な言葉で終わったNAZWA!(Watusi+Naz Chris)インタビューの初回。お2人に話を聞いているのは去る9/13(日)、コロナ禍にあって音楽やエンタメ業界が大打撃を受けている中、何か希望や近い未来の新しい価値観について体現した、今後常に語り草になるであろう、東京タワーでのエポックメイキングなイベントを成功させたから。そしてその一部に、間違いなく再生可能エネルギーも組み込まれていた。
 Watusi氏は都内で20以上の音楽スタジオとライブハウスを運営する、役員としての顔も持つ。その言葉には、例えば現状を「ウチ規模で毎月1千万円以上の出血している。それが1年続くということは1億以上、安心するには2億借りなきゃいけない」と語る、この状況から何を生み出すか、前例のない中試行錯誤を続ける当事者だからこその説得力が宿る。
 クラスターのリスクはもちろん、以前からコロナがなくとも何かとレッテルを貼られ、押し付けられるしわ寄せを跳ね返してきた「カルチャー」の力。それがどう機能し、再エネとのリンクを果たしたのか、お読みください。

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Naz Chris(以下、N) これは少し前からとは思うんですが、皆さんの、当時のもっと「みんなでやろうぜ」という感じがどこにいっちゃったんだろう?ということは感じます。
 クサい話かもしれませんが、お金とかコネとかがなくても、もっと割とみんなが集まれていた感じがあったと思うんです。
ー良くも悪くもシーンが大きくなり、それに伴ってジャンルが細分化され、それぞれに分かれちゃった傾向はあるかもしれません。
Watusi(以下、W) そこを、なんとか「繋がる場所も必要」ということが、風営法の改正の頃から見えてきたと思うんです。みんなそれぞれ、特にDJなんて個人、単品で繋がりを持たないでやるのも「クールでいい」ということはあったと思います。
 DJが「議員と擦り寄ってなんとかなんてクールじゃない」はわかるんですが、大人になっていって何かしらのそういう繋がり、つまり「ダサいこと」を知らないと、コロナ禍みたいなことがあった時に官とのやりとりすらできない。文化庁が「助成金を出そう」と言っても、どこにアプローチしたらいいかもわからない。つまり「ダサいことをやらないけない人」が必要なんです。
ー汗かく存在が必要であると。

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W その見え方とか、2、30代のDJが嫌なのはよくわかります。でも4、50になってもそれができないやつしかいなかったから、今のこの世のDJたちを全員駆逐するためにも、「これをやってやろう!」と思いました。だから、「結局アンダーグラウンドなんかないんだ!」と思ってやっているということもあって、それがコロナと同じ頃の話です。
MDLTDMW関係者の、一番の年長と一番の年少がお2人なのかなと思います。そんなお2人だからこそ、絶妙に広い世代を挟み込んで、各界の猛者たちを促されているというか、、
N そうだと思います。
W もっと上の人も巻き込みたいと思っているんですが、その方々はもっとクールで、風営法の時も「Watusiさん、そんなに守らなきゃいけないようなパーティーは、一つでも東京にあるの?」「そんなアンダーグラウンドで”カルチャー”と言えるような場所があったら、教えて」「僕はみんな、滅びればいいと思っている」ということを言っていました。
 だから僕もちょっとそっちに入っていて、これをやっているのは、今のDJたちのためではまったくなくて、もっと「孫のため」と思ってやっているんです。
ー今回のイベントや取り組みが試金石や踏み絵というか、そういった気持ちで仕掛けられている?

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W 乗ってこなくてもいいんです。もっと別なアクションで、アンダーグラウンドはもっと清く、ストイックに輝くものだから、そういう風にやっていけばいいんだけど。
 でも、そのアンダーグラウンドがツイッターで叫んでるだけじゃ、「死ねばいいのに」と思うしかないんだよね。思想なきアンダーグラウンドは、ただのファッションだから。
N 私はサイプレス上野さんみたいに、本当に小学生だけどしがみついてでもクラブに入って、「絶対にあの人に近づいてフリースタイルかましてやるんだ!」みたいな、そういうスタンスに似ていて、とにかく全部が好きだったんです。
 だから、「八方美人と言われようがしょうがいないじゃん。今の日本のシーン全部好きだから」という、別に媚びているわけじゃなくて、「興味あるから近づきたいじゃん」。そういう純粋クソ真面目な、悪く言うと青春野郎でスゲーうざいみたいな、でも、そういうのが最後は勝つと思うんです。
 「死んでもカルチャーは私を裏切らないはず」みたいなことをマジで信じれちゃうタイプできてるから、ちょっとやそっとでは倒れない。だから、そういうことでここまで続けてきて、12、3歳からそういうものが好きになって、まだそれに対する希望とか憧れ、アティテュードが萎えないのは「好きが功を奏した」というか。
 純粋な「好き」って強くて、フラれてもフラれてもしがみついていって、何なら「振り向かせてやるぜ」くらいなんです。
 だから、Watusiさんみたいなことを言われても「ちょっと待ってくださいよ」みたいな。「ここはこうじゃないですか」とか言いながら、たまにケンカもしながら、、
ーケンカもされるんですね?
W Nazの方がだいたい怒ってる(笑)

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N それで折れてくれたり、折れたりして、でもどっちもどこか、冷めてはいるけど基本熱くて真面目ということは共通点で。
W 自分が楽しんできたことを信じているんです。こんなに楽しいこと、かっこいいこと、ヤバいことなかったと思うから、それを守り、残したいだけというか。
 そんなことがあって、コロナがあって、そういうタイミングで逆サイドからMDLみたいなことが起こって、あれは希望でもありました。「こんなことが」、「こんなやり方で」、「みんな意外と乗ってくるんだ」みたいな、そこでは芸人さんやら落語のお師匠から、能や狂言の方々から、さらには(みんな電力の)大石さんみたいな人までが現れて。
 でもMDLは、ふられた方は以外と大変で、しまいに「巣篭もりフェスやる!」っていう時はもう地獄(笑)。「オレ、何してるんだろう?」っていうくらいアジア中に連絡して、メールで誰がOKで、マネージャーさん出てきて「あ、すみません」なんて言いながら、配信の会社と打ち合わせして「これ、何のためだったんだっけ?」みたいな(笑)。
 でもあれは、そういった意味の希望でもあったんです。あの時は芸人パワーに、逆に音楽家たちが押された感覚もありました。圧倒されて「素晴らしいな」と純粋に思いましたし、「ミュージシャンちっちぇえな」みたいな。

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イベント途中に開催されたカンファレンスにて、NAZWA!のお2人といとうせいこう氏、環境省環境再生・資源循環局の川又参事官、そしてみんでん・大石代表

ー今、みんでん・大石さんの名前も出てきました。
N まさに今思えば、今回のTDMWがこうなったことも含めて、MDLに大石さんをはじめ、皆さんが集まったこと自体が私自身の「再生可能エネルギー」でした。
 これだったら「考えられる」、「やれる気がする」みたいなことは、先ほど言った「自分のやってきたことを信じている」というパワーと、まわりからいただいたエネルギーで私自身が再生したと思うんです。
 もともとはこのイベントをやるために1年前からあらゆるところを駆けずり回って、潜入捜査みたいに各所に潜り込んでは「こういうのやるんで!」、「力貸してください!」みたいなことを企業さんや議員さんに伝え続け、それがコロナで全部吹っ飛びました。「できないじゃん」となったところで私を再生させてくれたのは、紛れもなく「賛同してくれた方々」だったんです。
 私はそういう、「再生させるエネルギーを信じる」という風に決めて、そのキーワード自体、大石さんのやられていることからもらいました。そしてそう考えていくと、そういったいいエネルギーがなければ文化も人も存在できていないんだなと。それは環境も、それも地球規模のものでなくとも、自分の近所やこのJ-WAVEとか、いいエネルギー無しは死んでしまうわけで。
 人にエネルギーを分け与えることの重要性と、私自身20年間このカルチャーからエネルギーをもらってきたからこそモチベーションがあるわけで、同じことを新しい世代にできたらいいなと思います。それを見い出せたこと自体、大石さんや再生可能エネルギーというものに対して、感謝です。
ー次世代や別ジャンルの方々にも受け継ぐべきものという風に理解できた。

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N 私は電気を、もっと壮大なものかと思っていました。でもここでもう少し紐解いて、触れてみたい。それは環境、人、文化のため、もっと勉強したいなと思いました。
ーみんな電力は創業当初から、大石さんが「子どももギャルも、おじいちゃんもおばあちゃんも発電できる」ということを言ってきています。

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N 何か「眩しいな」と思ったら、光っている方が現れたんです。またの名が「地球を救うハゲ」だった(笑)。
 正直、突然やってきた光るヒーローによってMDLもTDMWも救われ、間違いなく勇気をいただいて、感謝しても感謝しきれないので、これからもいっぱい迷惑かけようかなと思っています(笑)。
W 音楽家だけじゃなく、ライブをやっているような人間は例えばアメリカに憧れて、追いつけ追い越せ、というか「仲間になりたい」みたいな想いで音楽をやってきた部分があります。
 その中で「ユニティ」という姿勢を覚え、その象徴としてロック、ポップ、ハウス、テクノみたいなジャンルが存在している中で9.11があった。すべて嘘っぱちなことが明らかになり、みんなの足元が崩れ落ち、改めて「想い」を探しはじめました。
 日本ではさらに3.11というショックがあって、電気を使う自分たちの身の丈や関東に生きていることを含めて、「どう生きていこうか」。自分たちの未来と足元をさらに具体的に考え直さないといけない、古くからの友だちも音楽をやめて、東京からも離れていった人間も多くいます。
 「もう、音楽をやっている場合じゃない」って。
 ちゃんと地球を掘り返すところから闘い直して、「この加速を止めることに人類は力を注がないといけない」というのが、音楽家の主だった想いだとは思うんです。
 それぞれに活動のかたちがあって、それを歌に乗せる人、直接動く人、被災地巡りをするとか、いとうくんの「国境なき医師団」SUGIZOくんはアラブ各国を巡り、長い親友である佐藤タイジは中津川で「THE SOLAR BUDOKAN」をはじめて。
 大石さんといとうくんが出会ったきっかけにもなった、坂本教授の「NO NUKES」いとうせいこう is the poetで出演した時も、出演するアーティストたちは以前よりはるかに悩んでいました。みんな最初は「出たい、出たい」と言ってくれても、最終的には「事務所が、、」と、すごく大変だったんです。

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みんな電力の創業メンバーでもあるエネルギーアイドル・永峯恵さんも、新解釈によるエネルギー民謡の新曲を「永峯恵 & RUDIE JAP」として披露した

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NAZWA!

COLDFEETのメジャーデビューから20周年を迎えたWatusiと、ロンドン、インド・カリフォルニア経由のDJ/キュレーターで、若手オーガナイザー・ プロデューサーとしても多忙なNaz Chrisという世代・性別・国やジャンルを超えた2人によるDJユニット。
”繋がり”、”垣根”を超えユナイトする”WA (輪)”をテーマに【Ring Link Music】を提唱。国内外の野外フェスにも人気の2人によるプレイはバレアリックの精神を背景にTechno/House/Nu Discoなどのジャンルをも自由に行き来きし、壮大な一夜の絵物語を描き出す。
2018年、東南アジアツアーを敢行し、シンガポール、インドネシア、ハノイ、ホーチミンなどでプレイ。
2019年には、1st EP「 KISS THE TOKYO GIRL」をリリース、2020年にJ-WAVE「TOKYO M.A.A.D SPIN」のナビゲーターに就任すると共に、1週間、ダンスミュージックと共にカルチャーと人が繋がる祭典「TOKYO DANCE MUSIC WEEK」を旗揚げした。

【Watusi (COLDFEET)】 (Official web/SNS)
www.coldfeet.net
(Facebook)www.facebook.com/Watusi.COLDFEET

【Naz Chris】 (Official web/SNS)
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(Instagram)https://www.instagram.com/xnxaxzx_christina_dj/
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(Twitter)https://twitter.com/NazChris_dj

だんだん明らかになってきた、カルチャーと再エネの関係性。瀕死のカルチャーを再生させるエネルギーの真価、最終回で!

 

(取材:平井有太/撮影:森拓実)
2020.9.16 wed.
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