巷で噂のCBDをタドる!vol.1 ~CBDってなに?~
読みもの|9.3 Fri

 「CBD」をご存知でしょうか。

 「シービーディー」または、その正式名称を「カンナビジオール」という成分は、日本で「ダメ。ゼッタイ。」とされる大麻草に含まれています。しかしCBDは、違法成分の代表格である「THC」のような向精神作用がなく、現行の大麻取締法でも合法です。それどころか、実は日本は「CBD大国」と呼んで遜色ないほど、世界に類を見ないレベルでCBD製品が盛り上がりを見せています。遡れば、トレンドに敏感な女性向けコスメショップやサプリとして見かけるようになったことを発端に、最近ではCBD入りのクラフトビールやコーヒーショップでCBD製品が扱われるなど、その展開はすでに多岐に渡ります。

 近年、国内でも100社以上が参入するほどの人気となっているCBD製品の背景を、少し追いかけてみましょう。

目次

日本における大麻:生活必需素材から厳しい法規制の対象へ

 そもそも大麻は、日本人にとって身近な農作物として、縄文時代からほんの70年ほど前まで、私たちの衣食住や神事を支えてた素材でした。

 日本では1886年から1951年まで、国が定める『日本薬局方』という医薬品リストに、「印度大麻草」「大麻チンキ」「大麻エキス」といった大麻由来の医薬品が収載されていました。これらはぜんそくや痛み止めとして実際に流通していましたが、1948年に制定された大麻取締法によってその医薬品としての取り扱いが禁止。1950年代には約37,000軒いたという大麻農家は、厳しい法規制と化学繊維の普及、はたまた私たちの生活習慣や意識の変化によって、2019年には40名未満にまで激減しました。1948年以降、日本国内での研究はほぼできない状態が長く続いてきたのです。

 それにしても私たちのどれだけが、神社における神事や鈴縄、相撲でいえば横綱の綱、他にも和紙、花火の助燃剤、茅葺き屋根など「日本文化に欠かせない素材としての大麻」を認識できているでしょうか。

「グリーンラッシュ」海外で盛り上がる産業用大麻製品

 かたや、トレンドを牽引する高感度の女性たちの間でCBDが取り沙汰されるようになった背景には、海外の潮流があります。北米を中心とした医療大麻の解禁、嗜好用大麻の合法化、ヘンプ(産業用大麻)製品の拡大といった動きは「グリーンラッシュ」と呼ばれるほどの、大きなうねりです。マーケットは現状すでに約2兆円規模まで成長、今後数年でさらに倍増することが見込まれ、すでに約24万人もの雇用や巨額の税収を生み出しています。

 そしてヘンプにもSDGsに直結するサステナブルな、環境負荷の少ない生物資源として、再評価の波が押し寄せています。著名な企業としてアパレル業界からはpatagoniaやLEVI’S、さらにおもちゃのLEGOはブロックをヘンプ素材とするため、試行錯誤を続けています。

CBDには美容効果のみならず、医療的効果も

 世界でCBDがその評価を確固たるものとしたのは、女性の健康や美的効能はもちろん、年齢に関わらず、その医療的効果を体感したことにあります。CBDは、人間の生物学的な機能に深いところで働きかける機能を持ち、精神的な不安、うつ病、その他さまざまな疾患に効果を発揮するという報告があります。

 各国で進められる研究や医師からの事例報告は、枚挙にいとまがありません。

 CBDは、代表的なものだけでも自己免疫疾患(炎症、リウマチ性関節炎など)、神経疾患(アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、てんかん、脳卒中など)、メタボリック症候群(糖尿病、肥満など)、神経精神病(自閉症、ADHD、PTSD、アルコール依存症など)、皮膚疾患(にきび、皮膚炎、疥癬など)の治療に有効という報告もあり、その効果は今も日々アップデートされています。

まとめ

 さらに、2020年WHO勧告に伴う国連麻薬委員会における採決があり、 CBDだけにもとどまらない、大麻系医薬品の医療上の有用性が認められ、それに伴って日本にも制度見直しの政治的な動きがはじまりつつあります。

 ですが、「使って違法になることはないの?」「CBD製品の良し悪しはどう見分ければいいの?」など素朴な疑問や不安が沸き起こる人も多いはず。

 次は、そんな疑問や不安をいろんな人にぶつけに行ってみたいと思います!

(参照:日本臨床カンナビノイド学会

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記事を作った人たち

タドリスト
平井有太
エネルギーのポータルサイト「ENECT」編集長。1975年東京生、School of Visual Arts卒。96〜01年NY在住、2012〜15年福島市在住。家事と生活の現場から見えるSDGs実践家。あらゆる生命を軸に社会を促す「BIOCRACY(ビオクラシー)」提唱。著書に『虚人と巨人』(辰巳出版)など