【第1回】DJ KRUSHが25年の節目で発表するラップ・アルバム
今日本で、かつてないほど巷を賑わす”ラップ”ミュージック。きたる6月7日(水)、氏がソロ活動25周年の節目で発表するアルバムにはOMSB、チプルソ、R-指定、Meiso、呂布カルマ、RINO LATINA Ⅱ、5lack、志人と、知ってる人には無視できないラッパーたちの名前が並ぶ。
しかも、5月27日(土)渋谷VISIONでのリリースパーティには、25日(木)のDOMMUNEに出たR-指定以外の全員が出演。「猛獣を扱うようなもの」、「どうなることやら」と笑う氏に、聞いた。
ソロ活動25周年、初のラップアルバム。
feat. アーティスト(読み五十音順)
R-指定
OMSB
志人
5lack
チプルソ
Meiso
RINO LATINA II
呂布カルマ
人は…地球は…宇宙は…どこから来てどこに行くのだろう。
過去…現在…未来…そこには一体何があるのだろう。
生の喜び…生の苦しみ…生の悲しみ…その先にあるものは?
アナログの時代…テクノロジーの進化…遺伝子の組み換え…
その先の未来は?
DJ KRUSHの重く厚いビートの上で国内屈指のラッパーが
言葉巧みにそれぞれの”軌跡”を繰り広げる最上のコラボレーション作品!
それで原宿の歩行者天国に出て、そこでMUROくんと出会った。その後、KRUSH POSSEができて、もう「日本語ラップをやっていこう」と思って、大手レコード会社にデモを当時持って行ったんだけど、上手くいかなかった。
その後、KRUSH POSSEもいろいろな事情で解散することになって、ラッパーがいなくなっちゃった。ラップアルバムをつくりたいのにつくれないまま、一人になっちゃったんです。
そんな時、ちょうどヨーロッパで僕の音楽が注目されて、それなら目線を変えて、「世界に行こう」と。ヨーロッパ行って、アメリカ行って、修行して最終的に日本に帰ってこようと。それで向こうの連中とアルバムをつくって、ツアーして、そんなこんなで世界を2、3周していたら、知らない間に25年経ってた。
その間もずっと、「日本語のラップアルバムを出したい」と思ってきたんですけどね。
でも、今でこそ、日本のラップシーンは、こんなに盛り上がってるけど、当時は自分のハートに入ってくる日本語のラップは数少なかった。もちろん、そんな中でもまったくやってこなかった訳ではなくて、アルバム『迷走』ではRINO、TwiGyとやってるし、その後のアルバムでも漢くんとか、神戸のINDEN、BOSS THE MC(現: ILL-BOSSTINO)なんかとやってきてる。その時に一緒にやる条件は言ってること、人生観含めて「自分のハートにくる」MCたち。ただアルバム1枚をラップで固められるだけの数ではなかった。そんな中で25年が経っちゃって、あっという間だった。
それで昨年、ふと我が国のラップの状況を見たら高校生、下手したら中学生までラップしてると。ちょうど自由にやれるタイミングだったので、昔からの夢だったものを、「実現させよう」と思って今回のアルバム制作に繋がったんです。
今回のアルバムは、3ヶ月半くらいで作りました。
やれ「DJが格好いい」となれば、どこの雑誌も特集を組んで、スクールまでできて「これで世界に羽ばたくやつが出てくるのかな?」と思いきや、下火になっちゃって。ブレイクダンスもそう。だからまだ、その一環として見ている自分もいます。過去に経験してきちゃってるから、腕組んで安心して見てられないところはありますね。
あとは情報網も変わったじゃないですか?インターネットがあって、世界レベルで物事を見れるし判断できて、それがいいか悪いかはわからんけど(笑)、「どこまで広がっていくんだろう」というのはありますね。
面白いのは、参加してくれた彼らの中でも年齢が30、28になると、僕が原宿で回してた頃、まだオムツしてた子たち(笑)。そういうことも含めて、各自の足跡が一つのアルバムになっているので。
過去にそれはTwiGyだったりRINO、BOSSくんはもちろん、INDENや漢くんだったり、「このラッパーの詩を聴いてると色でイメージが出てくる」というラップの人に対しては、純粋に「つくりたいな」と思います。
「軌跡」というコンセプトを伝えて、「オレは25年やってこういう足跡をつけてきたんだけど、みんなはどう?」ということで、3曲ずつくらいデモトラックを各ラッパーに送って、「どれでやる?」と。
その後、選んでもらったトラックの上に彼らが詞を付けて、ラップを乗せてきますよね。でも、最初に送ったトラックはまだラフなもので、構成されているものじゃないので、彼らのラップを聴いて僕がそれをまた眺めて、バックの音を色付けし直して。
各自個性があるし、いかにも「ただ乗せました」じゃあつまらないから、グル-ヴも含めて、一緒に寄り添っていく曲にしたかったので。
それで、イジり直したものをもう一回聴いてもらって、何度かダメ出しのやりとりをして、彼らがOKしてくれれば正式なミックスに入っていくという、そのやりとりを全員としました。
全3回、次回へ続く
DJ KRUSH (ディージェイ・クラッシュ)
サウンドクリエーター/DJ。選曲・ミキシングに於いて抜群のセンスを持ち、サウンドプロダクションに於ける才能が、海外のクラブ・シーンでも高く評価されている。1992年からソロ活動を精力的に行い、日本で初めてターンテーブルを楽器として操るDJとして注目を浴びる。1994年に1stアルバム『KRUSH』をリリースし、現在までに9枚のソロ・アルバムと1枚のMIXアルバム、2枚のセルフリミックスアルバムをリリース。ソロ作品はいずれも国内外の様々なチャートの上位にランクイン。現在も年間、約30カ所以上のワールドツアーを敢行している。地域を越えて、多岐に渡り高い評価を得続けるインターナショナル・アーティスト。