都内のシステム会社が、森林整備活動を始めた。
その会社にSDGs担当者はいない。ESG担当もCSR担当もいない。
社会貢献活動を模索していたが、きっかけがつかめないでいた。
そんな会社が、パーテーションの導入をきっかけに、育林ツアーに参加した。
SDGs活動の夜明けに立つエヌアイシー・ソフト株式会社の経営管理部総務経理担当部長、安武聡さんと、育林ツアーに参加した志村亜希子さんからお話を伺いました。
―――きっかけはオフィスの「パーテーション」ですね
安武「元々、出社する社員のためにもオフィス環境をよくしたいという考えがありました。緑(植物)を取り入れてみたのですが、まだちょっと殺伐とした感じがあり、どうにかしたいねと言っていたところに、ちょうど木のパーテーションのお話をいただきました」
―――パーテーション導入の決め手は
安武「世の中の流れの中で、社外にもアピールできるSDGs活動をしたいというのが一番の理由でした。置くだけでSDGsの貢献ができるパーテーション(※1)というのは魅力でした」
※1 素材生産者から背景が明らかな国産材のパーテーション。販売価格に再造林費が含まれ、製品と同じ量の木材を新たに育て上げる費用が山(林業者)に返される。
―――すでにパーテーションが置かれていましたが、導入にあたって課題はありましたか
安武「木の雰囲気と合わないオフィスだったので、部分的に入れるのは見栄えがどうなのかという話はありました。でも実際に入れてみたら、既に入れていた緑が映えるようになりました。あとは、杉の木ということで導入前に花粉症の方が心配していましたが、こちらも全く影響はありませんでした。」
―――社内での評判はいかがでしょうか
安武「やはり、香りが良いという声が多かったです。段々慣れてきてしまいましたが。設置した周囲に席がある方から特に評判が良かったです。」
志村「プラスチックが多いオフィスに木のパーテーションが置いてあるのはアンマッチな感じもしましたが、オフィスのパーテーションと育林ツアーがセットというのはとても面白い取り組みで良いと思います。香りも良いです。」
―――次に育林ツアーについて伺います。こういった活動は今までにありましたか?
安武「森林整備はもちろん、SDGsへのアクションというのを全くしたことがありませんでした。やりたいとは思っていましたが、こういったご提案を頂くような機会がなければなかなかできません」
―――実際に育林体験をしてみていかがでしたか
志村「植林というのはよく聞くし実際の作業もイメージしやすかったのですが、草刈りや枝打ち・除伐など植林後の育林という作業は考えたこともなかったので『あ、こんなこともやるんだ』という発見がありました。あと紅葉も、噂通りとても綺麗でした」
―――どの作業が楽しかったですか
志村「1人で黙々とやる草刈りも楽しかったですが、私としては2日目の枝打ちや除伐の作業が楽しかったです。太い木をみんなで交互に切ったりして現場に一体感が出たのでとても印象に残っています。社内の人だけでなく、社外の人とも交流することができました。」
―――一緒に参加された方とはほぼ初対面だったとか
志村「そうなんです。システム会社ということもあってテレワークが主なので、ミーティングでは見るけど挨拶くらいしかしない人や、本当に初対面の方もいました。特に私はコロナ下の入社で社内の人と交流がなかったので、お話をいただいたときに良い機会だと思って参加しました。普段はミーティング以外で話すことや雑談もあまりないのですが、作業に参加した社員とはじっくり話ができてとても良かったです。」
―――今後の展望をお聞かせください
安武「こういった活動がリクルートにも効果的にはたらくと期待しています。定例化して、毎年新入社員を参加させることも考えています。若手はしっかり作業をして、年が上の方々はもう少し軽い作業を、とかもいいかもしれないですね」
志村「社内はもちろんですが、社外の、しかも異業種の方々と交流ができるというのはとても良い点だと思います(※2)。そういう意味でも、若手にぜひ参加してほしいです。今は新人研修もオンラインとオフラインが半々で交流が少ないですし、先輩社員との交流も極端に少ない状況です。上司と触れ合う良い機会にもなると思います。」
※2 育林ツアーは、林業者(株式会社くりこまくんえん)と工務店(株式会社アトリエデフ)、ソーシャルアップデートカンパニー(株式会社UPDATER)が合同で開催
―――そういう意味ではESG投資にもなりそうですね
志村「そうですね。育林活動などは中々個人で自発的にできるものではないので、会社に言われて初めて参加できます。」
安武「会社としてこういう活動を推進して社員の参加を促していることや、パーテーションでオフィス環境もよくしていることは、社員のための投資になっていると思います。」
SDGsに貢献したいけど機会がない、コロナ下で交流の少なくなった社員の満足度を上げたいという企業は多いのではないでしょうか。
すでに行っているグリーン購買や福利厚生にSDGsの番号を付けただけでは現状維持のまま、世界は変わりません。
置くだけでSDGsにもウェルビーイングにも貢献できるパーテーション、社内や社外の人材交流にもなる育林ツアーを検討してみてはいかがでしょうか。
呼吸する木のパーテーション
製作者だけでなく、製材方法や伐採された山まで明らかな国産杉のパーテーション。
販売価格には製品と同じ量の木材を新たに植え育てる金額が含まれており、再造林や育林に充てられる。
低温乾燥により、木が本来持つ性質(油分や調湿作用)を最大限活かして作られている。また、防虫剤・接着剤も含め化学薬品を一切使っておらず、使う人の健康や空間改善に寄与する。(防虫は燻煙乾燥、接着はニカワを使用)
育林ツアー
宮城県の栗駒山で毎年春と秋に実施。植林後間もない山の草刈りや、植林後に10年以上放置された山の枝打ち・除伐・つる刈りなど育林作業を一泊二日で行う。栗駒山で伐採された木の製材工場見学や、育林作業の意義・日本の山が抱える問題についての研修もある。くりこま高原の温泉や山の中でのランチも楽しめる。
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