気象予報士がタドる空の魅力 vol.8 夕焼けが愛されるワケとは?
夕焼けは、なぜこれほどまでに、愛されるのでしょうか。夕焼けの写真を撮影し、「夕焼けを見ると癒される」と感じていませんか? 二度と同じ夕焼けに出会うことは無く、一瞬一瞬の表情が豊か、だからではないかと私は考えます。では、なぜ、それほどまでに夕焼けの姿が多彩なのか、たどってみました。
夕焼けとは、“日没のころ、西の地平線に近い空が赤く見える現象”を言います。先日、水平線に沈む夕陽を長女(小5)と眺める機会がありました。水平線に隠れる太陽を見終わったら、しばし呆然とたちつくし「あっという間だったね~ きれいだったね~」と。太陽が沈み始め沈み終わるまでにかかる時間は、緯度によります。赤道付近では2分ほど、日本では2分半ほどで、この短時間の西の空の表情は、自然が人間に演出してくれた芸術とも解釈できますね。
こちらは、長女撮影、飛行機雲もみえます。
写真の太陽は、太陽が沈む前の風景です。色でいうと、「オレンジ色」でしょうか。
次の写真は雲のない空の夕焼けです。水蒸気の量が少なく乾燥していると、この写真のように、黄色っぽい薄色の夕焼けが見られます。
一方、写真のような燃える夕焼けを見るときもあります。これは、空の高いところに雲が多くでているタイミング。大気中の水蒸気が多いほど波長の短い青色光が散乱し、波長の長い赤色は散乱されずに目に届くため、真っ赤に見えます。
水蒸気の多い海岸沿いの、こちらの空には赤から灰色のグラデーションがされています。
遠い太陽の近くは赤、真ん中はオレンジ、手前の空は白、そして雲の底辺はなんともいえない灰色。水分の多い海沿いならではの光景です。
また、日没後に、写真のようなマジックアワーとよばれているタイミングに見ることができる夕焼けもあります。オレンジ色、金色、紫色、紺色など徐々に染まり方が変わり、太陽の光源もないことから、風景が最も美しく見えるとも言われています。
黄色~オレンジ色の夕焼けの場合、翌日は晴れ。燃えるような赤い色の夕焼けの場合は、これからお天気下り坂。黄色っぽい夕焼けは、乾燥している冬ごろに見られ、赤っぽい色の夕焼けは湿度の高い夏にみられることが多いです。
いかがでしたか?夕焼けが今までよりも好きになっていただけたら嬉しいです。