【第2回】みんでん鼎談|ブロックチェーンのアツい本質
みんでん内で、日に日に存在感が増していくブロックチェーンシステム構築を牽引した飛峪(とびさこ)龍一さん、森本詢さん、鈴木雄介さんにの三名に集まっていただくと、話は技術的で専門的な方向で終始するかと思いきや、予想外な「ロック魂」溢れる展開。
「ブロックチェーンは誰にでも可能性が開かれている」ことは、それこそサステナブルな社会を標榜し、「誰も置きざりにしない」SDGsの理念にまで通ずる?
自分も含め、ブロックチェーンが何かをわかっていなくとも、その本質部分に何があるかが垣間見え、少なからず未来に向けてワクワクできる記事となったはず。
まずは鼎談に参加したお三方のプロフィールを入口に、お楽しみください。
飛峪 龍一
1974年大阪生。Grid World合同会社代表。
小学生の頃からプログラミングに親しみ、アセンブラで書いたゲームソフトが雑誌掲載された事が自慢。専門学校で情報処理とコンピューターサイエンスを学び、社会に出てエンジニア/プロジェクトマネジメントを多数牽引。
2016年に暗号通貨と出会い、ビットコイン投資を歴てブロックチェーン技術に興味を持つ。海外ブロックチェーンホワイトペーパーの紹介記事を執筆し雑誌掲載複数。
後にブロックチェーン専門企業でエンジニア兼マネージャーとして開発従事、ブロックチェーン教材開発、ブロックチェーン大学校の講師担当、海外ブロックチェーン実証実験参加、ビットコイン取引所アプリ開発参加等を経て、みんな電力プロジェクトに参画。
みんな電力ブロックチェーンチームと共にスケーラビリティー問題解決に従事する。
ブロックチェーンハッカソン「Decrypt Tokyo 2019」優勝
森本 詢
1990年東京生、日本大学第三高校、京都大学農学部卒業。
2013年から2018年までコンサルタントとして国内の企業の組織開発、事業開発の支援に従事。インダストリー4.0のインパクトの大きさに危機感を持ち、グローバルな開発者コミュニティの東京ブランチ立ち上げに参画。
コミュニティの技術者との会話の中でサイファーパンクのメーリングリストのことを知り、技術者の描いた世界観が、40年後に現実のものになってきている事実に衝撃を受けてブロックチェーンの世界に興味を持ち、ブロックチェーンエンジニアにジョブチェンジ。
現在はみんな電力のブロックチェーンチームで開発業務に従事している。
鈴木 雄介
1985年静岡生、静岡県立農林大学校卒業。
園芸店・生花店勤務を経て12年前にシステムエンジニアへジョブチェンジ。3年前に、当時関わっていたシステム案件を通し再生可能エネルギーへ興味を持ち、みんな電力へJoin。
現在はシステム案件の立ち上げ支援やシステム部メンバーの後方支援を行う。
ただ、実際にやりながら調べていくと、UXが本当に使い辛くて、管理も自分でしないといけなくて、「こんなものの一般浸透なんてまだまだ先」だなと思いました。それで逆に興味を持ち、「その部分を改善できるようになろう」と思って、そこからブロックチェーンエンジアリングを本格的に学び出したんです。
Bitcoinは100万円を超えました。世間は常に、アーリーアダプターが飛びついているものに対して懐疑的ですが、今後はそれが最終的にレイトマジョリティとなる路線には入ったことを感じます。つまり、みんなが疑心暗鬼している間こそが飯のタネなんです(笑)。
世間一般に、開発したものがPASMOとかICOCAみたいになったらそれは便利だれども、エンジニアリングとしては完成したものです。そうなっては、それを自分自身の技術の付加価値として繋げていくには遅いんです。
そういう意味では黎明期の今こそ、仮想通貨の金銭的価値の上昇も目の当たりにしたし、UIやUXは未だにまだまだですが、それでもどんどん良くなっていっているのを見てきています。エンジニア視点としては、「これからもっと伸びるな」というワクワクを感じ続けています。
海外での事例は本当にとんでもなくて、特に現状一番強いのはカジノ事例です。ゲームとカジノ業界でのブロックチェーンの広がりは、すごいです。
最近はSBIホールディングスも、R3社のプロジェクトでRipple(リップル)関係のチェーンをずっと使って、世界への国際送金の金額がグッと下がりました。
100億円の送金は、PayPalを使うと手数料が3億円かかります。それを3%という風に考えると理解できるんですが、3億という金額そのものは大きい。でもそれをBitcoinで送信すると、1000円ほどなんです。差は歴然としています。
今はそれが国際的に危ないことだということで、かなり止められています。フェースブックのLibra(リブラ)も潰されそうですし、僕らが使っているStellar(ステラ)も、つくられた目的はLibraと同じようなプロジェクトです。
だからそこで、悪いことでもいいことでもしようとする場合、最近の例ですとSNSで匿名ですごい書き込みをして他人を傷つけておいて、苦しめた後に必死に自分のコメントを消す層がいるじゃないですか。ああいう連中が一度コメントを書き込むと、もう「書き込んだ」という事実は消せなくなるんです。
ただ一方で、息苦しいかもしれないという側面もあります。また、今まで無料な代わりに情報を吸い取られていたのが、イチイチお金がかかってくるということにはなるかもしれません。
国税局も当時は素人だったでしょうが、あの頃から比べて、Bitcoinはちゃんと突き詰めて自動化スクリプトを組んでしまえば追跡はできるというところまで、レベルが高まったと聞きます。
「ちゃんと追跡できる」、「税の取り逃しはない」、「じゃあ承認しよう」という段階までは至ってきたと思います。
なるべく透明で、アメリカや日本の「国税局が税金の取り逃がしをしないで済むようなブロックチェーンのみ、活かしていこう」という、大きな流れになりつつあります。最初は全排除だった方向性が、今は税金を取れる暗号資産は(取引所に)残るようになりました。
(注釈 ※ 仮想通貨取引所には多数の暗号資産が登録されているが、好ましくない暗号資産は次々と取引停止となっている)
また、普通何かの売買をしたい場合、それを目的としたプラットフォームがあって、そのプラットフォームがそれぞれサービスごとにあったりします。
でもその行為を、「企業で共通」とか「日本で共通」レベルではない、今後「世界で共通」としてサービスを展開させていく、本当に世界をターゲットにできる可能性を感じています。
つまり、今後納得感が得られないような支払いや送金はどんどん排除されていく。お金をいただくからには、そこにそれなりの価値がないといけなくなるというか、今までの「手数料はそれなりにかかる」、「まあ仕方ないよね」という認識が崩されてきているんです。
特にP2P(Peer to Peer)、つまり「電力の融通」ということであれば、確かドイツの事例で、電力P2Pについて規制の法案が出ていたかと思います。その透明化について、特に「ブロックチェーンを使え」と言明しているわけではありませんが、P2Pで取引するのであれば、その記録台帳を開示しなければならない。なければ法律違反であると。
「であれば、ブロックチェーンじゃないか」と、まるであらかじめそのために用意されたツールがブロックチェーンであるようなことになっています。
2009年から続く、ビットコインのブロックチェーンがまったく問題なく動き続けて、改ざんもされていなくて、この歴史的な経験則、実績はあらゆる企業が採用できるはずなんです。技術側からしてみれば、「電力に限らず」ということです(笑)。
ですから、いつでも「ブロックチェーンを使って」と言われれば、手の内のカードの中で「最適なものを使いますよ」という立場として、こんなに便利なものがあるんだから、その気さえあれば協力させていただこうと、そうやって参画させていただいた流れです。
それまで、自分が使っている電気がどこから来ているかなんて、まったく考えていませんでしたので(笑)。
最後の写真は、「毎日助ける」”まいける”の中に入ってみた飛峪さん。実際、ブロックチェーン技術で助けてくれました。
予想外の熱を帯びたブロックチェーン鼎談、大団円の最終回は17日(月)。お楽しみに