大人の社交場「スナックSDGs」が、TBSラジオにオープン。4月4日を初回として、毎週日曜、20時から30分にわたって展開される番組のホストは、みんな電力・大石英司社長と堀井美香アナウンサー。みんでんはオフィスにリアルなスナック「再生」を持つことで知られるが、それを豪華に進化させた出張版という趣きだ。

　　記念すべき初回のゲストは、「SDGsは大衆のアヘン！」と、いきなり番組の看板を一刀両断してしまう気鋭の社会学者・斎藤幸平さんと、みんでんとのお付き合いも長い、作家のいとうせいこうさん。斎藤さんは、「SDGsに厳しくあたるのは、言葉が安心する材料になってはいけないから。現在の気候は『ポイント・オブ・ノーリターン』。予期せぬ連鎖反応で事態が収拾不能になるほど、危機的状況」と説明された。 　20年以上ベランダで園芸を楽しんできた、自称「ベランダー」であるせいこうさんも「最近やけに熱帯の植物が売られるようになったと思ったら、去年その彼らでさえ夏を越せないほどの暑さだった」と続ける。

　　桜が入学式の前に咲き、雪が降らないモンゴルから黄砂が飛んでくる状況は、実はすでに気候変動でもなく気候危機、または欧州などで言われている気候崩壊（Climate Breakdown）にある。言葉からそれを意識させることが重要だし、ここから「みんなでシステムそのものを大きく変えていくアクションを起こそう」という熱い誓いが、スナックSDGs初回にあった。

　　豪華ゲストとの盛り上がりが、30分番組一回だけに収まるわけもない。続いて11日の第2回には、私たちがうてる有効なアクションについて具体的な言及もあった。 　冒頭大石社長からは、海外ではESG投資など、経済的観点で気候変動対策が進められている状況についての報告と「でも、それって本質的？」との問い。かたや日本に漂う、私たち市民に欠落しているように感じる、「自分で社会を変えられる。大きな問題を止められる」という意識。そこをせいこうさんは「近代化のプロセスで、革命のなかった日本の特徴。でも、四季の国・日本だからこそ、四季を守る行動が必要。人々を焚きつけ、結果を数値や絵で示していく。人は達成感があると動く」と説く。

　　そしてこの日、「みんなでシステムそのものを変えられる」可能性溢れる、世界初の試みについて発表があった。 　せいこうさん曰く、「みんでんだからこその特性は、自分がどこの発電所から電気を買うか選べること。それがブロックチェーンの技術で実現している。だから今『いとうせいこう発電所』をつくって、まずはネーミングライツで看板を付けさせてもらう。誰でもそこから電気を買えて、代わりに、例えば僕の限定ライブ情報が同じ電線を通じて消費者に伝わる。そうやって電気をエンタメとも繋げていくことができる」。

　　斎藤さんは、ここで言う「みんな」についてさらに具体的に解説された。 　曰く、「いきなり大規模な改革も必要ない。ハーバード大の政治学者エリカ・チェノウェスによると、人口の3.5%が非暴力的に本気で立ち上がると社会が変わる。つまり、そうして脱炭素革命的な、ポジティブな変化が起こせる。3.5%の消費者ならみんでん、せいこうさんで動かせるのでは？」

　　それを受け、せいこうさんは、「自分がどこの電気を使っているか、それが名刺に書いてあるような時代になったらいいと思っている。自分が電気をどう使うか、意見を世の中に言える社会。それこそが『電力シェアランド』。株と同じように、パネルも分割して共有していきたい」と、斬新な構想を語られた。 　最後に、大石社長が静かに熱く、「TBSラジオのリスナーはおよそ450万人。それってすでに、日本の人口の3.5%以上。そこの本気を醸成するまでこの番組終わらない。いよいよ、せいこうさんが発電所をつくり、ファンがそこでつくられた電気を買える時代がきたんです」と締めくくった。 　

スナックSDGs、お二人がゲストのトークは4/25（日）・20時〜の放送で一旦お開き。アーティスト電力はみんな電力が 創業時から持っていたアイディア。せいこうさんの発想と化学反応を起こし、遂に実現しました。今後の展開もお楽しみに