スポーツ×再エネで実現する体にも環境にもサステナブルな未来へ
読みもの|12.22 Wed

2021年12月22日から、みんな電力とアシックスがコラボした家庭向け再エネ電気プラン「ASICS ONE FUTURE でんき」が始まる。また、年明けから、アシックスの事業所のうち6カ所の電気がみんな電力の再生可能エネルギーに切り替わり、国内のアシックス自社所有のオフィスは100%再生可能エネルギー化を達成する。

それに際して、アシックスジャパン株式会社・社長小林淳二氏、株式会社アシックスサステナビリティ統括部・統括部長吉川美奈子氏、株式会社UPDATER(旧みんな電力)・社長大石英司氏が対談。三者それぞれの視点から、今回のコラボに至ったいきさつ、日本におけるサステナビリティへの意識の変化、そして、これから目指す未来への展望について熱く語られた。

スポーツ、気候変動、ウェルビーイング、そして子どもの権利まで!?社会課題へと鋭く切り込む対談をぜひお楽しみください。

目次

スポーツ×再エネで実現する、次世代につなぐ健やかな暮らし

ー さまざまな分野でサステナビリティは重要視されていると思うのですが、現在の気候危機や、それに対する世界の反応についてどのような見解をお持ちでしょうか?

大石:去年の脱炭素宣言ですとか、それから一気に加速した感があるといえばありますよね。でも、ほとんどの方は電気を使うことでCO2が出るっていう意識がもともと少ない。特に家庭生活におけるCO2排出量の半分は電気由来なんです。その半分全部を再生可能エネルギー100%に利用者の人が切り替えてくれたら、家から出るCO2半分減らせます。

小林:そういう意味では、オリンピックのタイミングは重要でしたね。アスリートも今まで通りできる環境じゃなくなるかもしれない危機感、札幌にマラソンが変更されたことは一つ大きなトピックにもなりました。開催場所の変更は、今までになかったことです。

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温暖化がもたらした、東京2020オリンピック競技への影響 
大会直前の2019年にIOC(国際オリンピック委員会)の判断で、東京の暑さでは選手への体の負担が大きいことから、マラソン・競歩会場は札幌へと変更された。
参照:https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/dcc3d02020b778d37efc658241dc3eca.pdf

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小林:参加選手は深く考えたと思います。また、選手たちだけでなく、次世代がスポーツできる環境が将来残っているのか、と危機感を感じた人も多かったのではないでしょうか。だから、このタイミングでのオリンピックが果たした意味は非常に大きかったと思います。

吉川:アシックスでも2030年に向けたビジョンを出しており、その中でサステナブルはしっかり柱として経営の指針の中に入っています。2023年に向けての中期経営計画の中でもサステナブルな社会に貢献していくことがしっかりと組み込まれていて、社内の意識も高まっています。

小林:まずは売り上げだ!となるところを、「サステナビリティが経営の根幹なんですよ」と発信するのは、社内にも大きなインパクトになっていると感じています。

大石:今回相当大きく踏み込まれましたよね。サプライチェーンとかお客様への巻き込みだったりとか、一歩踏み込まれたのも、全社的にかなりコンセンサスが取れてきているという1つの形なんですか?

吉川:やはり経営戦略の中にサステナビリティが入っていることが大きいです。だからこそ、業務の中で定着しつつあります。実は、本社は、個人目標の中にサステナブル目標を入れることになっているんです。

大石:個人目標に、ですか!?

吉川:はい。さまざまな取り組みを提示しながら考えてもらっています。指針の柱としてサステナビリティを掲げるのに加えて、ちょっとした仕掛けもしながら取り組んでいます。

大石:ユニークですね。社員にサステナビリティ宣言をさせるんですね。

吉川:それから、アシックスでは、バリューチェーンの中で、どの段階でCO2排出量が多いかを把握しています。実は原材料と生産過程で事業の約70%のCO2排出があります。それを踏まえて、新しい資源からの原材料をリサイクルにシフトする働きかけを行ったりしています。例えば、この靴(写真)には廃棄衣料や繊維が使われています。量に換算すると5トン、だいたい25,000枚相当の捨てられるはずだった古着や繊維ゴミが再利用されています。21年から9割超のランニングシューズにリサイクル材を使用しており、循環型のモノづくりを目指しています。

大石:90%以上!?すごいですね。

吉川:はい。最終的に、消費者の方に履いて頂くことで、サプライチェーン、つまり原材料や生産過程でのCO2削減の意義が出てきます。リサイクル材を使ったシューズやアパレルを着用することがCO2削減と気候変動へのアクションになることが伝わって、選択してもらえるようになるといいなと思っています。

大石:そうですよね。選択ですよね。

ー 今回のコラボの一環で、みんな電力に契約してくれた方が、発電所応援先一覧の中から、「ASICS ONE FUTURE でんき」を選ぶと、アシックスさんが取り組まれている、子どもたちの健康をスポーツで応援するONE FUTURE PROJECTに毎月100円が送られますよね。このプロジェクト内の、「エコボッチャ」というスポーツアクティビティに関して詳しくお聞かせください。

吉川:ここは、担当の田邉が一番よく知ってるかと(笑)

田邉:はい!「エコボッチャ」って、あまり聞き馴染みがないと思うんですが(笑)でも、意味はそのままで、エコと、ボッチャというパラスポーツの融合です。

大石:ボッチャってどうやってプレーするんでしたっけ?

田邊:ボッチャは、ジャックボールという白いボールに対して、赤青の各チームがボールを投げて近づける競技です。ボールを近づけるだけでなく、白いボールにわざとぶつけて位置をずらし、形勢逆転を狙うなど、すごく頭を使います。大人や子供、障がいの有無に関わらずできる魅力的なスポーツです。

大石:ボールも再生マテリアルでできているんですよね。

田邊:はい。シューズと同じく、廃棄されるはずだった衣料品からつくっています。なので「エコ」なんです。また、プレーの前にボールを自分でつくることから始まり、特徴的な素材でリサイクルを伝えます。「エコボッチャ」を通して、ボールってこんな風にできてるんだというのを通して、モノの大切さを学び、最後みんなでボッチャしてもらおうという企画なんです。

小林:ただスポーツに触れあうだけでなく、エコやサステナブルに自分が参画することによっていろいろな学びが得られるのがこの企画です。アシックスが環境や健康を意識した活動をやってみることはもちろん、アシックス以外にも関わる人が広がるような場所づくりにはかなり力を入れてます。

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ASICS ONE FUTURE でんきについては以下のボタンからどうぞ!

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大石社長の「見える化」にかける熱い想いと、小林社長の共感から生まれた今回のコラボ

ー 今回のコラボが生まれたきっかけはなんだったのでしょうか?

大石:ちょうど2020年の秋ごろに小林社長とお会いしたのがきっかけですよね。電気の使用でCO2が出ていて、そのせいで、夏の甲子園とかできなくなるんですよとか、マラソンなんて暑くて夏なんて走れないですよなんてお話をさせていただきました。

小林:もともと私たちの会社は「スポーツを通した青少年の健全な育成」が創業の想いだったので、このままだと子どもたちや青少年がスポーツをする機会が減っていくのではないかとお聞きしたのが頭にすっと入ってきましたね。

小林:その中で、「コンセントの向こう側の顔が見えてますか?」ってワードがありました。僕もあまりコンセントの向こう側を意識したことがありませんでした。でも、それが見えることで自分がどう関わっていくか、どういうアクションをしていけば変わっていくのかという、自分ごと化が明確になるんだ、と実感したのを覚えています。

大石:正直、アシックスさんとの協業の実現は難しさも感じていました。どこまで受け止めてもらえるだろうか、と。でも初めて小林社長とお会いした昨年の秋以来、この1年でアシックスさんが本気で取り組まれているのは伝わってきていて、しかもBtoCの部分まで広げて行かれようとされているのには、本当に感動です。

電気だけじゃない!「見える化」でつくるサステナブルな世界

小林:今回の取り組みは、1つのモデルケースなので、各社、各自治体がこれに近いような仕組みをそれぞれ持って、いろいろな場所でいろいろな人たちが参画できるというのが一番いいですよね。

大石:そうですね。独占するのではなくて、誰もがつくれて誰もが収入を得られる、誰もが分散化できる富にしていきたいですね。今回お話ししてやっぱり、このモデルケースを自治体とか全国に広めていくっていうのは、アシックスさんがやることにすごく大きな意味があると改めて実感しました。アシックスさんの持ってるプラットフォーム事例を乗せて、スピード感を持って広がる可能性もすごく感じています。次はどんなことに取り組まれるのか気になります。

小林:もちろん、私たちのステークホルダーもそうなんですが、まずは会社、社員がそれを自分ごと化してどうしていくのかをきちんと認識しないといけない。関わり方やどんな役に立っているかの見える化ができるのは、まずは社員が体験することから始まるんだと思います。また、それに基づいて、私たちの取り組みをステークホルダーに知ってもらうほうが、説得力もあります。「自分たちのできることは社内からやっていこうよ」という心意気でいます。

大石:いろいろな顔の見える化ができたらいいですね。今回は気候変動からまず取り組みをご一緒させていただいて、再エネを広めてCO2排出量を減らしていこう、ということを社員さんも含めて個人のお客さんも巻き込んでいくのはとても楽しみです。

ー 電気以外で気になっているサステナビリティへの取り組みはありますか?

大石:顔の見える化でいうと、個人的な興味でもあるんですが、子どもの権利の見える化をしたいなと思っています。うちの子どもが少年野球をやっていて、選択の自由がないってことに気づいたんです。地域の少年野球チームって、お父さんがコーチ陣にいて、コーチの子が中心に回っています。つまり、そこに親が参加できない子は、全然野球ができなくなってるんです。子どもの権利がないんです。子どもの権利って野球に限らず、すべてのスポーツにおいて守られるべきだと思うんですよね。

大石:そこで、やってみたいと思ってるのが、子どもたちのストレスチェックです。うちの会社のサービスの1つとして”ウェルビーイング”をやっていて、唾液と声からそのひとのストレス度と幸福度がわかるんです。なので、少年野球の子たちの唾液をとってみて、すごく楽しく練習したときにどれくらい幸福度が上がってるのかを見える化してみようと考えています。幸せな少年野球を増やしていったら、結果的にスポーツやる子が増えていくと思うんです。スポーツの世界で子どもの人権を守るべきだという話はぜひアシックスさんとご一緒することによって、広がっていくのではないかなと思います。

吉川:うちの子どもも少年野球やってたのでわかります。

大石:ええ!わかりますか!

吉川:はい(笑)まだ続いてるんですね。それから、ウェルビーイングに関しては私たちは得意分野です。3Dセンサに向かって歩くだけで歩行年齢が表示されるシステムもあります。アシックスのスポーツ工学研究所で蓄積されたデータをつかって評価しています。

小林:体の傾きなどもすぐにわかります。

大石:楽しそうですね!

吉川:また、スポーツする前とスポーツした後の顔を撮り、表情やその他の要素からスポーツした後にココロがポジティブに変化したかが見えるシステムも開発しています。どれだけスポーツが人を幸せにするかを見える化していると言えますね。

小林:実際、イギリスのある街で、実証実験もやったんです。

吉川:調査結果にて、イギリスのその町は、新型感染症もその一つの要因として住民の気持ちが最も落ち込んだ町とわかりました。そこで、アシックスが入り込んでいろいろな場所でちょっとしたスポーツをする仕掛けを作り、町民が気軽に体を動かせる機会を提供したのです。そして、スポーツする前後で人々の心の変化をMind Uplifter(マインドアップリフター)と言うシステムで比較し、見える化して、町全体がアップリフトされた=元気になった事例もあります。

大石:それはすごいですね。

小林:見えるって大事ですよね。歩行年齢もそうですが、数値がこれくらいだからこうしようとか、具体的な数字が見えないと続かないですよね。

大石:見えると、自主的な行動につながるんですよね。この商品買うことでCO2がどのくらい下がるとか数字もそうですし、売上の一部が少年野球の自由を守るために使われているっていうグローブがあったら、僕買うと思うんですよ。そのグローブで幸せになっている子どもたちまで見える化して、つながりができるとそこに価値が生まれます。

吉川:まさに、ONE FUTURE PROJECTの取り組みですね。

ー 最後に今後の可能性について教えてください。

大石:今回は電気から始めましたけれども、消費によって課題を解決できるという事例にしたいんです。高いか安いかの判断基準でモノを買うことが多いと思うんですが、この商品を買うと子どもの未来につながるという判断基準が、電気だけでなく広がったらいいなと思います。ONE FUTUREっていうのを合言葉に、いろいろな分野を変えていきたいです。僕らの巻き込みパワーだと限界があるので、アシックスさんでもONE FUTURE PROJECTを広げていただけたら、と期待しています。

小林:まず広げていくことを大事にしていきたいです。自分たちの中でできることをやっていって、それを理解していただいて、周りのステークホルダーにつなげていく。もっと積極的にやらないといけないなって思います。なので、電力に関わらず、子どもの権利もそうですし、いろいろなところで協力させてください。

#アップサイクル #再エネ #持続可能な社会 #読みもの
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記事を作った人たち

タドリスト
廣瀬あかね
横浜出身、東京在住。国際教養大学在籍中。メンタルヘルスの医療化と新自由主義の影響について研究中。好きなことは読書、お絵かき、誰かと話すこと。最近は相席食堂にはまっています。