なぜ?自治体ごとに違うごみの分別ルール
「引っ越した先ではごみの分別方法が全く違う。なぜだろう?」
ごみの分別方法について、一度は疑問に思ったことがありませんか?ごみが自治体ごとにどのようにして分別されているのか、またごみ排出量の削減努力をする地域についても紹介します。
目次
ごみの分別方法に地域差がある理由
八王子市のごみ袋。スーパーやコンビニなど、どこでも気軽に買うことができます。
実は、家庭ごみの処理方法については各市町村が区分を定めるよう法律で決まっているため、各地域ごとの実情をふまえた分別方法になっているため地域差が生まれるのです。
たとえば徳島県では、割り箸や生ごみ、紙おむつなども分別しないといけません。分別の種類はなんと34種類もあるそうです!
なお、東京23区では2008年よりプラスチックも可燃ごみとして回収しており、地域によっては分別方法が「可燃・不燃・資源」の3種類だけという地域もあります。これは高性能な焼却施設をもち、有害なガスが発生しないことや焼却時の熱をエネルギーとして再利用できるなどの利点があるためです。
ごみ処理施設の最新事情
世田谷清掃工場の外観。水色と白のえんとつがトレードマークです。
東京二十三区清掃一部事務組合のWebサイトによると、可燃ごみは清掃工場に運ばれ、800℃以上の高温で焼却されます。この時発生した熱や蒸気は発電に用いられ、施設の運営に利用されたり売電されたりするようです。さらに排ガスに含まれるダイオキシンなどの有害物質はろ過式集じん器や洗煙設備、触媒作用により除去されていきます。さらに工場内で発生する汚水についても処理設備を通して排水基準を満たすレベルまで浄化されてから排出されます。環境汚染防止に自己規制値を設け、徹底した対策をとっているというのに驚きです。
世田谷区ではリサイクルに特化した施設があり、粗大ごみを修繕し、リユース品として提供しています。
また不燃ごみは、不燃ごみ処理センターでハンマーで細かく砕いてから埋め立てられるそう。その際資源になる鉄やアルミニウムなどを回収し、埋立処分量をへらす工夫をしています。
粗大ごみは専用の処理施設で可燃系と不燃系に分別します。可燃系は細かく砕いて焼し、不燃系は砕いて資源を回収してから東京湾の処分場に埋め立てるそうです。なお、現在の埋立処分場はあと数十年しかもたないと言われています。
日本で排出されるごみの量
引っ越しばかりの頃、「プラスチックごみも可燃ごみなの!?」と驚いた記憶があります。
2021年3月末に環境省が発表した資料によると、2019年のごみ総排出量は4,274万トン。東京ドーム約115杯分の量だそうです。ごみ焼却施設が減っている中、1人が1日に出したごみの量はおよそ918g。私たちが普通に暮らすだけで毎日1kgものごみを出している…この事実をどう受け止めますか?
ごみ排出量の少ない自治体ランキング
環境省による「ごみ排出量の少ない自治体ランキング」では、人口50万人以上の自治体において3年連続で東京都八王子市が1位となりました。専用のごみ袋を販売し、可燃ごみ・不燃ごみを有料化することで住民のごみ分別への意識が高まったのが大きな要因だそうです。また、近隣地域では2か所あるごみ処分場のうち1か所が満杯になって閉鎖したため、埋め立て問題が深刻化しています。このことから周辺地域の自治体もごみ排出量への意識が高いようです。
リサイクル率の高い自治体ランキング
リサイクル率についても自治体によって大きな開きがあります。10万人未満で1位の鹿児島県大崎町は人口12,000人あまりの町です。「焼却に頼らない低コストな廃棄物処理システム」を目指し、資源ごみの分別や分別用ごみ袋の導入でごみの原料に取り組んでいます。また生ごみの分別回収も行っており、有機たい肥になって販売されています。さらに、資源ごみの売却によって財政面にも好影響をもたらしているそうです。
ごみを減らすために家庭でできること
「分別が面倒」「決まった曜日に出すのが難しい」など、様々な理由からごみ出しの近隣トラブルは後をたたないようです。
わが家ではマイボトルを欠かさず持ち歩くようにして、ペットボトルを極力買わないようにしています。資源になるとはいえ、使わない(=作らない)ことが一番のエコだし、家の中でゴミが場所を取らずに済むので心地いいですよ。
そのほか家庭用コンポストもおすすめ。ベランダや庭に置いて、生ごみで肥料が作れます。自治体によっては購入にあたって助成金を支給してくれるところもあるようなので、ぜひ一度調べてみてくださいね。
ごみの分別の地域差は、各自治体でごみの減量に取り組んでいる結果ともいえるでしょう。分別が面倒という方も多いかもしれませんが、個人個人のごみへの意識を高めてみんなで限りある資源を大切にしていきたいものですね。