【後編】はるな愛さん、タドれるチョコレートの1日アンバサダーご就任!
読みもの|3.11 Fri

 タレントのはるな愛さんが一日アンバサダーに就任くださった、株式会社UPDATERが各種の社会問題を解決するために仕掛けるタドれるチョコレート。これは、あまり知られていないかもしれない、はるなさんが続けられる被災地支援や子ども食堂といった取り組みの源流に何があるか、根掘り葉掘り「はるな愛をタドる」インタビュー。

 はるなさんが大切なこととして挙げるのは「スピード」、「言いにくいことを言い合える環境」「気づいたらすぐ変われる柔軟さ」。どれも日本人には苦手そうな、しかしはるなさんには濃厚な経験を積み重ねてきたからこその必然性と、ブレない説得力がある。

 この日は一緒にイオンさんと組み、一万個のレトルト食品を、世田谷区内の母子家庭に配ったという保坂展人区長も加わり、出張版『スナックSDGs』(TBSラジオ/毎週土曜19:30〜)のYoutube配信まで行われた。

 ともに世田谷区は三軒茶屋に拠点を持ち、「オオニシケンジ」とUPDATER代表「オオイシエイジ」の響きに親近感まで持ってくださったはるなさん。素敵な側面が、より多くの読者に伝わりますように。

ー社会的弱者、マイノリティの立場で相談する相手も見つからない方々が、どうたくましくこの社会を生き抜けるのか、助言はありますか?

はるな 私がお父さんにカミングアウトしたのは、高校一年の時でした。もともと親と一緒に過ごした時間は小さい時しかなくて、ウチは夜にスナックを経営していていなかったので、週末の少しの時間でした。

 そういう少年期だったんですが、お父さんに「女の子として生きていきたい」って言ったら、涙流しながら「わかった」「その代わり、オトコやったらとことんやれよ。後悔はするな。一番とれよ!」ということを言われて、その言葉は私の中にずっとありました。

 でも、その時の告白は自分にとってとても大きくて、「やっと言えた」という嬉しい気持ちと、同時に「親子の関係に二度と戻らない溝をつくってしまった」という寂しさもありました。だから、その時に「これ以上、親に苦労かけんとこ」「絶対自分で生きてみせる」みたいな覚悟が生まれて、それがずっと私の中にあります。

 ジェンダーの問題も「手術をすればすべて解決する」と思っていた、浅はかな考えの時期がありました。人間関係やお金の問題は、生きていれば必ずあります。そういうところから「私の問題って、手術とか性別じゃなかったんだ」という気づきがあって、「そこじゃなくて生きてみよう」と思いました。

 生きることは自分で何とかしたくて、だからお店の経営もはじめて、「自分で食べていかなあかんねん」という想いはありました。

ー昨今「SDGs」という言葉の認知が広がってきて、世の中は社会的弱者やマイノリティを少しずつ意識するようになってきた風潮はあるかと思います。ただ、とはいえ、まだまだ足りないことだらけではないでしょうか。

はるな 昨日も被災地に、3.11の特番ロケで行っていたんです。そこでお話を聞くと、すべてを流された人で、「コロナなんて」と言う方がいました。「僕ら全部なくしてるから、命があるだけでよくて、こんなにコロナで社会が怯えてる状況が理解できない」と仰っていました。もっと言うと、世界の貧困に目を向けたら、日本なんて着るものはあるし学校にも行けるし「何悩んでるねん」って思うかもしれない。

 でもそれだって、ナマのそういう声を聞かないと、その場所でそれを見ないとわかりません。だからLGBTQやSDGsという、言葉でそういうものがあって「世の中は今こうなんだ」、「このお店はこんな取り組みをしてる」、「自分もこういうことをやってみよう」と思ったからといって、なかなかそのままはできないと思うんです。

 その人その人の歩幅があって、みんなが同じ一歩を踏み出さなくてもよくて、私もそうでしたが、その場所にたどり着いた時に改めて思えばいいことなんだと思います。みんなが大きな一歩を同じ歩幅で踏み出さないといけないという世の中も、違うと思います。

 だからLGBTQという言葉にしても、私は正直苦手です。それに救われた方もたくさんいらっしゃるとは思いつつ、人間の数だけ頭文字があるから。

ーそこはあくまで十人十色であることが、大切であると。

はるな そうなんです。カテゴライズされて落ち着く方もいらっしゃるけど、私はどうにもそこにはまれませんでした。

 例えば私が講演会に行くと、「LGBTQ。はるな愛、語る」みたいなタイトルが掲げられています。でもいつも、全然そのことについては語らないんです。

 代わりに私は、それこそ皆さんの隣に座っている方が「耳が遠いんで、助けてもらっていいですか」「トイレが近いので、お邪魔になるけどすみません」みたいな、そういうことをお互いに言える状況を願っています。それがあって隣の人が、隣の街が、隣の都道府県が、隣の国がという風に知っていくことが広がることを、一番希望しています。

 隣の人が、ご飯を食べられなくて「今ちょっと、大変なんだけど」と言える環境。それはつまり、言いにくいことをお互いに言い合える、「何でも言っていいんだよ」「その代わり、私もお世話になります」という社会です。

 まさにそういうことが、パラリンピックの開会式のメンバーの中でもあったんです。

 例えば、練習に行って挨拶の後、まず私が「ごめんなさい!この間の振り付け、もう一回聞いていい?」と言った途端に手話が返ってきて。それで「そうだ、ゴメン!」って言いながら手話を覚えて、そのやりとりを筆記でとってくれる女の子には指が3本しかなかったり、目が見えない人がいたり、さらには「耳が聞こえなくて、音楽のカウントがわからないメンバーに動きを合わせよう」といった風に。

 あの時のみんなが入っている大きなLINEチームがあって、そこには「世の中がこうなったらいいな」という場所が実現していました。

ーその、お互いに「顔が見える関係」を増やしていって社会課題を解決していこうというのが、みんな電力/UPDATERが言い続けていることです。

はるな まさにそれです。「見える関係」というのは、「見せていい」し「見ていいよ」という信頼関係があるということだと思います。

 同じ楽屋にずっと一緒にいた方で、すごく背の低い方が、ご本人に聞いたら「うーん、小人症なのかな」ということを言っていました。それは、私と同じように「性同一障害かな?」みたいな、そういう疑問文で仰ったゼンちゃんっているんですけど。

 私たちは一緒の楽屋で、そこには香盤表というのがあって、誰がいつ衣装を着ていつグラウンドに集合とか、みんなそれをまず確認するんです。その香盤表を、ゼンちゃんは椅子に乗って、さらにテーブルに乗って見てたんです。そこで私、やっと気がついて「ゴメン!」って。たぶんそれを貼った方も意識なくて、でもゼンちゃんに合わせたら車椅子の人もみんな見やすいし、そのことに途中で気づいたんです。

 今はその「気づいて、すぐに変わる」という気持ちが必要だと思っています。

ーもっとお互いで距離を縮めて、触れ合っていくということでしょうか。

はるな 触れ合った時に、恥ずかしい気持ちなく、素直に「ゴメンね!」と伝えて自分が変われるということだと思います。気づいてすぐ変われる、行動に移せる、私は「そういう大人になっていたい」と思ったんです。

ー現在はコロナ禍で、ある意味で貧困が進んでしまったようなことは感じられますか?

はるな (涙)

 ニュースの特集で、一本のネギと卵一個で5日間子どもに食べさせたい。でも補助金は世帯主に入るから、離婚調停中の母子さんには、子育てをしているのに必要なものが届かないという、そういう番組を観ました。

 その時に、「コロナで状況がもっともっと大変になってる」と思って、湯浅さんにまた相談したら、イオンさんがレトルトを一万食用意してくださったんです。それを世田谷区で、保坂区長と一緒に一人親の家庭に配るということをやりました。私、世田谷って一番お金のあるような区だと思っていたのに、しかもそれを利用された方が、テレビ局の派遣の方でいらっしゃって。

 実はその方が、泣きながら楽屋に来てくださったんです。「もう、この職場に来るのも今週いっぱいなんですけど」って言いながら、「はるなさんのレトルトのお世話になりました」って。

 その後も、大阪のニュースをTV局の楽屋で見ていたら、そこでも食べていけない親子さんが出てきて。その時も「こんなことやったらあかん」と思いながら、テレビ局に言ってその方と繋いでいただいて、私のできる範囲のお金を少しだけお送りして。今、本当にスピードが大切なんだと思うんです。

 だって、こんな状況でも儲かっている会社はあるわけです。そこに格差が出てきているのがこのコロナ禍なので、もっとマッチングを早く、見えない人たちが助けてもらうのは全然恥ずかしくない。子どもを預けるのも恥ずかしくないから、「そういうことを言える社会であって欲しい」って、すごく思っています。

 マッチングのアプリっていろいろあるのに、そういうお金の支援でマッチングしてくれるアプリができてもいい。そこをうまいこと、何とか国の人がつくってくれないかなって。こうしている間も食べられない人がいることが、本当にツラいです。あとはやはり大人の決定で、子どもたちは思い出づくりすらできないまま丸2年育っていることを考えると、胸が痛いです。

 これからは、もっとリアルに、子どもたちのための日本や地球をつくっていきたいなと思います。この先の子どもたちが「生きててよかった」と思える地球づくりをしないといけないから、みんな頑張って生き延びて欲しいし、今の大人たちにはそこをリアルに考えて欲しいです。

ー今、コロナ禍で子ども食堂ができないことも、悔しいですね。

はるな 先日三軒茶屋の街中で夕方頃、私のお母さんと同じくらいの女性が、自動販売機のおつりのところに指を入れて歩いていたんです。私その時に「声かけたい」って思ったんですが、時間がなくてすぐ車に乗っちゃって、でもその後すごく気になって。

 そんなのは今まで見ない光景です。貧困はすごく、増えているような気がします。

 みんな電力さんとは『スナックSDGs』の番組で出会って、「同じ三軒茶屋なんですね」というところからご縁いただいて、そうしてまた今日の場があって、また皆さんと出会って、これはもっともっと広がると思います。

 一人の力じゃ足りません。もっとすごいスピードで広がって欲しいし、例えばこの記事を読んで「自分でも何かできることを」って思った方には、このチョコレートだってその一つだし、「動いてもらえたらな」って思います。

ーUPDATERやみんな電力のコンセプトに触れ、代表の大石さんとラジオでご一緒されて、どんな印象でしたか?

はるな 考えがすごく進んでるなと思いました。今ようやくニュースで見るようになったことを、もっと前からやられてきたんだなと思いましたし、すごく柔軟に、スピード感を重視して取り組まれているなと思いました。気候変動もすべてスピードが大事ですよね。

 企業も、今は「利益だけじゃない部分で考えてくれているんだ」って。募金とかチャリティに、「目に見えない」という理由で違和感を感じている方だって、そこをTADORiさんが解決してくれたりする。すごく「今」にマッチされていて、こういう仕組みがもっともっと増えてくれたらなと思います。

ーオフィスも「電力会社らしくない」と言われます。

はるな 「オオイシエイジ」さんて社長さんは、私の「オオニシケンジ」という名前の母音のようなお名前で、親近感があって(笑)。とにかく「すごく楽しいことがお好きなんだな」って思ったし、「楽しいことに乗っかっていくことに時間を費やせる大人でいたい」って、私も思います。

 それを実現されるのは、会社にしっかり、特に気持ちの部分に余裕がないとできないことだと思うし、こういう楽しいオフィスには、それが表れていると思います。

 こういう企業が増えて欲しいし、「そうなんだ」「知らなかった」って素直で言える大人でいたいって私は思う。そういう大人がいっぱいいて欲しいと思います。若い子に対しても、いつも素直に「知らなかった!」って言える大人でいたいです。

撮影:西岡浩記

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記事を作った人たち

タドリスト
平井有太
エネルギーのポータルサイト「ENECT」編集長。1975年東京生、School of Visual Arts卒。96〜01年NY在住、2012〜15年福島市在住。家事と生活の現場から見えるSDGs実践家。あらゆる生命を軸に社会を促す「BIOCRACY(ビオクラシー)」提唱。著書に『虚人と巨人』(辰巳出版)など