【前編】いとうせいこう発電所 Q&A
そもそもその構想は、2011年のみんでん創業時から語られてきました。しかも、その一番先端には、例えば「おじいちゃん、おばあちゃんが孫にあげるお年玉がソーラーパネル」といった未来までが控えています。おじいちゃん、おばあちゃんにとっての一番のアイドル/アーティストは、お孫さんだから。
最先端のブロックチェーン技術を駆使して、発電したエネルギーを売った電気代がお年玉として孫たちに還元され続ける仕組みの説明は、残念ながらここでは長くなり過ぎます。ただ大事なのは、アーティスト電力の始動が、画期的な未来に向けた大きな一歩であるという事実です。
アーティスト電力については、約45万人のフォロワーを擁するせいこうさんのTwitterアカウント、各ラジオ番組、最近では毎日新聞でも大きな記事になり、耳にしたことがあるかもしれません。でも、そのことが広がるにつれ自然と、いろいろな疑問も寄せられています。
みんでんはせいこうさんと協議を重ね、それぞれの質問や誤解に、一度改めてお答えする時間を設けることにしました。それはせいこうさんはもちろん、自分たちも含め、足元を見直す貴重な機会でもありました。
それでは以下、それぞれの疑問に対するせいこうさんの見解と、みんでんからの解説です。前後編に分け、できる限りわかりやすい言葉で、説明いたします。
それである日、みんな電力自体におしかけた(笑)。
で、自分の新構想がまさにその日できたんだけど、それをぶち上げてみると、みんでん側が言うには彼らは電力会社で唯一ブロックチェーンを駆使する会社で、だからこそ僕の構想を実現できるって。確かに僕も、ブロックチェーンこそが、中央集権型の社会から自律分散型に移行できるカギになると思っていたんだよね。だから、渡りに舟というか、とんとん拍子にうまくいく話になった(笑)。
これら写真は2019年9月の撮影。差し上げたYシャツの胸には刺繍で、英語で「電力リゾート課 いとうせいこう課長」と入っています
せいこうさんには課長用として、名刺や特製Yシャツ、袖カバーまでお渡ししています!
当時、当時、新宿BEAMS JAPANにて行われたトークセッションにはみんでん社長・大石も参加し、課長任命と名刺などの贈呈式が行われました
で、僕自身は今まで、再生可能エネルギーの取り組みをどうやったら社会全体に広げられるか、それも難しくてややこしいものじゃなく、楽しいものとしてどうすれば広がるかを考えてきました。だから、みんでんにおしかけた時、アーティスト電力のさらに先にある、大量のソーラーパネルを一つのリゾートアイランドに見立てた「電力リゾート」というコンセプトを提案させてもらって。
それはつまり、利他とかコモンズといった考え方が、楽しく具現化するかたちだったんだよね。
超初期段階にあった、「電力リゾート」イメージ図
これはもう、ただ再生可能エネルギーを広めるだけじゃない。ヨーロッパなんかで叫ばれている「グリーンリカバリー」のもっと先、「『カルチャーリカバリー』に取り組むべきなんじゃないか」という風に、僕もみんでん側もコンセプトが変わっていきました。
そこに、先ほどの利他やコモンズの概念も加わって、「これからはアーティストやファンがシェアし合える電力」、つまりコロナ禍を受けて僕が新しく提唱した「電力シェアランド」に、すべてが集約されていったんです。
その1:限定ステッカー
その2:出来れば月々送られてくる映像やテキスト
その3:オンラインイベント年2回
その4:リアルイベント年1回(発電所ツアー)
まったく斬新で、未来をいち早く体現する「アーティスト電力」と、その先駆けた具体例「いとうせいこう発電所」。
当然浮かんでくる各種疑問の解消に、本記事は役立てたでしょうか。次回後編も近く、公開いたします