リー・ペリーと『ドレミファSOLAR』をタドる
みんな電力(以下、みんでん)が契約している全国の発電所の中で一つだけ、応援した返礼品として再生可能エネルギーのテーマソングが収録されたCDがもらえる、一風変わった発電所があります。それが『ドレミファSOLAR発電所(ver.0)』です。
同発電所について、みんでんHPの発電所紹介にはこうあります。
ー発端は、2015年末に世界を駆け巡った「リー・ペリーのスタジオで火事!貴重なコスチュームが焼失!!」というニュース。
オフィシャルFacebookアカウントには、涙目のペリー氏の写真と共に「山ほどライブを控えてるのに、着るものがなくなった、、」とのメッセージが掲載され「それは大変!」と、みんな電力は巻いて運べるソーラーシート「solamaki」製の服を手に、一路ジャマイカへ。ー
リー・ペリーさんは、ジャマイカで生まれたレゲエミュージックの”生き神さま”とも称される世界的ミュージシャン。
故ボブ・マーリーさんを、プロデューサーとして世界へ送り出したことでも知られ、レゲエというジャンルの中でも深遠に位置し、世界のあらゆる音楽家たちに影響を与え続けている「DUB(ダブ)ミュージック」パイオニアでもあります。
また、レゲエにはその精神的支柱といえる、いわゆるラスタ思想(Rastafarianism)があります。奴隷制、植民地支配、帝国主義などのカウンターとして生まれたそれは、再生可能エネルギーが導く持続可能で循環型、地産地消で自律分散型な社会と親和性がとても高いという背景もありました。
発電所紹介は、以下のように続きます。
ー世界最先端の、発電できるステージ衣装です」とご本人に手渡すと、ウェアを着た途端、氏はまるで覚醒したかのように太陽に向かって叫びだした。最後には、「曲を一緒につくるかい?」という信じられないオファーまでいただき、日本から、想いを共有してくれた卍LINE、SHINGO★西成、日本のレゲエシーンを支える腕利きミュージシャンたちの協力を得て、遂にできてきた曲が『ドレミファSOLAR』である。ー
神さまからの、まさかのオファーにいたるまでの奇跡の経緯は、実は動画で克明に残されています。加えて今も、日本を代表するレゲエミュージシャン卍ラインさんとリーさんの邂逅、そして卍ラインさんと親交深いラッパーSHINGO★西成さんがドレミファSOLARに込めてくれた想いを、読むことができます。
当時2016年は、日本での電力自由化が実現した直後のタイミングでした。
つまりそれは、私たちの生活の根幹を支えるエネルギーが巨大企業の独占から解放され、「どんな電力を使いたいか」という選択肢が市民に委ねられたことで、「社会が根底から刷新されるんじゃないか」という期待そのものでした。
あれから約5年の月日を経て現在がどうなっているか。そしてその結果をそれぞれにどう受けとめて行動するかは、それこそが私たちにかかっています。
また、『ドレミファSOLAR発電所(ver.0)』がテクニカルにどんな発電所かも、みんでんHPには記されています。
この発電所は、東京都世田谷区内にある区営アパートの屋根の上に設置されています。使用された太陽光パネルは176枚。年間で一般家庭の約13世帯分の電気を作り、杉の木約1560本分の温室効果ガス吸収量に相当します。
ーこの発電所は、東京都世田谷区の「平成25年度 公共施設の屋根貸しによる太陽光発電事業」の一環で建設されました。世田谷区が持つ区営アパートの屋根を民間企業が借り、その企業が「発電事業者」として、区に毎年賃料を支払いながら発電を行うことで、区の収益増にも貢献しています。ー
最後に、とても悲しい現実についてお知らせしなければなりません。
去る8月29日、リー・ペリーさんは逝去されました。享年85歳、死因は未だ不明です。世界の音楽界にとって、その数日前のローリングストーンのドラマー、チャーリー・ワッツさんに続いて心を揺さぶられた、悲しいニュースでした。
世界中で、リー・ペリーさんと曲をつくったことがある会社はみんでんしかありません。そしてそのCDは、非売品。ご自宅の電気を再生可能エネルギーに切り替えることでしか、入手できません。
リー・ペリーさんとは、何の事前打ち合わせもありませんでした。ただ純粋に空から降りてくるお告げに従った、太陽光エネルギーとソーラーパネルというお題に沿った、最高の「インプロビゼーション=即興」がそこにありました。
ぜひ、リーさんが残してくれたメッセージを受けとってください。そしてぜひ、あなたの内側から発せられる声に忠実に、動いてみてください。